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魔物使いの少女  作者: つい
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ドリフトの申し子

 

 チームメイト全員で固まって移動中。


 メサリアさんの感知魔法全開、師匠も耳を立てて警戒全開なのでよっぽどのことがない限り不意打ちはくらわないだろう。


 移動する理由は物資の回収だ。


 今イベントでは体力がゼロになった時点で即リタイアとなる。その際手持ちのアイテムは全てその場に落とすことになるなので敵を倒せば弾やら回復アイテムやらが手に入るというわけだ。


 アルクのスーパーショットでワンパーティーを壊滅させているので六人分の弾やら回復アイテムが落ちているわけだ。これを回収しない手はないだろう。


 他にも敵をキルすると個別にキルポイント、アシストポンイントなどなどあるみたいだが、まあ私には関係のないことだ。


 特に危険もなく六人分の物資を回収し終え、次の指示がタケシの口から告げられる。


「この廃都市は……マップ中央だな、わざわざ移動するのは正直悪手だな」

「移動すべき。絶対に」

「アルクに賛成だ。待ち伏せなんてつまらん」


 おうおうバトルジャンキーどもが騒ぎよる騒ぎよる。


 タケシさんもある程度は反応を予想していたようで、さらに言葉を続けた。


「そうは言ってもダンとハナを連れいると移動も一苦労だぞ? それこそ車でもない限り……」

「車なら見つけてある」


 アルクがその言葉を待っていたといわんばかりにドヤ顔で言う。流石アルク優秀。


 アルクの案内のもと、車のあった場所に行くとそこにはとんでもないものがあった。





 61式戦車やんけぇぇぇ!





「ハナ、テンション上がりすぎ」

「……そうなのか? いつも通りに見えるが?」


 アルクとタケシさんの会話なんてどうでもいい!61式戦車やんけ!かっけぇ……


「車と戦車なんて運転の操作がちがうでしょ? 誰か運転できるの?」

「いや乗り物なら全部同じ操作で動かせるはずだ。ゲームだしな」


 メサリアさんとダンのメタい話もどうでもいい!61式戦車!戦車!


『これは動くのか?』


 師匠の発言もどうでも……よくないな。冷静に考えて廃都市に放置された戦車なんて動かない可能性の方が高そうだ。だとしたらぬか喜びじゃん。うわ最悪。


 えーい!まずは確認からだ!戦車……というか乗り物はゴブリンさんの開発したやつをたまに乗り回している。だから操作は問題ない。車内に入って操作用メニューが出てくればバッチリ動くはずだ。


 流れるような動作で車内に乗り込む。


『あーーー! 動くーーー!』

『ハナ、落ち着け』


 主砲は……流石に撃てないか。まあいい。


『アルク! 動く! 戦車!』


 魔改造へったんでだいぶ気持ちがやられていたが一気に持ち直した。運転!運転するぞ!パンツァーフォー!


 アルクがみんなに伝えてくれたようで続々と車内に入ってくる仲間たち。


「ハナ! あなた本当に運転できるんでしょうね!?」


 安心しなメサさん……ドリフトの申し子(自称)に全てをゆだねて欲しい。


『履帯切れるぞ』


 あー聞こえない。


「えーっと……とりあえずハナが運転するってことでいいんだな?」


 混乱した様子でなんとか状況を整理しようとタケシさんが口を開く。


 任せてくれたまへ!


「……多分大丈……夫? だと、思う……たぶん。きっと」


 アルクも太鼓を押してくれる!みんなに信頼されて嬉しいな!!


「……とりあえずハナ、このマップのここに向かってくれ……」


 タケシさんがリーダーのみ持つ紙の地図を私に手渡ししてきて、観覧車の絵が描かれた場所を指さす。廃園になった遊園地といったところか。


 おーけーおけー!場所は分かった。おいアルク、だからその翻訳して伝えてます感だすのやめろ。ダンもなんか言え。


 ……まあいい。とりあえず操作は問題なさそうだし早速向かうとしよう。


 えーっと、ここをこうやって……よし。いくぞぉぉぉ!


『ハ、ハナ速度大丈夫? 前見てる?』

『ヒャァー!! いくぞぉぉぉ』

『……まずいな』


 師匠とアルクがなんか言っているが気にしない!


「ハナ! あなた本気!? ちょっと!」

「やばいやばいやばい……」

「…………」


 へいへいビビってるー!……ダンさんは落ち着き過ぎだよ。


 そして、浮遊感。




 戦車は…………飛べる……!




 よーしエンジン掛かってきたぁ!どんどん行くぞ!




 後にアルクは語る。「あと少しで撃ってた」と。





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