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魔物使いの少女  作者: つい
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キャラ作成

 突然だが、私は今までゲームに触れたことがなかった。理由は単純。親がそれを許してくれなかったのだ。私はずっとゲームに興味があったんだけどね。


 そして友達の家で遊んだ記憶も、残念ながら持っていない。なんなら、友達がいた記憶も持っていない。神様は私の人生というゲームに友達を実装することを忘れてしまったらしい。もう、うっかりさん☆早くアップデートで追加してね。ねえ。早く。お願い。


 ……そんな冗談は置いといて、話は変わるが、上京して一人暮らしを始めてからそれなりに時間が経った。一人暮らしにも慣れて、生活も安定してきた。となればそろそろ、一人暮らしのリバティーを享受してもいいのではないだろうか。


 というわけで! 『VRゲーム』なるものを本日購入した。なんたって、私自身、ゲームに興味はずっとあったのだ。環境が整ったのであれば、もう遊ぶしかないよね。

 

 ソフトは店内で猛プッシュされているヤツがあったのでそれを購入。タイトルは……うん。私は生まれも育ちもジャパンのエリートジャパニーズだから、アメリカ語読めない。まあいいか。


 私はVRゴーグルを装着してベットに横たわり、電源を入れる。噂では、機械音痴が機械を触ると、何にもしてないのに壊れることがあるらしい。なにそれ怖い。私も機械にはあまり強くはないのだけれど、大丈夫だろうか。


 ……ん? なかなかゲーム始まらないけど何? え、壊れた? うっそだろおい。どうしよう、サポートセンターに電話? 特に何にもしてないのに壊れましたって言う?


 ゴーグルを外して目を開けて、視界に映ったソレを見て気づく。


 ……ゲームソフト入れるの忘れてたわ。なーんだ、安心した。というか、そもそも何にもしてないのに壊れるわけないもんね。


 さて、気をとりなおして今度こそ横たわり、電源を入れる。すると眠るかのように、意識がスッと落ちていった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『ようこそ、VRの世界へ。ここではあなたのアバターを作成します』


 そんな電子音声が響いて慌てて目を開く。


「おぉー」


 目を開けると真っ白な部屋にいた。殺風景だけど本当にVR世界に来たことに感動して思わず声が出た。


『まずはあなたの職業を選択します』


 すると目の前にパネルが出てくる。


 ・戦士

 ・魔法使い

 ・弓使い

 ・格闘家

 ・吟遊詩人

 ・ランダム


 おお、ゲームっぽいぞ! よくわかんないけど。


 そう思っていたら電子音声さんが軽く説明をくれる。


『戦士』は物理攻撃力、防御力、体力(HP)が高い。


『魔法使』いは魔力量(MP)が高く、魔法で様々な属性ダメージを与えることができる。


『弓使い』は物理攻撃力と移動能力が高い。探索を補助するスキルがある。ただし矢を当てるには慣れが必須。


『格闘家』は物理攻撃力と移動能力が高く、戦士よりも攻撃型。


『吟遊詩人』は仲間の補助に特化した魔法使い。


 説明を簡単にまとめるとこんな感じだろうか。うん、わっかんねぇや。……この、一番下に出ているランダムってのは何?


『ランダムは上記の五種類のどれか一つ。もしくは、レア職業に自動的に決定されます』


 あ、そうなのね。というか私ってばさっきから心の声ダダ漏れじゃん。きゃー恥ずかしい(棒)


『……』


 あ、ごめんね。反応に困るよね。


 ……えっと、それならランダムでいいかな。どうせ自分じゃ決められないし、ワンチャンそのレア職業ってやつになれるかもしれないし。レアなんて言うからには強そう。


『レア職業が良いものとは限りません。必ずデメリットがあります。例えば『盗賊』などになってしまうと、一部の街には入れないなどのデメリットがあります』


 まじかぁ……けど困ったことに、既に私の脳内は八割ランダムに傾いている。正直、盗賊とかも面白そうだよね。現実じゃ絶対出来ないし。そういうのを楽しむためにゲームはあると思うんだ。


「やっぱりランダムでお願いします!」

『分かりました』


 ランダムの文字がスロットみたいに回り始める。これで上記の五種類になったらなんか気まずいな。


 回転が止まるとそこにはこう書かれていた。



『魔物使い』



『魔物使いとは、魔物を使役して戦う職業です』


 あ、説明アザマス。というかそんな職業もあるのか。


『では、次にスキルの取得、初期装備の決定に移ります』


 あ、ハイ。


 初期装備はすんなり決まる。両手斧だ。自分の身長くらいある斧を軽々と振り回して敵をなぎ倒すとか何それかっこいい。かっこいいし強そうだしかっこいい。つまりはお手軽イケメン装備。


 スキルは『両手斧』と『言語翻訳』という、二つのスキルを取った。


『言語翻訳』を取れるのは魔物使いだけらしい。必要スキルポイントが高く、他のスキルが取れなくなったけどまあいいか。


 ちなみに身長を高くしたり、横幅を細くしたりは出来なかった。現実の体とゲームキャラの体型がかけ離れていると感覚のズレが生まれて、日常生活に支障が出る可能性もあるらしい。似たような理由で性別の変更もできない。確かに、感じる感覚は現実のそれと区別がつかない。技術の発展は時に恐ろしいね。


 そんな注意喚起が終わったら、目の前に私と同じくらいの女の子が現れる。多分これが私の外見ってことだろう。


 身長は150センチくらいで、髪は腰くらいまで伸びている金髪だ。


 コミュ障過ぎて美容室とかほぼ行ったことないからね。髪が伸び放題なのは分かる。でもさ……パツ金ってどういうこと!? こんなん目立って陽キャに絡まれて殺されるじゃん(偏見)


 髪色どうやって変えればいいんだこれ? 分からん。助けて。


『髪色はランダムに決まります。三回まで無料で変えることが可能です』


 チェンジ! ……薄めの金髪


 チェンジ!! ……超濃いめの金髪


 チェンジィィィ!!! ……丁度いい金髪(つまりチェンジ前と同じやつ)


 どうしてこうなった?


『ちなみに金髪は激レアですよ』


 嬉しくないです……。


『では、最後にプレイヤーネームを決めてください』


 私のネーミングセンスは、ピカソの絵画のようだと自負している。偉い人にはそれが分からんのです。


 魔物使い……モンスターテイマー……ステマ……そういえば昔ハナって名前の金魚飼ってたなぁ……。よし、ハナにしよー。


『ハナで登録しました。それではゲームをお楽しみください』


 視界が暗くなって、意識がゆっくり落ちていく。


 急に世界が騒がしくなり、目を開けるとそこは賑やかな街の中央広場だった。


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