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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
2章 屋敷の一日~ギルド移転
52/66

52.ブレインストーミング

前回までのあらすじ。

特になし。


所持金約1億4657万MA(+貯金3億6800万MA)

――――――――――――――――――――――――



ギルドの広間にハーレムメンバーを集め、ギルドの追加報酬を始めとする運営などを考える会議、通称ギルド運営会議をしていると、



「勝手にお姉ちゃんのギルドを改造するなー」



オレンジ髪の巨乳魔女、ギルド「マニィ信者の憩いの場」ギルドマスターのアマンサが、やる気のなさそうな声で乱入してきた。



「ああギルドマスターか。

お前ら紹介するよ、この人はアマン……」



ズバババババ!


見えない風の刃が俺達に襲いかかってきたらしい。


らしいと言ったのは、俺達のいたテーブルがズタズタに切り裂かれていたことと、エルフ3人とローライレが魔法を放ち、それが見えない刃に対抗していたからだ。



「遊角、鎖!」


「え? え?」


「あの女を捕えるですよ! 早く!」



アマンサの風の攻撃は止まらない。

エルフ3人が魔法で抵抗する。


俺はとっさのことで思考が追いつかないでいた。


その間に、



「つーかまえたっ♪」



サーヴィアの透明な根がアマンサを捕えていた。



「さーちゃん?! ソイツ危ないよ?!」


「魔力は空にしたから大丈夫だよシル♪」


「魔女は魔力なしで風を操ることが出来るですよ。

体力もなるべく奪うですよ」


「おっけーだよグノ♪」



アマンサの体が干からびてゆく。

っと、ボーッとしてる場合じゃない。



「テレポート」



アマンサを魔法使用不可の鎖で縛る。

ついでにテーブルを修復する。


魔法再現を使わない修復くらいなら、今の俺でも出来る。


サーヴィアはアマンサを根から解放した。



「アンチリジェネ! ……これで魔力体力の自然回復はしばらく無効よ」


「にしても、急に襲ってくるとは、どういうことだ?」


「急に襲われるエルフ3人……ひらめきましたわ!」



イフリアは無視して、バグログの方へ向く。




『さすがの俺様でも、他人の考えなんて分からないバグよ』


「そうか。そういえばイフリアのスキルに【思考読解】ってのがあったな。

あれ使ってもらえないか?」


「あれは禁忌きんきスキルですわ。

使用者が自分を見失って廃人になる恐ろしいスキルですので、使用禁止されていますわ」


「む、そうなのか。ならどうする?」


「突然私達を襲ってきたから、憲兵に突き出せばいいですよ。

事前の画像情報はギルドカードにしっかり保存しておいたですよ」


「……ギルドカードって色々便利機能あるんだな」



ギルド員であるのに、ギルドカードの使い方すら知らない。

説明係の受付嬢がいなかった弊害だ。



「やっぱこのギルドは色々と足りないな」


「お姉ちゃんのギルドを悪く言うなー!」



アマンサが抗議したが、別に悪口を言ったつもりはない。


あるべきものがあるべき場所に無いのだ。

台所に包丁がないようなものだ。


それでは困るというだけだ。



「その女は冷静さを失っているですよ。

憲兵に送りこんで頭を冷やさせるですよ」


「うーん、素直に突き出せば殺人未遂だろ?

