50.大討伐ラッシュとギルド運営会議
前回までのあらすじ。
レリックの森のクリムゾンワイバーンをサーヴィア達が全滅させた。
所持金約1億2627万MA(+貯金3億6800万MA)
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サーヴィアは報酬を俺にくれると言ってくれた。
だが、ハーレムメンバーに養ってもらうのは、俺がヒモになったみたいな気がするので、断った。
異世界に来て11日目。
王様が報酬をくれるまで、あと6日。
例の施設完成まで、あと995日。
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「ゴブリンアーミー討伐(Sランク)」
【依頼主】王都軍事部
【依頼文】ゴブリンが大量の武装兵器で町や村を襲っています。
たかがゴブリンと侮ると殺されます。
彼らの兵器は見たことのない異世界製の兵器です。
1体1体がBランク以上の危険度と思ってください。
1パーティで100体以上の討伐をお願いします。
【報酬】1体につき10万MA。
【期限】1ヶ月以内。
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小鬼の魔獣、ゴブリンは拳銃や手榴弾などを持っていた。
さらに戦闘訓練まで受けていたみたいだ。
誰か異世界人が肩入れしているのだろう。
迷惑な奴もいるらしい。
危険な武器は全部転移で没収し、屋敷の倉庫に収納した。
売ると俺のいた世界の技術が漏れるかもしれないから、鉄くず素材として利用させてもらうけどな。
あとは雑魚の集団だったので、速攻で片付いた。
俺は2030万MA稼いだ。
現在の所持金は約1億4657万MA。
サーヴィアは6000万MA以上稼いだらしい。
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異世界に来て12日目。
王様が報酬をくれるまで、あと5日。
例の施設完成まで、あと994日。
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「ベルセリオの軍隊討伐(SSランク)」
【依頼主】地の大陸ホリゾン国国王ホリゾン4世
【依頼文】風の大陸ギルドへ遠征依頼である。
我が国の北方からベルセリオの魔獣軍隊が我が国へ進軍中である。
増援を要請するのである。
【報酬】討伐した魔獣の危険度に応じた報酬
【期限】なし
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魔王ベルセリオの軍隊というから、どれだけ強いかとビクビクしていたが、強い魔獣の寄せ集めの、統制のとれていない魔獣集団というだけだった。
しかし個体としての強さは格別らしく、エルフ3人はやや苦戦していた。
渡していたチート武器は使っていないらしい。
アレに頼ると戦いの勘が鈍るから使わないんだとか。
舐めプにも程がある。
ローライレとサーヴィアはアリを潰すくらいに楽々と魔獣狩りをしていた。
俺は1000体ほど転移魔法で空へ打ち上げてやった。
5体ほど仕留め損ねたが、そもそも今回の討伐依頼はサーヴィアが主役なので、あまり俺がでしゃばるのもよろしくない。
夕方には敵部隊を全滅させた。
味方軍隊さんによると、後日報酬が貰えるらしい。
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異世界に来て13日目。
王様が報酬をくれるまで、あと4日。
例の施設完成まで、あと993日。
役場でもらってきた討伐依頼は、とりあえず済んだ。
討伐依頼をこなしている間、ギルドは少しずつ変化していた。
まずマニィが約束通り受付嬢を2人ほど雇った。
ナージャとかいう、筋肉モリモリのゴツい黒髪お姉さんと、ルシフェルとかいう、黒い翼が背中から生えた白髪の女の子だ。
二人ともマニィから、溜まっている書類整理を任され、カウンターの奥で忙しそうにしている。
その作業は現在まだ進行中。どんだけ仕事溜まってたんだ。
次の日は、なんとギルドの地下に教会施設と懺悔室が作られた。
マニィがシスター役を引き受けるらしい。
俺は止めさせた。
そして今日。
ギルドの追加報酬を始めとする運営などを考える会議、通称ギルド運営会議が開かれる。
ハーレムメンバー全員がギルド「マニィ信者の憩いの場」の広間に集まっている。
「とりあえず、ギルドが通常どのように稼いでいるか、手元のプリントに書きました」
金髪の神マニィが配ったA4用紙を見る。
手書きで色々と書いている。
というか、この異世界にプリンターはないのか。
「一般的に、ギルドは魔獣の素材買い取り、独自の商品販売、金庫貸出の貸出金や手数料、依頼受注手数料、国や依頼主からの臨時収入などによって稼いでいます」
「で、「マニィ信者の憩いの場」では、そもそもこれらが行われていないため、ギルドの資金自体がない、と」
追加報酬を与えるのにも金がいる。
だがギルドに資金がない。
まずはギルドが儲けるための仕組みが必要なのだ。
「そこでしばらく「マニィ信者の憩いの場」は、巨大飛行船によって資金を得たいと考えています」
「なるほど」
あの飛行船は燃料不要で長時間、高速飛行が可能、中は豪華客船並みという、チート施設だ。
マニィによれば、1日で10億MAくらい稼げるらしい。
すげぇ。
「現在は船に付属しているゴーレムに運送や運搬を任せています。
私は遊びながらにして大金が手に入るわけです」
マニィは金貨をポリポリ食べながら喋る。
金貨はスナック菓子じゃねぇぞ。
「なので、1日500万MAほど、飛行船で儲けた金をギルド運営に回しましょう」
「えー、それっぽっち?」
「儲けの1%未満ですよ。ケチですよ」
「でもマニィさんが儲けをギルドへ渡す義理もないですわ」
そう。マニィの飛行船はマニィの物であり、ギルドは関係ない。
飛行船によって得られた儲けも、当然、全てマニィの物だ。
ギルドとしてはマニィに感謝こそすれ、ケチ呼ばわりできる立ち場ではない。
「ギルドの受付嬢2人の給料はそれぞれ1日5万MAです」
月に150万MAか。年収1800万MA。
すげぇな。
「で、1日のギルドの運営費は、もろもろの費用を合わせて30万MAくらいです」
「そうすると、残り1日460万MAか」
「ギルドの積立金に150万MAほど入れるとして、残り310万MAです」
「その中からいくらくらいまで、追加報酬に充てることが出来る?」
「全部充てて大丈夫ですが」
「ですが?」
「私が支援するのは1年間だけです。その後はサブギルドマスターを辞めます」
「つまり、それまでにマニィの支援なしでギルドとして機能するようにしろってことだな」
「そういうことです」
当然だ。マニィにはこのギルドを養い続ける義理はない。
マニィが気まぐれでギルドに金を渡している間に、ギルドが一人で回るようにする必要がある。
とはいえ……ギルド運営は面倒そうだ。
「全部私一人で仕組みを作ってもいいですけど、それでは面白みが」
「待てー」
ギルドの扉を開ける音。
「勝手にお姉ちゃんのギルドを改造するなー」
巨乳でオレンジ髪の魔女にしてギルドマスターのアマンサが、ずかずかと歩いてきた。




