表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/30

過去編、衝撃の事実?

「あのー」


「は、はい?」


 メガネ娘に声掛けたぞ、何言うつもりだ?

 両手を胸元でもじもじさせやがって……

 女の子、困ってるじゃないか、さっさと何か言えよ。


「あなた!」


「え?」


 彼女が目を大きくして突然大きな声を放ち、指をさしてきた。タイプ3もビックリしたようで、鼓動が早鐘のように鳴っているよ。


「ちょっと、あの、こちらへ来てもらえますか?」


「え?」


 女の子がタイプ3の手を引っ張り、薄暗い人気のない廊下に連れていくんですが、普通逆じゃない? と思いながらも俺はどうする事もできないし、タイプ3は手を惹かれるまま、付いて行くよ。なんだか俺まで、ドキドキするじゃないか……


「えーっと、祓いますね」


 ん? どういう事?

 俺には意味が分からないが、タイプ3も分からないようで、女の子の様子をまじまじと見つめていた。女の子はタイプ3に向かい合って、神妙な顔で突然――右人差し指と中指だけ揃えて伸ばし、俺に向って宙に左から右に横線を引いたかと思うと、


「臨!」


 と唱えた後、更にその横線の左側に重なるように上から下へ縦線を描いて、


「兵!」


「闘! 者! 皆! 陳! 列! 在! 前!」


 更にまた最初の横線のすぐ下に新たな横線、縦線の右横に新たな縦線と、一つ一つ線を引く際に唱えながら、格子が宙に描かれる。最後に彼女が前! といい終えると、気のせいか俺の体が軽くなった気がしたんだ。


 そして――


「あなたに取り付いてた霊、全部払いましたよ」


「ええ?」


 思わず俺が発した言葉が、そのまま外に漏れる。え? 俺自力でしゃべれてる? あれ? いつの間にか支配が解けてる! ええ……どうなってんだ?


「九字護身法を施しました、一時的ですが、あなたの霊は取り払えました」


 ええ!? マジ?  今さっきの訳分からないので、俺に憑いている霊全部払ったの?

 霊媒師ですか、あなたは……彼女は手をスカートの辺りでそろえると、にっこり上品な笑みを浮かべた。

 俺はタイプ3が話しかけたおかげで、偶然彼女と出くわしたんだけど、その彼女が俺の幽霊を祓ってくれたらしい。とってもミラクルな展開に、どう言ったら良いか分からない。

 だけど、なんかとってもこの子の事が気になってしまって、いや……浮気とかじゃないよ? ただ、霊を祓ったって言うんだから、興味普通湧くよね? 詳細聞いてみたくなってしまったんだ。


「あの、少しお話しませんか?」


 俺から声を掛けてしまった。すると、彼女は快く笑顔で首を縦に振った。






「あの、あなたのお名前聞いていいですか?」


「新宮雅と言います」


「僕は寝る雄です、よろしく」


 笑顔でお互い自己紹介を交わした。

 雅ちゃんか、しかし、よくよく間近で顔を見ると、可愛いよな〜……色白でメガネ娘で笑顔が素敵で――って俺には千鶴ちゃんがいるんだ! そんなんで呼び止めた訳じゃないんだ!

 霊の事もっと聞くために声を掛けたんだよ。下心なんか微塵もないよ!


「あの〜、さっき払ったって言いましたよね」


「はい、あなたについていた五体の幽霊を除霊致しました」


「あなたは一体? なぜそんな事ができるんですか?」


「私の家は霊感が強い家系で、今の九字を使えば大抵払えますね、ですが……」


 彼女は少し視線を下に逸らし、何か言いにくそうにしている。

 ですがっ何? 気になる、早く言って……


「あなたは霊を呼びやすく、そして取り付き易い体質なので、今回祓いましたが、またすぐに近々霊に……」


 ええ……そんなの困るよ、せっかく祓ってもらったのに……


「何とかならないですか?」


 会ったばかりだけど、もう縋り付ける人はこの人しかいないと思って、無理にでも聞いてみる。だって、俺もうやだよ! こんなの辛いし。


「えーっと、答えになるか分からないですが……私の考えでは……」


 彼女はまた言いづらそうに言葉に詰まりながらも、俺の訴えるような眼差しに促されるように、言葉を紡ぎ始める。


「あなたは、元々そんな体質じゃなかったはずです……、あなたの傍に居る、誰か霊感の強い親密な人の影響を受けて、呼び寄せる体質が目覚めてしまったんだと思います。だから、その、あの……」


 そこまで言ったんだから、あと少しきっちり語ってくださいよ〜。彼女はまた視線を降ろして口ごもるが、開き直ったのか、俺の目を見て話し始めたんだ。


「だから、その、本当に私的な意見なんで恐縮なんですが、たぶん、親密な人、つまり親族の方……うーん、これは無いかな。あなたを見る限り、最近その力に覚醒された後がありますから。だから、最近、親密になった友達か彼女、どちらか分かりませんが、その方との縁を切ることが最良かと思います……」


 友達ってったって、博は最近じゃないよな。ずっと昔っからだし。

 てことは――最近、親密になった霊感の強い人って、まさか……千鶴ちゃん? 

 千鶴ちゃんと別れないと、この霊感体質治らないって事!? そんな事出来るわけ……

 俺がその場で呆然としていると、彼女は悲哀に満ちた眼で俺を見つめて、


「辛いのは分かります……あ、また何かあったら私にいつでも相談してくださいね、お力になります。二年C組みにいますから。でわ授業始りますので、失礼致します」


 俺の前でにっこり笑みを浮かべて、お辞儀すると少し小走りで教室へ入っていった。

 取り残された俺はしばらく、どうしていいか分からず、その場で立ち尽くしていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