66.再会、そして新たな旅立ち(打ち切り)
前回までのあらすじ。
マニィの浮島の落下が止まった。
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ここは根によって作られた床の上。
ベルセリオは、サーヴィアの根によってあっけなく気絶した。
サーヴィアがベルセリオの記憶を覗き、それを俺に見せてくれた。
最愛のゴブリンを亡くし、世界に希望を見いだせなくなった彼は、破壊の限りを尽くしていた。
途中から、彼自身が魔王として恐れられるようになった。
魔王の信奉者なるものも集まり、彼を崇めたが、彼は信奉者に何も任せることはなかった。
ベルセリオはいつも孤独に戦っていた。
ベルセリオ軍は、魔王信奉者がベルセリオの虎の威を借りていただけのハリボテ集団だったらしい。
あの魔王の幹部を自称したビオラも、ベルセリオのおっかけの一人だったというわけだ。
そのベルセリオは誰にも頼っていなかった。
何も信用していなかった。
ただただ、世界を憎んでいた。
他人(?)の記憶ではあるが、とても悲しくなった。
「さて、と。どうする、サーヴィア」
「パパの好きにすればいいよ♪」
俺がこの後取れる行動は4パターン。
ベルセリオを始末してそれを王都の連中に見せつける。
ベルセリオを逃がす。
ベルセリオを幽閉して利用する。
ベルセリオを仲間にする。
あのビオラって猫耳娘をハーレムに加えるなら……
「ベルセリオを味方にしよう」
「信者の杖を使うんだね、パパ♪」
サーヴィアは賢いなぁ。
「テレポート」
自称ベルセリオの部下どもを目の前に転移させる。
幹部のビオラは気絶させておいた。
他の男連中は、暴れないように王都の城にあった魔法使用不可の鎖でぐるぐる巻きにしている。
サーヴィアが彼らの脳に根を伸ばし、ビオラ以外に電気刺激を与える。
自称ベルセリオの部下を洗脳開始だ。
「「「ふぉあああああ! マニィ様ーーー!」」」
そして、彼らをマニィ信者に仕立て上げる。その数6人。
信者を増やしたことで、信者の杖により、俺は【蘇生魔法】スキルを簡易的に得る。
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【蘇生魔法(信者の杖装備時限定)】
説明:通常の蘇生魔法はLV1000以上で習得可能なのに対し、この魔法は信者の杖所有者ならば誰でも使用できます。
必要MP蘇生=蘇生対象MPx20
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本当なら、フォントノの町の領土を使って、まっとうに信者を増やそうと計画してたのだが、まあいいだろ。
「リザレクト」
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「蘇生魔法」(7x20MP)
MP721/621(+100)→MP581/621(+100)
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ベルセリオの記憶の中のゴブリンを蘇らせた。
子供だし大して強くなかったから、俺のMPでも蘇生出来ると見込んでいたが、上手くいったようだ。
「ギャ(ここは……ひっ?! 人間?!)」
俺を見たゴブリンは驚いている。
そりゃ、最後の記憶が人間に殺された記憶だから、当然か。
「俺はあんたに危害を加えるつもりはない」
「ベルセリオが起きたよパパ♪」
「丁度良かった」
「ギャギャッ!(ひぇぇ?!)」
ゴブリンは、目の前の巨大ライオンを見て驚いている。
サーヴィアがベルセリオを解放する。
ベルセリオの据わった眼はゴブリンを眺めていたが、やがてその目が見開かれる。
「ガァァァァアアア!(ケッシー? いや、彼女はもういない。たぶん、類縁かな)」
「ギャギャ(ひぅっ?!)」
「ガォ!(そんなにおびえなくても、オイラはゴブリンなんて食わないよ)」
