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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
2章 屋敷の一日~ギルド移転
44/66

44.「植物族魔獣育成」アルラウネ


本の内容は読み飛ばしてもらってかまいません。


前回までのあらすじ。

3億MA貯金した。

使役魔獣の卵(アルラウネ)を購入した。

所持金約1億5637万MA(+貯金3億6800万MA)

――――――――――――――――――――――――



円柱タワーな外観の図書館に着いた。

利用料金10万MAを払う。

残り所持金は約1億5627万MA。


図書カードは、来る度に作ってくれるらしい。

何だ、使い回しじゃないのか。



『それで、今日はどんな本を探すバグ?』



バグログは今、透明化している。

彼女の分の利用料金を払ってもいいのだが、本人はあまり図書に興味がないらしい。



「そりゃ決まってるだろ。子育ての本だよ」


『……誰かはらませたバグ?』


「人聞きが悪いなぁ?! アルラウネの育て方だよ!」



イフリアの影響か、最近シモい話が過ぎるんじゃないか、このエロ精霊は。



『アルラウネは人間部分と植物部分があるから、基本何でも食べられるし、どうとでも育てられるバグ』


「とりあえず種族のおおまかな情報くらいは調べるか」



図書カードには「種族大百科」が既に転写してあるので、それを開く。



――――――――――――――――――――――――

「種族大百科」アルラウネ:


種族:植物型魔獣、人型魔獣

危険度ランク:A

概要:植物の体を持ちながら、人の体も持つ女性型の魔獣。

近付いた男性を魅了し殺し、自らの栄養素にする。

マンドラゴラに近い種族で、その根は万薬の元になる。

非常に危険な魔獣であり、見つけ次第殺すか逃げることを勧める。

――――――――――――――――――――――――



んー、どうやって育てるかはさすがに載ってないか。


とすると、新しい本が必要だな。



「アルラウネの育て方について書かれている、おすすめの本を4冊、テレポート」



俺の手元に4冊の本が現れる。


なになに? 「植物族魔獣育成」「子育てによくある質問」

「ルベレット流・魔獣育成論」「親の悩みとその対処」


転移魔法様が勧めてくれるんだから、間違いないんだろう。



「転写、転写、転写、転写っとテレポート」



本の内容を図書カードその2にコピーして、本を元の場所へ戻す。


当たり前のように転移魔法を使っているが、この図書館は魔法使用不可の結界が貼られているらしい。


俺がここへ来た理由のもう1つは、機能制限された転移魔法が問題なく使えるかどうかの実験だ。


俺の身につけているアクセサリーは転移魔法無効を防ぐ効果がある。

なので、おそらく大丈夫だろうと思ったが、実際に上手くいったので安心だ。



「さて、次はこの異世界で俺が知っておくべき知識の本だが」



今のところ生活で困っていることもないし、知りたい情報の大半は、以前に読んだ「異世界から来た人へ」と「昔話100選」に書いてあった。


この2冊はもう読んだから、図書カードその1から外してもいいだろう。

外し方は、図書カードから本を選び転写解除と唱えるらしい。



「転写解除、転写解除」



「異世界から来た人へ」「昔話100選」が図書カードから消えた。


さて、次の本だが、



「転移魔法さん、俺に合いそうな本を2冊見つくろってくれ、テレポート」


『思考停止すんなバグ』



他力本願もいいところだが、特に読みたい本が思いつかないから仕方ない。


俺の手元に現れた2冊は、「君が転移魔法使いだったら何する?」と「異世界転移小説60選」という本だ。


「異世界転移小説60選」は厚さ1mの小説集らしい。

デカすぎ。


内容は、どうやら俺の好きなネット小説みたいな感じだ。

異世界人も同じような物を読むんだな。


そして「君が転移魔法使いだったら何する?」は、転移魔法使いを主人公にした小説っぽい。


面白い、俺とどっちが上手く転移魔法を使いこなしているか勝負だ。



「転写、転写」



2冊を図書カードその1に転写する。暇があったら読ませてもらおう。


だが今はアルラウネを迎え入れるために、「植物族魔獣育成」を読むか。



◇ ◇ ◇ ◇



俺は図書館を出て、以前通ったカフェに入る。



「カフェラテと日替わりケーキください」



席に着き、しばらくすると注文の品が現れる。


今日の日替わりケーキは、プレーンのパウンドケーキに生クリームが乗ったシンプルなものだ。


一口食べる。うん、美味い。


さてと、「植物族魔獣育成」でアルラウネの育て方、っと。




――――――――――――――――――――――――

「植物族魔獣育成」アルラウネ:


入手方法:野性のアルラウネを手なずけるのは絶望的である。

野性のアルラウネの卵からかえしても、本能的に敵視されるであろう。

使役魔獣を販売する者から購入するのがお勧めである。


育成:アルラウネの体が成体になるのには個体差が激しく、おおよそ1ヶ月~3年の間である。

栄養状態が良いほど発育が良いのは言うまでもない。

栄養については、植物部分は日光と十分な水、そして肥料。

人間部分は肉、野菜、魚、その他何でも食べる。

植物部分と人間部分は繋がっているため、片方だけの食事で十分である。

とはいえ、両方の消化器官を使った方が健康に良いのは言うまでもない。


病気:アルラウネ特有の病気は未だ不明である。

だが植物族、人族が罹患りかんする病気は、アルラウネも罹患する可能性があるので注意である。

人間が使用する抗生物質は、植物の体に害がある場合があるため、専門医と相談して慎重に使用すること。

――――――――――――――――――――――――


おほっ、さすが植物族魔獣育成の専門書。


読むのが億劫おっくうになるくらい詳しく書いてある。

これは気合入れて読まないと。


ふむふむ。


カフェラテを飲みきる。



「すみませーん。おかわりくださーい。

次はチョコラテで」



ぺらり、ぺらり。



――――――――――――――――――――――――

「植物族魔獣育成」アルラウネ:


教育:本能的に人族を敵視するので、我々が敵でないことを根気よく説得する必要がある。

彼女らは魅了魔法を使ってくるので、魅了魔法使用不可の首輪が必須である。

彼女らの知能は個体差が激しく、すぐに言語習得や読み書きが出来るようになる者から、一生喋ることもできない者まで多様である。

なので、教育が上手くいかなくても落ち込まないで欲しい。

あなたの愛は言葉が通じなくてもきっと伝わるはずである。


行動範囲:アルラウネ自身には行動範囲の制限はない。

ただし、町中を歩かせると必ず憲兵ともめることになる。

彼女と行動するためには、彼女の全身が隠れるようなローブなどを身につけさせると良い。


寿命:育て方にもよるが、個体差が激しい。

正体不明の病気で数ヶ月で死ぬ者もあれば、1000年以上生きる者までいる。

ちなみに著者が育てているアルラウネは369歳だ。

統計的には、80年くらいが寿命だろうか。

――――――――――――――――――――――――



ぺらり、ぺらり。


ローライレが図書館から出てくるまで、俺は「植物族魔獣育成」を読んだ。


「植物族魔獣育成」には植物族魔獣がかかる病気などについても書かれていた。

ある程度読んだが、何かあった場合は自分で何とかするよりも、専門家に診てもらった方がいいだろうと結論づけた。


よし、帰ったらさっそく孵化させるぞー。



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