59.サーヴィアと読書
前回までのあらすじ。
王都で大岩の竜討伐の報酬授与式の入場券を入手して、いったん屋敷に帰ってきた。
所持金約1億4560万MA(+貯金3億6800万MA)
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夜。俺は、サーヴィアと自室で本を読んでいた。
サーヴィアは「植物族魔獣育成」「子育てによくある質問」「ルベレット流・魔獣育成論」「親の悩みとその対処」の内容が入っている図書カードで読書している。
自分で自分の育成本を読むのかと思ったが、もっと強くなりたいらしい。
読書してる姿も可愛いな。
……俺はロリコンじゃねーぞ。
俺は「君が転移魔法使いだったら何する?」「異世界転移小説60選」の2冊が入っているカードを使って、「君が転移魔法使いだったら何する?」を読んでいる。
転移魔法使いが主人公の物語だ。
俺の転移魔法と同じく物体、エネルギーを転移させることが出来る。
俺と違ってMPは使うみたいだが。
問題は、主人公が俺よりも年上なせいか、転移魔法の使い方について、俺よりも頭を使っているということだった。
例えば攻撃手段。俺は相手のエネルギーを根こそぎ奪う方法なのだが、この主人公は相手の核を転移で自分の近くに持って来て、それを潰すという方法を取っている。
さらに多彩な攻撃手段。
大量の水で相手を溺死させたり、転移で核融合させ原子爆弾やブラックホールもどきを作ったり、毒を体内に流して殺したり、熱したり冷却することで神経遮断して動けなくしたり。
転移魔法が直接効かない相手でも、知恵を駆使して戦っている。
「うーん、さすがに俺の負けだな」
15歳の俺は物理学や生物学の知識に乏しい。
今まで何とかやってこれたのはバグログの助言によるところが大きい。
年の功ってやつか。
転移魔法使いとしては、小説の主人公の方が何枚も上手だ。
「にしても、ダンジョンでは転移魔法が使えないってのは実話か?
本当なら俺、ダンジョンに潜り込めないんだけど」
『マジだバグ。ダンジョンは地の大陸にある、異世界人が作った迷宮。
地の神、魔王、冥王がスポンサーをしているバグ』
「恐ろしいな」
4神4王のうち3人が手を組んでるとか、狂気じみている。
「ま、俺がダンジョンに行くことはないだろうが」
転移魔法が使えない場所だと俺TUEEできないし。
「パパは何読んでるのー?」
「んー、小説」
「私も読むー♪」
「よし、じゃあ図書カードを2人で持つか」
図書カードを一緒に持つことで、同じ図書を読むことが出来る。
お金持ちの侍女などは、主人の子どもに本の読み聞かせをする際にこのようにして読み聞かせをするそうだ。
サーヴィアと一緒に夜更かしして「君が転移魔法使いだったら何する?」を読み切った。
主人公はだんだんと増長して小物になり、勇者に討伐されてバッドエンドになった。
何故だか俺の未来を暗示しているような気がして、わけもなく不安になった。




