11 町
お久しぶりです。遊んでて執筆してませんでした。全部ゼルダが悪いです。嘘です、すみません。
この際なので、今までの部分を読み返していくつか修正しました。
「まったく、心配したぜ?」
「いやぁ、お騒がせしました。」
「大丈夫かい?分解しないでもいいのかい?」
「はい、大丈夫なんでその斧仕舞ってきてもらえますか?」
ホルヘがとってきた水色の小石を飲み込んだら〈バイオリアクター〉が起動して腹痛は収まった。あの小石がスライムの核だったらしい。
この際だ。まだ調べてない機能を〈解析〉しよう。
〈姿勢制御〉:鋭敏な平衡感覚によって安定した姿勢を維持する。〈ジェット〉と連携することで空中での姿勢維持が可能。
〈自動修復〉:周囲の精霊を用いて損傷を修復する。大規模な欠損を再生させることはできない。
〈衝撃吸収〉:機体が受けた物理的な衝撃を吸収し分散させ和らげる。
〈ホッパーレッグ〉:跳躍力を強化する。出力の調整をより細かく変更可能に調整。重量魔術による軽量を考慮するよう調整。〈姿勢制御〉と連携するよう調整。
〈バイオリアクター〉:粘液体の核を触媒とすることで有機物を燃料と魔力へと変える。
〈ホッパーレッグ〉以外は常に起動するタイプの機能だが、何か変わった感覚というのはない。強いて言えば、姿勢が良くなった気がするだけだ。
前回の大ジャンプは魔術で体重を軽くしていることを考えずにジャンプしたせいであんなに跳んだのか。どおりであんな自滅するような機能だったわけだ。そこも考えて〈ホッパーレッグ〉は今までのより使いやすくなったみたいだけどどうなんだろう?
「それじゃあ女将さん、俺らはもう行くよ。世話になった、また来る。」
「おや、そうかい。また来てくれることを待ってるよ。」
「女将さん、お世話になりました。」
「あんたもなにかと大変だろうけど頑張るんだよ。うちのメシでお腹を痛くしてしまって悪かったね。」
「いえ、あれは僕の体質の問題だったので。ここの料理とても美味しかったのでまた来た時もお願いします。」
「ああ、いつでも歓迎するよ。」
それからホルヘとジョンと僕は村を出て町までの道のりを歩いた。町までは五日間かかったが、その間はホルヘの武勇伝や身の上話を聞いたり町で暮らすのに最低限必要な知識なんかを教わったりした。
ホルヘは、ソロで活動している冒険者で、狩りや採取で生計を立てているらしい。森の蛮族に会うことも多いので対人戦の経験も多いらしいが、あまり得意ではないらしい。得物は弓とナイフで、今回はオーガがいたために片手剣を携えていたそうだ。でも、一通りの武器は使えるとも言っていた。
生まれは、薬屋の三男で、店によく来る冒険者に憧れてこの仕事に就いたそうだ。薬学の知識のおかげで高く買い取られる獲物の部位や採取すべき部分が分かるそうだ。
なぜソロなのか聞くと、パーティーを組んで冒険するのも悪くないと思っているが、昔仲間割れで死にかけてから1人のほうが気楽だと思うようになった、と苦笑していた。
過去に餓狼の群れや天罰大猪などの魔物を討伐、狩猟したために金三位となったらしい。本人は、細々と暮らしていける程度の仕事ができればいいか、と思っているが、他の人が選ばずに残った依頼を組合長に押し付けられることがあるらしい。さっきの二つもそれで得た功績なのだと言っていた。
確かに、ホルヘは言動こそ乱暴な感じがするが、同時に気配りができる常識人であることがわかる。僕やジョンを拾ってきてしまう程度に甘いところもあるみたいだしね。
1人暮らしの独身で、彼女が欲しいとこぼしていた。彼女がいたことはあるが、つまらない人と言われたり浮気をされたりで別れたらしい。生活の安定した金級冒険者で彫りの深いハンサム、しかも人柄も悪くないのに彼女がいない。なかなか好感の持てる人だなホルヘ。
