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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
2章 屋敷の一日~ギルド移転
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42.転移魔法実験その2


前回までのあらすじ。

俺は夕食まで読書してた。

エルフ3人は、リア充していたギルドマスター2人をストーキングしていたらしい。

所持金約5億7650万MA(+貯金6800万MA)

――――――――――――――――――――――――



夕方になり、シルフィーン、グノーム、イフリアのエルフ3人が帰ってきた。

金の神マニィは未だ帰ってこない。


夕飯にはデビルブルのビーフシチューを食べ、俺達は屋敷の広間でくつろいでいた。


そこへ皮袋を持った伝書カラスが現れる。



「あら、ダークエルフ討伐の報酬ですわ」


「今更かよ」


「皆が皆、即金で払えるわけじゃないからね。

調査がきちんと終わったことを確認してたんでしょ」


「助かったですよ。お金はいくらあっても足りないですよ」



3人は、報酬を仲良く分けていた。


入った金の使い道について、グノームは農具購入に、イフリアは温泉経営資金にするらしい。

シルフィーンは、特に使い道はないので貯金するとか。



「さっそく温泉経営のために、貯金してきますわ!」



税金は貯金から引き落としされる。

商売するなら年に30万MA。


イフリアは白い帽子を被り、赤い髪を揺らし走っていった。

町へ行くのは片道20分かかるだろうに。


町に転移してやろうとしたら止められた。



「温泉は、汗をかいてこそですわ!」



運動して汗をかいた後に入るのがいいらしい。

気持ちはよく分かる。



「気をつけて行って来いよー」



町までの道は真っ暗だが、イフリアは魔法の炎を使うことが出来るので照明は問題なさそうだ。



「イフリアの施設は温泉だったわね。入っても大丈夫かしら」


「お客を呼ぶつもりなら、私達が試しに使用して問題ないか確認するですよ」


『それはいい考えバグ! 皆で温泉バグ!』


「ほぅ、温泉。ライレも入りたいのじゃ」




女子の皆さま方は温泉に入るつもりらしい。


いふリアの温泉は、循環するタイプでなく24時間お湯を垂れ流しさせるタイプなので、いつでも入ることができる。


さらに、脱衣所にタオルや石鹸、ジュースなどを売る自販機型魔道具も完備。

番頭の猫型ゴーレムもいるから、すぐにでも運営可能だ。


なお入口は屋敷の敷地外へいったん出て行き、別口から入ることになる。



◇ ◇ ◇ ◇



温泉は、利用料300MA。

俺達は番頭の猫ゴーレムに支払った。



「マイドアリニャ」



俺が温泉に来た理由は、バグログが俺と50m以上離れられないからだ。

バグログが温泉に入りたいなら俺も来なければならない。



「ほへー、豪華ねー」


「黄金と宝石をこれでもかってくらい使っているですよ。

でもちゃっかり盗難防止の魔法もかけてあるですよ」


『おーい、早く服を脱ぐバグ遊角ー』



脱衣所はもちろん男女別。

向こうの女子の脱衣所から声が聞こえる。



「へーいへいっと」



俺は服を脱ぎ、金ぴかのバスケットに入れる。

バグログの服装は俺の服装と同じになるらしく、俺が脱がないとバグログは裸になれない。



『よし、俺様が風呂の何たるかを教えてやるバグ!』



脱衣所から風呂場へ入る。

バグログがエルフ2人にレクチャーしているらしいが、声だけなので詳細不明だ。



「オイ吸血鬼、ソッチハ男湯ダニャ!」



ドスンと何かが叩きつけられる音がする。

ローライレが俺のところに行こうとしたのが見つかり、おしおきを食らったんだろう。


黄金と宝石で作られた円形の浴槽、俺は1人で広々と湯船に浸かる。


はぁ、生き返る。


そういえば屋敷内には風呂が無かったな。

シャワー室はあるが。


また今度作るか。

転移魔法の能力は制限されているけど、素材さえ揃っていれば多分作れるはず。


というか転移魔法の実験を、また行わないといけない。

能力が制御された状態でどこまで使えるか調べないとな。


よし、思い立ったが吉日。転移魔法の再実験を、今やろう。



「汚れの落ちた木をテレポート」



湯船に木が1本現れる。

