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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
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7.クラムの町、4大ギルド


前回までのあらすじ。

クエスト「大岩の竜討伐|(SSSランク)」を完了した。

――――――――――――――――――――――――



クラムの町、4大ギルドの1つ。

「竜を討つ者たち」の一同は、ギルドカードの告知を見て、目を疑った。


ギルドカードには、受注クエストが完了すれば、クエスト完了のお知らせと、クエストへ貢献した者の名前が貢献度順に記載される。


「竜を討つ者たち」は、当然のようにギルド全員がこの「大岩の竜討伐(SSSランク)」のクエストを受注していた。

それはギルド員の誇りであり、ギルド名に恥じぬ覚悟の現れでもあった。


ギルドマスターの合図があれば、いつでも大戦に向かう準備が出来ていた。


――――――――――――――――――――――――

佐倉遊角(「マニィ信者の憩いの場」Sランク)貢献度99%

――――――――――――――――――――――――


そして、クエスト完了の知らせと、そこに記載されていた名前と貢献度。


「竜を討つ者たち」のギルドマスター、シロガネは知っている。

「マニィ信者の憩いの場」のギルドは、ギルドマスター、アマンサのみであったことを。


アマンサは、腕の立つ新人を発掘したということだろうか。



「……」



ギルド内の皆が「マニィ信者の憩いの場」に手柄を取られた! と大騒ぎする。

あるいは大岩の竜なんて大したことなかったんだろうな、などと見当外れなことを言っている。

そんな中、ギルドマスター、シロガネは白く長いあごひげをなでながら沈黙していた。


それは手柄を取られて悔しい、などという器の小さなことを考えていたではなく。



「……どうやってこの者をギルドに引きこむか?」



むしろ竜を討った者として、誇り高き者として、「竜を討つ者たち」の名前にふさわしいギルドメンバーとして、佐倉遊角を迎えること。

そればかり考えていた。



◇ ◇ ◇ ◇



クラムの町、4大ギルドの1つ。

「闇の屍」のギルドマスター、ウヨックと言うは、ギルドカードの告知を見て、そこに書いてあることに驚きを隠せないでいた。



「へぇ……」



顔に無数の切り傷、全身にタトゥーを入れた軽装の男、ウヨック。

彼は「マニィ信者の憩いの場」の新人について、棚の冒険者名録から名前を探す。

しかし、該当者0。



「一体何者なんだろうね?」



ウヨック率いる「闇の屍」は、暗殺やスパイ活動を中心にしているギルドだ。


もっとも暗殺も、スパイ活動も、それをされてしかるべき対象限定だが。


今回の大岩の竜討伐にも、暗殺対象が数名参加していたので、隙を見て闇に葬る計画だったが、思わぬ大誤算だった。



「くくく、佐倉遊角。敵にならないことを祈るよ」



暗殺計画が失敗したというのに、ウヨックは楽しそうにしていた。



◇ ◇ ◇ ◇


クラムの町、4大ギルドの1つ。

そしてクラムの町の最大ギルドにして、大陸でも3本の指に入る巨大ギルド「勇者の集い」。


ギルドマスター、ヒュルトーンには、【人物鑑定】というスキルがあった。


クエスト「大岩の竜討伐(SSSランク)」を、ほぼ単独でクリアした佐倉遊角の能力を見るために、【人物鑑定】スキルを使用した。


このスキル、離れた相手でも、知らない相手でも、見たことの無い相手でも使えるのだ。



――――――――――――――――――――――――

佐倉遊角さくらゆうかく

種族:人間(15歳)

所属:「マニィ信者の憩いの場」Sランク

Lv:4

職業:初期冒険者

スキル:【転移魔法(魔王特製)】【バグログ】

HP 65 MP13

力5 頑丈さ3 素早さ4 知識2 魔法力3 器用さ2

――――――――――――――――――――――――



……何だこの貧弱なステータスは。


これでSランク?

ギルドカードはこの者をSランク相当だと認めたということか?


(余談だが、遊角がたまたまSランクのカードで登録したからSランクなのである。

SSSランクのカードで登録すればSSSランクになっていた)


ステータスが貧弱でも、スキルの使い方が上手いなら強者相手に立ちまわることも可能であるが、



「転移魔法?! しかもま、魔王特製、だと?!」



ヒュルトーンは確信した。

この者は魔王の卵に違いない、と。


そして、このまま成長を続ければ世界の脅威となるに違いない、と。


そうなる前に、殺さなければ……!


(これも余談だが、ヒュルトーンはじめ一般人間の言う魔王は悪魔の王、魔獣の王であり、人形魔王はその存在すら知られていない)



「ガイアン! サルベー! クロード!」




「勇者の集い」で、ギルドマスターの次に強い3人の男が呼ばれ、すぐに集まる。



「佐倉遊角は魔王の名を持つスキルを有している!

魔王の生まれたてか、少なくとも魔王関係者に違いない!」


「それで、我々が呼ばれたのは」


「あらぁ~、そのくらい察しなさいよ~、ガイアンちゃ~ん」


「魔王の芽を摘め、ということじゃろ」


「そうだ、クロード」



ヒュルトーンに呼ばれた3人の理解は早かった。

勘違いの積み重ねによる間違った理解だったが。



「お前たち3幹部は、決して竜にも劣らない優秀な者だと信じている。

佐倉遊角の討伐、頼めるな?」



討伐と言っているあたり、佐倉遊角は魔獣と同じ扱いである。

彼がここに居たら文句の1つでも言っていたであろう。



「お任せを!」


「ちゃちゃっと片づけてくるわぁ~」


「魔王め……この世界でいつまでも好き勝手させんわい」




3人は「マニィ信者の憩いの場」へ向かった。

佐倉遊角は転移魔法でギルドへ戻っているだろうという予測で。




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