48.マニィ、サブギルマスに就任する
前回までのあらすじ。
サーヴィアとローライレが「マニィ信者の憩いの場」に加入した。
所持金約1億5627万MA(+貯金3億6800万MA)
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一稼ぎすると言って屋敷から出て行っていた金髪の神マニィは、飛行船の一室でくつろいでいた。
「よお。屋敷に戻らないと思ったら、こんな所にいたのか」
「あら遊角さん。どうしました?」
「ちょっと頼みたいことがあってな」
俺はマニィに、サブギルドマスターになるよう頼む。
「いいですよ」
「てっきり断られるかと思ったが。神様は現世に過干渉してはいけないとか、そういう決まりはないのか?」
「それは人間の妄想ですね。
神様があまりに現世に無頓着で無関心なのが多いから、そういう風に誤解されがちなのですよ」
「ふーん」
マニィもボロ着を着ているあたり、見た目に無頓着らしい。
「とりあえず、ほい。お前のギルドカードだ」
「いただきましょう。がぶり」
マニィはギルドカードに咬みつく。
「……何やってんだ?」
「ぺっ。私は血が通ってないから、こうやって登録するんですよ」
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マニィ・ギンミィ
種族:ゴーレム(6821歳)
所属:金の神「マニィ信者の憩いの場」Sランク
Lv:206
職業:金の神
スキル:【大陸浮遊】【金の神マニィ】【物価変動】
【金運上昇】【値切り上手】【等価交換】【信者への恵み】
HP 4,809 MP2,098
力643 頑丈さ822 素早さ480 知識890 魔法力671 器用さ76
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「神様だけあってステータス高いな」
「自己鍛錬していますから。
他のグータラな神と一緒にしないでください」
「早速だが、サブギルドマスター頼めるか?」
「はい。この飛行船の仕事が済んだらギルドに向かいますね。
仕事の要望は?」
「とりあえずギルドに受付嬢が欲しい。
あと素材買い取りとか酒場とか一通りの機能だな」
「では先立つ物をいただきましょう」
マニィは両手を出す。
どれだけたくさん貰う気だよ。」
「100億MAくらいかかります」
「ふざけんな」
「それは冗談ですが、初期投資に2000万MAは必要です。
色々と足りない物を買ったり、人を雇ったりとするので」
「初期投資分だけで回るか?」
「私を誰だと思ってるんですか? 金の神ですよ?
あとはギルドで稼げる仕組みを作ればいいんですよ」
信者0人の神のくせに偉そうだな。
「まあいいか。ハーレムメンバーに強制労働させるわけにはいかないし」
マニィに3000万MA渡す。
現在の所持金は約1億2627万MA。
「ではサブギルドマスターに立候補します」
マニィのギルドカードが光る。
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マニィがサブギルドマスターに立候補しました。
ギルド員の3分の2以上の賛成により正式に
サブギルドマスターと認められます。
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俺のカードに、「マニィをサブギルドマスターとして認めますか?」と現れた。
賛成、反対を選ぶことができる。
賛成っと。
誰が賛成したかどうか分かるらしい。
俺の世界だったら個人情報漏えいで訴えられそうだ。
俺が賛成したことが他の連中にも分かったのか、シルフィーン、グノーム、イフリア、ローライレ、サーヴィアも賛成したらしい。
アマンサだけは反対だった。
賛成6反対1だ。
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マニィがサブギルドマスターになりました。
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「よし。これでギルドが少しはマシになるか。
受付嬢はいつ雇うんだ?」
「今日雇って、明日にはギルドで仕事させますよ」
「他の仕事も色々よろしく」
「金の神の力、見せてあげますよ」
今は飛行船で物資運搬を請け負ったりしているらしく、その仕事が終わったらギルド運営に協力してくれるそうだ。
マニィへの頼みごとが済んだので、俺は転移魔法でギルドへ転移した。
◇ ◇ ◇ ◇
俺がギルドへ転移したら、エルフ3人が依頼を掲示板に貼っていた。
スライムを使ったのりが、この異世界では使われているらしい。
「依頼を見つくろってきたわよ」
「おう、お疲れさん」
「高額依頼ばかりですよ。稼ぐですよ」
「ああっ! スライムのりがベトベトですわ!」
ギルドの掲示板に貼り付けなければ、ギルドで依頼達成したことにはならないらしい。
なので掲示板に貼り、それをはがすという二度手間をしている。
「ギルドで依頼達成した場合は、所属ギルドによって色んな追加報酬が貰えるのよ」
「あと、ギルドの依頼ノルマにカウントされるですよ」
「でもこのギルドは追加報酬がありませんわ」
追加報酬。
他のギルド、例えば「竜を討つ者たち」では武器や防具をプレゼントしてくれる。
「闇の屍」では、何かアイテムを貰えるらしい。
「勇者の集い」では、町の食堂がタダで利用できるとか。
各ギルドが創意工夫をして冒険者を引き寄せているのに対して、「マニィ信者の憩いの場」では何もしていない。
「マニィに追加報酬のことも頼むか」
俺は紙を取り出し、メモを書き、それをマニィの元へ転移させる。
「マニィって、遊角を呪ってた奴でしょ?
大丈夫なの?」
「使えない奴だったら、別の手段を考えるさ」
一応金の神だし、何とかしてくれるとは思うが。
「そんなことより、魔獣討伐へ行こうよパパ♪」
「おっと、サーヴィアがやる気だ」
「私もヤる気ですわ!」
俺達はサーヴィアの魔獣狩り練習のついでに依頼をこなすつもりだから、今回掲示板にあるのは全て討伐依頼だ。
マニィの浮遊島にはギルド「勇者の集い」があるおかげか、浮遊島以外の大陸からの依頼もたくさんある。
浮遊島から大陸へ行く場合は、普通は飛行船を使うのだが、使用料は10万MAを超えるとか。
ただし依頼料がべらぼうに高い場合、飛行船料金は大した問題ではなくなる。
ま、俺には転移魔法があるから、その辺の事情はどうでもいいが。
「サーヴィア、どれからやる?」
「これ♪」
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「クリムゾンワイバーン討伐|(Sランク)」
【依頼主】レリックの町の町長
【依頼文】風の大陸北東の、レリックの町付近の森に、深紅のワイバーンが住み着いた。
偵察部隊によるとその数は500は下らないという。
なるべく多く討伐してほしい。
【報酬】1体につき50万MA。
【期限】4ヶ月以内。
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「よし、行くか。テレポート」
俺達全員で、指定された場所へ向かった。