枝と葉と根が邪魔だ。

テレポートで消す。


そして現在、丸太が浮かんでいる。

昔住んでた田舎に、丸太に乗って川下りするスポーツがあったな確か。


いや今は関係ない。この木でどこまでできるか実験だ。



「この世で最強の威力のオリハルコン製の剣を作れ。テレポート」



しーん。何も起きない。



「木の剣になれ。テレポート」



一瞬で、木の剣が1本生産される。そして丸太の一部が欠けた。


なるほど、材料さえあれば、物作りくらいはできそうだ。


続いて、物のテレポートだ。


木をどこからともなく持ってくることはできた。なら、



「誰の物でもない、お湯につけても平気な魔道具を1つ。テレポート」



白い金属コップが現れた。拾ってみる。


これは魔道具なのか?


コップで温泉をひとすくいする。

すると温泉水がどんどんコップに吸い込まれ、消えた。


……用途が分からん。


ひっくり返すと温泉水がコップの底から流れた。

これは液体を保存できる魔道具ってことか。


そして実験結果だ。

あいまいな指定でも、ある程度の自動補完はしてくれるらしい。


転移魔法でできなくなったのは、魔法再現くらいか。


よし、この調子で転移魔法の実験を続けるか。



◇ ◇ ◇ ◇



・ローライレ視点



はぁ、せっかく遊角と夫婦で混浴しようとしたのに。

あの番頭め、気がきかないのじゃ。


仕方ないからライレはエルフ達と風呂に入るのじゃ。


ライレの母の本宅には風呂があったが、ライレの住んでいる別荘にはなかったのじゃ。

なので3000年ぶりの風呂なのじゃ。


ちゃぷり。



「っ?! こ、この水は……!」



浸かってみると、体の古傷が消えてゆくのじゃ。


さらに消費した魔力が蘇ってくるのじゃ。


この効果は……秘薬エリクサーに匹敵するのじゃ!



「ちょっと温泉水を鑑定したですよ。これはすごいですよ。

エリクサー並みの効能ですよ」


「このお湯、ビンに詰めて売ったら儲かりそうね」


『エルフの入浴した水……マニアに売れそうバグ』



2人のエルフと精霊はそんな呑気なことを言ってるのじゃ。


いやいや、売るどころか、この場所を悟られることすら駄目じゃろう。


無限に沸いてくるエリクサーのような温泉。


それだけで戦争するだけの価値があるのじゃ。



『でも、この場所から離れたら温泉水は効果がなくなるバグ。

薬として売るのは無理だなバグ』


「みたいですよ」


「そっかー、残念」



そうだとしても、傷ついた兵士を全快させるなど、利用法はいくらでも思いつくのじゃ。


例え温泉水を持ちだすことが不可能だとしても、この場所を狙う不届きな輩は必ず現れるはずじゃ。



「ローライレ? 何を難しい顔してるのよ」


「うむ、この温泉が戦争のきっかけになるのを恐れているのじゃ」


「?」


「戦争? ぷっ、あはははははは!」


「何がおかしいのじゃ!」


「いやいや、エルフ族も引きこもり気味だから世間知らずだけど。

3000年も引きこもっていると、こうも常識知らずになるとはね」



何がいいたいのじゃ。



「つまり、エリクサーなんて、作ろうと思えばいくらでも作れる時代になったってことよ」


「ほぉ! それは驚きじゃ」



なるほど、秘薬と呼ばれた最高回復薬は、もはや珍しいものではないため戦争の火種になるほどではない、と。



「そうは言っても1本200万MAくらいするですよ」


「まあね。国に狙われることはなくても、貧乏な盗賊なんかは狙ってくるかもね」



ライレがこもっている間に、時代は進んだらしいのじゃ。

知っている価値観が通用しないのじゃ。


野性のコウモリと時々、世間話をしていたが、当然彼らがそんなことを知ってるはずもないのじゃ。


遊角が先ほど図書館へ行くことを勧めてくれたが、歴史でも勉強した方がよさそうじゃ。



『15分経過バグ。遊角は男湯から1歩も出なかったバグ』


「シルフィーン。賭けは私の勝ちですよ。後で1万MA寄こすですよ」


「うーん。アイツなら覗いてくると思ったんだけどなー」


「彼の性格的に、そんなアグレッシブなことをしてくることはないですよ」


「いや、遊角は何だかんだでお約束を忘れない気がしたんだけどね」



……一体何をしてるのじゃこのエルフ達は。



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