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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
2章 屋敷の一日~ギルド移転
39/66

39.ゆうべはおたのしみでしたね

のしみでしたね


前回までのあらすじ。

マニィの飛行船から降りた。

詰み防止施設を作り始めるが、そのせいで転移魔法による魔法再現が出来なくなる。

ただし普通に転移魔法を使う分には問題ない。

所持金5億7880万MA(+貯金6800万MA)

――――――――――――――――――――――――


翌朝。異世界に来て七日目。

王様が報酬をくれるまで、あと10日。

例の施設完成まで、あと999日。



目を開ける。窓の外は明るい。

もう朝か。


今日の朝食は何かな?


朝食といえば、食事を誰に任せるか決めてなかったな。

グノームに毎月20万MAほど食費として渡して、料理してもらう、というのが無難か。


うん、そうしよう。


俺は体を起こす。


隣には下着姿の、水色の髪の女の子がいる。


体の色は病気かよと言いたくなるくらい白いが、そこそこのサイズの胸とお尻、すらっとした足、きれいな顔、美しい鎖骨、


……って、観察してる場合か!


何でローライレが一緒に寝ている?

しかもきわどい恰好で。


こんなところ誰かに見られたら、勘違いされる。



『いやー、イフリアの超絶テクニックはすごかったバグ。

遊角も遠慮せず頼めばきっと……』



黒髪半透明な少女バグログが部屋の扉を開けて入って来た。

が、すぐに退出しそっと閉めた。



「おい! ちょっと待てよ! 何で出ていくんだよ!」


『朝食は1時間後って伝えておくバグ』


「勝手な勘違いした上、気づかいするんじゃねぇよ?!

テレポート!」



バグログを部屋の中へ転移させる。



『お、俺様も食べるつもりバグ?』


って何だって。

俺はローライレに手を出してないからな?」


『説得力0バグ』


「そりゃ、こんな格好してりゃ信用されないわな。

おいローライレ、起きろ!

お前から説明しろ!」


「ん~、うるさいのじゃ~……」


「うるさいのじゃ~、じゃねぇ?!

人の寝床で何やってんだよ!」


「……はっ?! 遊角?!」



俺がゆっさゆっさ揺らすと、ようやくローライレが目を覚ます。

やれやれだ。



「やっと触れるのじゃー!」


「ぶわっふ?!」



ローライレが抱きついてきて、そのまま押し倒される。



『それじゃ、俺様はこれで』


「待てバグログ! くっそ、離れてくれ!」



ローライレを引き離そうとするが、俺より力が強いらしく離れない。


仕方ないので転移で距離を離す。



「むぅ、いいところじゃったのに」


「何がいいところじゃった、だよ。

そもそも、男の前でそんな、はしたない恰好をするもんじゃない」


「夫の前なら平気じゃ」


「俺の前でも駄目だ」


「むぅ、ライレはそんなに魅力ないのじゃ?」



そんなことはない。

異世界に来る前にこんな女の子にせまられたら、そのまま流されていただろう。


でも、ローライレ1人をえこひいきしたら、ダメなんだって。

ハーレムの女の子達とは、平等に愛し合うべきだろ。



「ローライレは魅力的だぞ?」


「ぽっ」


「だから、そんな必死に色仕掛けしなくたって、ちゃんと可愛がってやるから安心しろって」



俺は転移魔法で服を着せる。


そして手をつなぐ。これくらいならいいだろ。



「さ、広間で朝食を取ろうぜ」



俺はローライレとそのまま広間へ向かった。



◇ ◇ ◇ ◇



ちょうどマニィ以外の皆がそろったので朝食開始だ。


本日の朝食は、バジルソースのコカトリスステーキ。

もちろんグノーム作。


あらびきコショウでスパイスを効かせ、シソみたいな味のバジルソースが不思議な味を作り出していた。

めちゃ美味かった。



「っと、そうだグノーム」


「何ですよ?」


「食事全般をお前に任せようと思うが、月にどのくらいかかる?」



食後、俺は茶髪エルフのグノームに相談を持ちかける。



「バグログとマニィさんは食べないらしいから5人分を1ヶ月ですよ。

10万MAあれば大丈夫ですよ」



俺の予想より安かった。



「週に1、2回ほど贅沢するなら、15万MAですよ。

どうするですよ?」



そうだな。たまには贅沢したくなるよな。



「なら1年分で180万MAだな。ほい」



10万MA金貨18枚渡す。

残り5億7700万MAだ。


……手持ちが多すぎるな。後で貯金するか。



「任されたですよ」


「で、皆のお小遣いは月にどれくらいがいい?」



俺は周りを見回す。




シルフィーンは「200万MAね」と言う。


グノームは「50万MAですよ」


イフリアは「80万MAですわ」


ローライレは「要らぬのじゃ」


マニィは「1億MAです」って、いつの間に話に加わっていたのだろうか。

金の臭いを嗅ぎつけたのか。



「いやいや、みんな値段がおかしくない?」



日本のサラリーマンのお小遣いですら数万円(≒数万MA)くらいだから、ちょっと盛り過ぎだろ。



『ちなみに、遊角の国の男性年収が500万MAくらいだバグ』



うん。皆の言う通りにしたら破産する。



「一人、月に10万MAだな」


「えー」


「図書館1回分ですよ」


「薄い本があまり買えませんわ」


「そんなの一口ですね」



いや、これでも多いだろ?

結構頑張った方だぞ?



「社長令嬢じゃないんだから、それで我慢しろっての」


「この甲斐性かいしょうなし」


「図書館代を別途で要求するですよ」


「駄目。それを認めたら、全員分等しく払わないといけないから」


「仕方ないですわ。温泉で稼がせてもらうですわ」


「商売するんなら30万の税金がかかるから気をつけろよ?」


「10万MAぽっちですか」


「マニィ、そもそもお前はハーレムメンバーじゃないからお小遣いはやらんぞ?」


「ええっ?! 酷いです!」



皆、勝手なことばかり言いやがって。


まあそれはいい。

それよりも、だ。



「ローライレ、お前はどうなんだ?

何か言いたいことはないのか?」



さっきから文句を一言も言ってこないのは、逆に寂しいのだが。



「母の屋敷で大好きな人と住める。これだけで満足じゃ」



なんて良い子なんだ。いや、俺より年上だけど。

というかマニィの次に年長者だが。



「朝から胸やけしそうですよ」


「ああっ、体が火照ってきたですわ!」


「はー、こいつの何がいいのやら」


「愛では腹はふくれません。なのでお金ください」



エルフ達とマニィが好き勝手言ってくる。

こいつらも、ローライレくらいとはいかなくても、少しくらい俺に気があればなぁ。



と、この時の俺はまだ、ローライレへの高感度は、割と高かったのだ。




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