言った後、ベルセリオはこちらを向く。
「ガァァ!(さあ、かかってこい人間! この世に未練なんてないぞ!)」
「俺はお前と敵対するつもりはないぞ?」
「ギャ(……あれ? ライオンさんの目の傷、その毛並、どこかで……)」
俺は、ベルセリオに対して、このゴブリンはケッシー本人だ、と伝えようとしたが。
「ギャギャ(もしかして……ベル?)」
ベルセリオは驚愕の表情でケッシーを見た。
互いに、目の前にいるのが誰なのか気付いたらしい。
「ギャギャ(おいで、ベル)」
ゴブリンが手を広げる。
ベルセリオから黒い霧が出て行き、彼の体が小さくなっていく。
やがてその体は、小さな猫になって、
「にゃー」
ゴブリンの胸に飛びこんだ。
◇ ◇ ◇ ◇
俺は、ビオラとその手下の男達、そしてケッシーとベルセリオ、サーヴィアを伴って、王の間に転移した。
ベルセリオの【スキルキラー】は、自身が味方だと判断した者には効かないように設定できるらしい。
彼と和解した今、問題なく転移魔法で転移させられるのだ。
今までの様子を、鏡の魔道具で見ていたタイフォン王や貴族らが、俺達が転移してきたとたんに騒ぎ出す。
「貴様! ベルセリオにとどめを刺さなかったのは、どういうつもりだ!」
「そのゴブリンは何だ! ここは国王の御前であるぞ!」
そしてどうも、彼らは俺の行った行動に対し納得がいかない様子らしい。
「ベルセリオは人間への復讐心が無くなり、無害になった。
このゴブリンは、ベルセリオの友人だ。この2体は俺が保護させてもらう。
そしてビオラは俺のハーレムメンバーに加えさせてもらう。
残りの男どもは、アンタらに差し出すから、拷問でも何でもすればいいぞ」
「何を勝手に決めて……!」
「テレポート」
貴族のつぶやきを無視し、サーヴィアと男どもをこの場に残し、それ以外の連れてきた連中を俺の屋敷へと飛ばす。
「さて、国王様。大岩の竜討伐の報酬として、土地と金をくれるんだったよな?」
タイフォン国王は頭を抱えている。
「その前に1つ尋ねる。そなたは、人間の味方なのか?」
「種族なんてどうでもいい。俺は可愛い女の子の味方だ!」
全員がズッコケた。かっこよく決まったと思ったのに、何でだ。
◇ ◇ ◇ ◇
あれから半月後。
ケッシーとベルセリオは、俺の屋敷で住まうことになった。
今日もビオラがベルセリオの世話をしようとするが、ベルセリオはぷぃっとそっぽを向く。
結局、俺は大岩の竜討伐の報酬を得られなかった。
俺が人間の味方だという確証が無いから、力を与えられないとか何とか。
国から追い出そうとはしてこなかったから、今は様子見されているってところか。
新しいギルドの運営は順調で、新規で5人の冒険者が加わった。
そのうち2人はケッシーとベルセリオだが。
ローライレはベルセリオに対して、良い感情を持っていない。
母親を殺された恨みがあるからな。
そこで俺の次の目標だが、ローライレの母親復活のために、水の大陸へ向かおうと思っている。
俺の【蘇生魔法】に使用するMPを、魔獣が持つ魔石で肩代わりできるらしいのだ。
ローライレの母親も、ローライレと同じく水の力を使いこなす吸血鬼らしいので、水の魔獣の魔石が一番親和性が高く使うのに良いとのことだ。
それに水の大陸には、人魚もいるらしいからな!
マーメイドを是非ともハーレムメンバーに加えたいところである。
あっ、マーマンは結構です、お帰りください。
「よし、そろそろ行くぞ。準備は出来たか?」
「あうー♪」
「バッチリなのじゃ」
「オッケーよ」
サーヴィア、ローライレ、シルフィーンが、今回の旅に同行する。
深海を探索するための魔道具一式は、転移魔法によって入手してある。
「行くぞ! テレポート!」
俺のハーレム作りの旅は、まだ始まったばかりだ!
この話で打ち切りとなります。ここまで読んでくださって、誠にありがとうございました。
私の作った小説は他にもあるので、是非ともそちらも読んでくださると幸いです。




