表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/30

過去編。

妄想全快で書いています。

 

  そう、あれは俺が高校一年の飛鳥高校に入学したての春……。

 

 あの頃の俺は、死の物狂いで勉強し、なんとか合格できた飛鳥高校で

楽しさ満載の学園生活を送るための準備を進めていた。

周りの奴等とのコミュニケーションを怠らず、数人の男友達を確保し

男にとって不可欠な彼女を手中に収めるため、まめにクラスの数人のかわいい子を

リストアップし、声を掛けることに余念が無かった。


 最初に狙いをつけた晴海ちゃん。

ふわふわしたショートカットがとても似合うかわいい子だ。

俺は隣の席に座る晴海ちゃんに、話すきっかけを作るために

どんな機会も見逃さないように、神経を尖らせていた。


国語の授業が終わった直後。

彼女の鉛筆が机から零れ落ちた……。

俺はその瞬間を見逃さなかった。


 「晴海ちゃん、鉛筆落ちたよ〜」


 「ありがと〜、寝る雄君」


 爽やかな笑顔をわざとらしく顔に浮かべ、晴美ちゃんと視線を合わす俺。

彼女は素直な笑みを浮かべ、俺に礼を言った。

よし、俺の優しさを覚えこませたぞ…。


 休み時間になると、晴海ちゃんにありったけの勇気をこめ

言葉をかけた。


 「晴海ちゃん、この問題分かる?」


 「え・・どれ〜?」


 「これだよ」


 「うん、これはえっとね〜・・」


 「こうでしょ」


 「ふんふん」


 俺は数学のどうでもいい問題を見つけて、馬鹿を装って晴海ちゃんに教えを請う。

彼女が頭がいいのはもう調査済みだ・・そして面倒見がいいのも分かっていた。

こんななんでもない事から、距離を縮めていくのが俺のパターンだ。


そして、程よく日にちが過ぎた10日目の昼休み。

俺は晴海ちゃんに重大な質問を投げかけた。


 「晴海ちゃん〜」


 「な〜に?寝る雄君」


 「晴海ちゃんって彼氏いるの?」


 「いるよ」


いるよ、いるよ、いるよいるよいるよ…(エコ〜)

俺の最初の恋は、その一言で一瞬にして崩れ落ちていった…。

落ち込んだぜ、あの時は…。

 何日か飯が喉を通らず、晴海の天使のような微笑を頭から

消し去るのに必死な日々が続いた…。

毎日毎日、学校で顔を合わすわけだから、その苦難は想像を絶するものだった…。


 晴海ちゃんの席は左隣の席なため、全く会話をしないというわけにはいかない・

些細な言葉を交わすだけでも、俺の心は悲鳴をあげていた。

彼女に諦めをつけるため、なけなしの力を振り絞り、周りの女を物色するが

同じクラスにいる女達に、中々矛先が向かわなかった。

初めに恋をした晴海ちゃんのレベルが、あまりにも高すぎたからだ。

どの子もなぜか、くすんで見える。

だが、そんな時。

俺に優しく声を掛けてくる女がいた。


 「寝る雄君、放課後一緒に帰りませんか?」


 水を持たず、砂漠を行き先も分からず歩いている俺に

突然オアシスのごとく現れた女。


水木千鶴……。


 小柄で、栗色のパッチリした目に、かわいい小さく纏まった鼻

透き通るような声・ささやかながらも適度に膨らんだ胸。きゅっとしまったウエスト。

晴海ちゃんほど美人では無かったが、俺の恋心を、再度呼び起こすには充分な女だった。


 「へ〜千鶴ちゃんか」


 「同じクラスにいるのに、知らなかったな〜」


 「あはは、私地味だから」


 「そんなことないよ、俺が見落としていたんだよ」


 帰り道、俺は千鶴と歯の浮くような会話を交わしながら、彼女の地味だが

自分を飾らない、率直な物言いにだんだん惹かれていった。


 俺は一緒に帰った次の日から、積極的に千鶴にアプローチしていった。

休み時間に何かのきっかけを見つけては、彼女のいる席に足を運ぶ。

彼女もそんな俺を、迷惑がらず、優しく迎え入れてくれた。

日にちを重ねるごとに、俺は彼女との距離を徐々にだが

確実に縮めていっている事を実感していた。



 「明日、遠足だって!寝る雄君」


 「そうなんだ、明日晴れるといいね」


 「うん!」


 「楽しみだな〜、私山大好きなの・・」


 「奇遇だな〜、俺も好きなんだよ」


 「気が合うね〜」


 「明日休憩時間自由だから、一緒に弁当食べようね!」


 「OK!」


 俺たちは良い感じだった。

周りからみても俺達は恋人に見えただろうな。

晴海ちゃんが隣にいても、もう全く気にならなかった。

だって、俺には千鶴ちゃんという子が傍にいてくれるから…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