12 説明
お久しぶりです。半年たってましたね。
短いですが書いていこうと思いますのでよろしくお願いいたします。
「まず、冒険者の仕事は理解していますか?…そうですか。その通り、荒事を中心とした万事屋というのが冒険者です。もとは魔物を討伐するための自警団のようなものだったのですが、規模が大きくなり人員が増えるにつれて変化した結果このような形になりました。」
「人間や蛮族を相手にした問題は騎士や兵士が解決すべきことですが、きりがなく手が回らないものです。動植物や鉱石、魔物の素材を獲ってくるのは猟師や鉱夫の仕事ですが、不死者や蛮族に襲われる危険があります。迷宮は未知が多いので学者や研究者の領分ですが、彼らは罠を避けられません。そこで冒険者がいます。」
「依頼を解決できればどのようなものでも構わない、とまでは言いませんが、過去の経歴や素性については問わない形でいます。しかし、雇用主のいる兵士のような福利厚生はなく自己責任の部分が多いです。その点も理解していますね?兵士より自由で一攫千金の夢がある、その代わり安定はなく危険も多い。それが冒険者です。冒険者で腕を上げて兵士になる方もいれば、一生を冒険者で過ごす方もいます。」
「階級についても、わかりますか?――ええ、金銀銅の三つの級に一二三の三つの位で分けています。平均収入も高位の冒険者のほうが多いですし、高位になるほど周囲からの評価や信頼も高いでしょう。組合としても高位の冒険者がより多くなることを願っていますので、ぜひルイスさんも頑張ってください。」
「組合はあくまで依頼を集めて冒険者を派遣することが主な仕事です。他にも迷宮の管理や魔物や蛮族の調査、冒険者の皆様の税の天引きなどがあります。そして依頼の仲介料と皆様の売却される素材の競売など諸々が我々組合の収入となります。」
「ほかにもですね・・・」
「さて、なにか質問はありますでしょうか?」
「いえ…。とくには。」
「そうですか。一度に言われてもまだわからない部分は多いでしょうが、徒弟となられればそういった説明を受けることもできますので心配なさらないでください。」
「あー、はい。頑張ります。」
立て板に水というように話されるのをただ聞いているだけだった。〈録音〉があるから多分平気だと思うけど、正直自信はないかな。
三日後の試験に来るように言われて組合を後にした。




