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授業・・

 

 俺はドアを開けた。

席は一番左から2列目の後ろから2番目の席だ。

やっと寝れる…。


 騒がしい奴等を掻き分け、前かがみ気味に自分の席に邁進する俺。

途中俺の存在に気づいた奴等が、友達との談笑を中断して、一瞬息を呑んで俺を見つめる。

そんなことはどうでもいい。

自分の席に着くと、カバンを机の右にぶら下げ

ガバッと両手を机に抱きつくようにして交差させると、その上に頭を置いて眠りにつく。

あぁ最高…。

授業が始まるまでは寝るぞ…。

俺は周りの様子なんか気にも留めず、ひたすら寝ることに集中する。


◆◇◇◆


 「おい、寝る雄来たぞ」


 「今日どんなかんじよ」


 「おい、武、話してこい!」


 「え・・・俺がか・・・?」


 俺の名前がクラスのあちこちでヒソヒソ囁かれる。

異様な空気の中、突然誰かが、人々の間を縫うように歩き

教壇に立つ。


 「静まれ〜」


 「皆の衆」


 「お、千鶴が何かいうぞ」


 「みんな静かにきくんだ」


 千鶴がクラスの奴等に呼びかけると、みんな急に静まり返って

その言動に耳を欹てる。


 「ノーマル!」


 千鶴は教壇にたってそう一言発した。

その言葉と同時に周りの奴等に活気が戻る。


 「おぉ、良かった」


 「でよ〜、昨日さ〜」


 さっきまでの空気の重たさはなくなり、談笑を再開する人々。

そんな出来事など、まるで知らずに俺は眠り続ける。


 「起きろ…」


 「こら!」

 

 「ん?」


 「あ、先生…」


俺の快適な眠りを打ち破ったのは、3限の桐生権三、国語の教師だ。


 「あ、おはようございます」


寝たまま顔を上に向け、俺に怒鳴る権三に挨拶する俺。


 「お前何しにきてんだ」


 「勉強しにです!」


 俺はその場を取り繕おうと、カバンから国語の教科書とノートを引っ張り出し

背筋をピンと伸ばし、先生をまっすぐ見つめる。


 「それができるんなら、最初からやれ馬鹿者」


そう俺を罵倒すると、権三は教壇のほうへ歩む。

あぁやだやだ…。

今日アイツの授業があったんだった。

前かがみにふてくされた顔で、鉛筆をもち、教壇を見てる振りをする。


 「今日はついてないね、寝る雄君…」


横から俺に囁いてきたのは、同じクラスの志賀真由美。

長髪にロンゲ、少し茶色に染めていて、ボインで美形の女だ。


 「ついてないよ、本当に・」


俺はそう言葉を真由美に返すと、シャーペンの芯をカッターで削り

黒い粉を製造し始める。

その行為に意味はない、ただ暇だからやってるだけ。


…キンコンカンコーン


 「お、終りか」


 「じゃあ、みんな、今日やった事復讐しとくように」


 「はーい!」


 「きりーつ、れい、着席〜」


 俺は形だけの礼を済ませると、抑えてた眠気に潰されるように

机にまたしがみついた。

もうしばらく。俺を起こすような目ざとい奴はいない。

体育の時間まで寝るぞ…。

しかし、俺はなんでこんなに眠いんだろ。

やっぱ、あれのせいかな?

アレのせいに決まっている。だっておかしいよな?

朝起きてからずっと異様なまでな眠気が、俺を襲ってるくるんだよ。

これは何も今日だけの話しじゃない・・

昨日も一昨日もその前もずっとなんだよ。

たぶん、あの時起こった事件が、俺をこんな風に変えてしまったんだ。

全ての気力を根こそぎ奪い、沸き立つような眠気を俺に残した事件。

あれがなければ、俺は今頃……。



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