「『あなたは優しいだけなの』って…、それのなにがいけないんだよ!」と野営中に髪を掻き上げて涙目でこぼしていたのが印象的だった。なにかあったようだな。
五日目。森の中の道を歩いていて、すれ違う人が多くなってきたな、と思っていたら、ふっと開けて緑の畑が広がった。畑の中には点々と家も見える。
「ほら見ろ。町が見えてきたぞ。」
「え?あ!あれですか!」
「あれが目的地の町、ヌールアだ。」
畑の向こうに見えたのは、高い石壁と門だった。〈ズーム〉してみると門番が立っているのも見える。
「はー、大きいですねー」
「そうだな。ヌールアはここらへんでは一番大きな町だ。小麦の生産で賑わっているんで人も多い。いい町でな、ここ数年の俺の拠点にしてる」
「そうなんですか」
「ああ。冒険者も多いんだが、あんまりに安定してるんで最近は冒険者の仕事が少なくてな。しかもそれを取り合いになるんだ。」
「それは…困りますね…。」
これから冒険者になろうというのにもう仕事がないかも。
「ま、どうにかなんだろ。ほとんどの冒険者は根無し草ばかりだ。お前も仕事を求めて町を移ればいいし、そう気にすることじゃねーよ。」
「はぁ…。」
そういうもんなのか。
「よし、とりあえず、組合に仕事の完了を報告しないとな。お前も一緒に来るだろ?」
「あ、はい。行きます。」
門での簡単な身体調査を済まして町に入る。
門番に「冒険者です」って言って通行税とチップを払ったら「そーか。とーれ。」で終わったんだけどいいのかな。
町には荷車やロバが小麦やイモを運んでいたり、子どもが鬼ごっこしていたり、鶏や犬が好き勝手に歩き回っていたりした。
露天には、果物や野菜、織物や毛皮、古着などが並べられていた。
「活気がありますね」
「ああ、ここらへんは商業区だからな。町を出る奴や入る奴を相手にした商売をしてるのが多いのさ。町の中心のほうは住宅区だからここまでの活気はねーよ。」
へぇー。町の区画によって集まってるものが違うのか。
「この建物だ。」
門からそう歩かないところでホルヘが石造りの建物の中に入っていった。羽と剣のモチーフの看板が出ている。
ホルヘについて建物の中に入ると、まず受付が目に入った。そして壁の一部に張られた紙の数々や飾られた生き物の髑髏。
いくつかあるテーブルでは武装した人たちがなにやら相談している。こちらをちらっと見たがすぐに相談に戻った。
「よう、ビクトリア。依頼達成の報告に来たぞ。これ、達成証明書な。」
「はい、ホルヘさん。達成証明ですね。少々お待ちください。」
「おう、頼むわ。あと、冒険者志望の奴を連れてきたんだが、まだ徒弟の募集してたよな?」
「ええ、徒弟の募集はしていますよ。どなたですか?」
「ほれ、ルイス。」
「初めまして、ルイスです。」
僕を見ると受付の人は怪訝な顔をした。
「ホルヘさん。彼ですか?…その、絡繰人形のように見えるんですが。あと、なぜこの方は肩にグリフォンを乗せているのですか?」
「ちょっとな。」
ホルヘは、僕がホルヘにした彼に会うまでの話と彼に会ってからの経緯を説明した。
「なるほど。そういうことですか。」
「そ。だからこいつを徒弟にしてやってくれないか。」
「わかりました。ルイスさん、初めまして、ビクトリアと申します。これからあなたを徒弟に応募するのですが、その前に冒険者組合に登録しなければなりません。そのために何点か説明させていただきます。」
「あ、はい。お願いします。」
また間が空くこともあるかもしれませんが、だらだら書いていきたいと思っています。




