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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
2章 屋敷の一日~ギルド移転
51/66

51.待ち続けて


前回までのあらすじ。

大討伐クエストを行い、その後ギルドの運営について話合った。

所持金約1億4657万MA(+貯金3億6800万MA)

――――――――――――――――――――――――



・アマンサの回想



6年前のことだ。


ギルド「マニィ信者の憩いの場」が設立された。

金の神マニィを選んだのは、ここがマニィの浮島と呼ばれていて、あやかるのにちょうどいいやということだった。

信者と名乗っておけばとりあえずご利益があるんじゃないかな。


アリッサお姉ちゃんとノーフおじさんの夢、それはギルド「マニィ信者の憩いの場」を世界一の商人ギルドにすることだった。


商人ギルドとは、商品の貿易、商人護送、商品開発を中心に活動しているギルドのことだ。


浮遊島にギルドを設立した理由は、浮遊島は不便すぎてあまりギルドがないこと、言いかえれば競争相手が少ないところに目を付けたからだ。


それに、私達姉妹は魔女。風の精霊に近い存在。


ほとんどの商人ギルドにとって風の大陸に吹く風が厄介な中、私達は何の苦労もなく風を操ることができた。

暴風が吹こうが、毒風が吹こうが、問題なく貿易も運送護送もこなした。


そして1年経過した。


ギルドが注目を浴び、私は大陸4賢者と呼ばれるようになり、いろんなことが波に乗り始めた。


世界一のギルドも夢ではない。そう思っていた。


そんな時だ。


私は風邪をひいた。

フォントノの町との鉱石貿易、そしてその護送の大事な時に。


ギルドでは、心配ない、代わりに俺達が依頼を受けてやるよと、人の良い冒険者15人が請け負ってくれた。


私と同等の風の制御を代わりに行うなら、20人は必要なのだが、同行するお姉ちゃんとおじさんが8人力くらいあるので心配いらないと思った。


貿易は1週間後に終わり、皆帰ってくるはずだった。



◇ ◇ ◇ ◇



2週間経ったが、誰も帰ってこない。


ギルドマスター、サブギルドマスターともに留守にしているため、そろそろギルド運営に支障が出始めた。


仕方なく私がギルドマスター代理になった。


姉達へ手紙を伝書カラスで送ると同時に、他のギルドへ調査を依頼した。


予定が遅くなっているのは、単に天候が悪いだけなのかもしれない。

よくあることだ。



◇ ◇ ◇ ◇



1ヶ月経った。誰も帰ってこない。


伝書カラスすら帰ってこない。

いったいどうしたというのか。



◇ ◇ ◇ ◇



1ヶ月と2週間。依頼した調査員が帰って来た。

10人以上居たという調査員のうち、たった1人だけ。


「竜を討つ者たち」のギルドマスターが、満身創痍で帰って来た。


いわく、やはり大岩の竜がいた、と。


あの町の生き残りはいない、と。


……いや、お姉ちゃんはそれくらいで死んだりしないから。



◇ ◇ ◇ ◇



2ヶ月経過。ギルド員が2人辞めた。


ギルドマスターの姉が死んだと思っているらしい。

姉がいないこのギルドには、もはや価値はない、とか。



◇ ◇ ◇ ◇



4ヶ月経過。ギルド員が4人辞めた。


ギルド指名依頼がごっそり減ったため、商人ギルド以外の一般冒険者用の依頼をこなさなければ、ノルマが達成できなくなった。


商人ギルド員としての能力しかない彼らは、これ以上の活動は不可能だと言った。

私は彼らを止める言葉をかけることが出来なかった。



◇ ◇ ◇ ◇



半年経過。ギルドには私だけしかいなくなった。

受付もいつの間にか居なくなっていた。



◇ ◇ ◇ ◇



1年経過。Sランクの依頼も1人で軽くこなせるようになった。

お姉ちゃん遅いなぁ。おじさんと旅行でも楽しんでいるのかな。



◇ ◇ ◇ ◇



2年経過。やたらウヨックという男が声をかけてくる。うざい。

「闇の屍」ギルドへ勧誘された。うざい。



◇ ◇ ◇ ◇



3年経過。いつまで待てばいいのかな?



◇ ◇ ◇ ◇



4年経過。ママンから、もう地の大陸へ帰ってきなさいと手紙で言われた。

男が出来たから無理と返すと、誰だと聞かれたので、とりあえずウヨックと答えた。

もちろん冗談だ。



◇ ◇ ◇ ◇



5年経過。ギルド設立から6年。


転移魔法使いの変な少年が現れた。

勝手にギルドへ登録しやがった。


さらに私のお姉ちゃんのギルドを乗っ取るつもりみたいだ。

このやろー。




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