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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
2章 屋敷の一日~ギルド移転
55/66

55.ギルド改造案02


前回までのあらすじ。

引き続きギルド運営について会議中。


所持金約1億4657万MA(+貯金3億6800万MA)

――――――――――――――――――――――――



異世界に来て14日目。

王様が報酬をくれるまで、あと3日。

例の施設完成まで、あと992日。


朝一番、俺達は再びギルド広間にて集まっていた。


しかし、それだけではない。


「マニィ信者の憩いの場」ギルドマスターのアマンサ。

「竜を討つ者たち」ギルドマスターのシロガネ。

「闇の屍」ギルドマスターのウヨック。

「勇者の集い」サブギルドマスターのクロード。

クラムの町の町長テムス。


豪華なメンツが勢ぞろいしていた。

俺はウヨックとシロガネさんだけ呼んだはずだったのだが。



「久しいのうシロガネ。蛮獣討伐の共同戦線以来かの」


「ん? 居たのか老害」


「その言葉そのまま返してくれるわい!」



ガリガリの老人シロガネと、筋肉質な老人クロードが言い争っている。

人のギルドで喧嘩するなし。



「ほら、早く始めようじゃないか。ここにいる全員、それなりに忙しいわけだしね」


「そうは見えないけどな」


「佐倉遊角、お主とて本来は王都へ出発中の忙しい身のはずなのじゃが……」


「何で?」


「飛行船で浮遊島から1日で降り、そこから馬車で急いで5日、王都までそれだけの距離があるでの」


「そっか、普通は移動するのも大変なんだっけな」



あくまで他人事なので俺には関係ない話だ。



「で、僕たちを集めた目的について、聞こうじゃないか」


「……」




ローブ女のアマンサが何か言いたげに、俺とウヨックを交互に見ている。


ウヨックがテーブルの下でアマンサの手をぎゅっと握っているのが見えた。

こいつらリア充か。爆発しとけや。


というか、ウヨックの今までの嫌がらせと執拗な見張りは、もしかして俺とアマンサが仲良くなるのを警戒してたから、とかじゃないだろうな。


……まあいいか。気持ちは分からんでもないし。



「んじゃ手っ取り早く今回の議題の説明を」


「あの! その……! 昨日は……ごめんなさい……」



俺の話を遮り、アマンサは頭を下げてきた。



「ああ、酔った勢いで喧嘩ふっかけてきたアレだろ?

冒険者じゃよくある話だろうし、気にするなよ」



そういうことになっている。

アマンサは何か続けようとしたが、ウヨックに頭をなでられ大人しくなっている。こいつら……。



「ひゅーひゅー」


「朝から胸やけしそうですよ」


「わたくし達のことは気にせず、机の下でヤってくれて構わないですわ!」


「むむ! ライレも見せつけてやるのじゃグベッ!」



ローライレが俺に抱きついて来ようとしたので、勢いそのまま転移魔法で着席させると、机に顔をぶつけた。



「あー、その、なんだ、続けていいか?」


「あー♪」



俺の膝の上で両手を上げるサーヴィア。

彼女は今はカボチャ2個くらいのサイズになっている。

癒されるわー。



「まずギルド移設についてだが……」



ギルド丸々移転することについて、アマンサから反対はなかった。


第一関門クリアだ。



「続いて、ギルドと町を結ぶ交通手段として、魔導リニアの建設についてだが……」



俺が昨夜、ハーレムメンバーと共に考えて描いたリニアの構造、仕組み、運用予定経路を載せた紙を皆に見せる。


町長のテムスはもちろん、他のギルドマスターらも興味深そうに見ていた。



「異世界人は地の大陸で電車なるものを開発して運用してるそうだけど、これはそれの上位互換だね」


「ふむ、アダマンタイトをこれだけ使用するとなれば……いや、佐倉遊角の転移魔法ならあるいは……」


「風の大陸の主要都市間にこれを作れば、他の3大陸を圧倒できるほどの交通網が作れますね……」


「運搬依頼がはかどりそうじゃのう」



なかなか好感触だ。



「ですが、問題点もあります。まず町の住人の反応。

素直に受け入れるかどうか分かりません。次に保管場所。

アダマンタイトの塊のような車体は、盗難されないよう厳重管理する必要があります。

さらに技術管理。この技術を第三者にどこまで公開し、どこを秘密にするか」


「運営は、どの機関が行うんだい?

町? 国? それともどこかのギルド?」


「そもそもこんな物、作れるかのう?

材料費だけでも馬鹿にならんじゃろ」


「「「佐倉遊角なら問題ない」」」



クロードに対してシロガネ、テムスさん、ウヨックが反論する。

3人の俺に対する、その妙な信用は何だ。



「うん。後の細かな問題点については、僕に任せてくれないか。

これはかなりの一大事業だ。

とても1日2日で終わらない。下手すると何年も議論が必要だ」


「試験的にクラムの町で運用するというのはどうでしょう」


「そうだね。モデル事業として、まずはこの町で運用してみて、ノウハウを蓄積する形にしよう」


「間違いなく町に産業スパイが入りますよ」


「僕のギルドの仕事が忙しくなりそうだ」



ギルドと町を行き来するのが面倒にならないようにしようという軽い気持ちで提案した魔導リニア運用案だが、気が付くと話が大きくなりすぎていた。


……どうしてこうなった。




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