それってかなり重罪じゃ?」


「自業自得ですよ」


「よし、罪状をでっちあげるか。テレポート」



アマンサの体にアルコールを適量流し込む。



「というわけで、酔った勢いで暴れたアマンサを憲兵に突き出してくる。

何人か目撃者役をよろしく頼む」


「ライレもついて行くのじゃ」


グノーム「任せるですよ」


「さーちゃんの面倒は私が見るわよ!」


「任せた。くれぐれもあの二人には注意してくれ。

変なこと教えられないように」



イフリアとマニィを指差す。



「分かったわ。さーちゃんは守るわよ」


「酷いですわ! 人を有害図書みたいに!」


「まったくです。ちょっと株とマネーロンダリングを教えるだけじゃないですか」


「お前らな……すぐに帰ってくる」



俺含む3人はアマンサを連れて転移で憲兵詰め所に飛び、アマンサを突き出した。


アマンサが色々言ったが、グノームがギルドカードで録画した情報や、アルコール検査、目撃情報などにより飲酒による狂乱ということにされた。


1日詰め所の牢屋で反省すれば帰してもらえるらしい。

よかった。



◇ ◇ ◇ ◇



俺達が帰ると、受付嬢2人が書類整理から解放されていた。



「つ、疲れたっス……」


「ふふ、我が漆黒の……翼をもってすれば、この通り……何の造作もない……こと……よ……」



黒髪マッスルのお姉さんのナージャと、白髪黒羽少女ルシフェルは広間のソファーでぐったりしている。


聞くと4年分の書類整理を数日で済ませたとか。

……すげぇ、というか優秀すぎるだろ。

マニィには二人に臨時手当を頼んでおくか。



「お帰りパパ~♪」



カボチャ大のサーヴィアが抱きついてくる。

そのまま抱っこに移行する。

ああ、癒されるわー。



「で? どうだったの?」


「アマンサとかいう女は、1日憲兵詰め所の牢屋で過ごすみたいですよ」


「どうして暴れ出したのか分かったの?」


「そこはだんまりですよ。どうせ利己的な理由に違いないですよ」


「まあこのギルドがお姉ちゃんの物、とかいう寝言を言ってたくらいだし、大した理由じゃなさそうだけど」



アマンサが襲いかかって来た理由は結局わからずじまいだ。

大体予想はつくが。



「そんなことより、会議続行です。ほら、そこで伸びてる受付嬢も参加してください」


「鬼だ! 悪魔がここにいる!」



疲労で倒れている彼女たちだったが、雇い主マニィの命令には逆らえない。


起き上がり、ふらふらと、俺達いるのテーブルに着く。



「……疲労がとれる薬を2つ。テレポート」



ポーションビンが2つ現れる。2人に渡す。

2人が飲む。顔につやが戻って来た。



「というわけで、全員に紙を渡しましょう」


「紙?」



俺達はマニィから、A4サイズの紙を4等分した大きさの紙をたくさん渡される。



「議題は、このギルドが独り立ちするのに必要なもの、欲しいものです。

現在のギルドは、追加報酬以前の問題ですから。

各人は紙に1枚につき1つ書いてください。

くだらないもの、途方もないもの、その他なんでも書いて結構です」


「ブレインストーミングか」



ブレインストーミングとは、海外で発案された会議方式の1つだ。


まずアイデアを大量に出す。


それらをカテゴリ別に整理する。


出たアイデアについて検討する。

ただし否定的意見でなく建設的意見を出す。


俺の知っているのはこんな感じだ。



「ブレインストーミング……なるほど!

敵の脳内に嵐を起こし、殺戮さつりくする魔法ね!」


「物騒な必殺技の名前じゃないぞ」



俺の知ってることを話した。



「なるほど。それはとても理にかなった方法ですよ。

最初に思いついた人は天才ですよ」


「……この世界って、ちょくちょく

異世界人が来てるんだよな?」



彼らはこの方法を教えてあげなかったのか?

紙が貴重品だから無理だったのか?



『異世界から来た奴らは、たいてい脳筋で早死するか、

魅了魔法で操られて使いつぶされるかの二択だぞバグ』


「酷い末路だな?!」



俺や「異世界から来た人へ」の著者みたいなのは少数派か。

嫌な現実を知ってしまった。



「さて、方法は遊角さんの説明通りです。

5分後に書いた紙を提示してください。何枚でも結構です。

多いほど良いです。奇抜なものの方が楽しいです」



よーし、書くぞ。


文字が書けない奴はこの中にいないらしく、皆が集中して紙に書いていた。



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