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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
33/66

33.超高額報酬


エルフ3人吸血鬼1人には王都で暇つぶししてもらうことにし、遊角は王都で金稼ぎをすることにした。

高額の依頼「ポセイドンの神殿の移動(SSSランク)」が完了した。

――――――――――――――――――――――――



「……依頼完了のお知らせが来てるぞよ。

世のギルドカードは壊れたぞよ?」


「女王様もギルドカード持ってんだ」


「クエストを依頼する者は発行する契約ぞよ。

依頼が達成したことを、依頼者にも伝えるためぞよ」


「なるほど、クエストを頼んだ人が分からないとダメだもんな」


「しかし、世のギルドカードをすり替え、依頼達成したと錯覚させるその魔法、見事ぞよ」


「ん?」


「世が騙されると思うたかぞよ!」



第9王女がパチンと指を鳴らすと、いかにも騎士ですって感じの鎧を着た男8人が、俺を囲んだ。

また勘違いの流れか。



「世のギルドカードをすり替え、偽物のギルドカードで世を騙そうとした、その者を捕えるぞよ!」


「はっ!」


「信用ないなぁ……テレポート!」



騎士たちが持っていた物騒な剣を俺の足元へ転移させる



「?!」


「ほら、これで分かっただろ? 転移魔法だ。

俺の転移魔法でポセイドンの神殿とやらを、王女の領土へ転移させたわけだ」


「転移魔法……?」


「そうだよ!

ヒュルトーンといい、ウヨックといい、お前らといい、人の話を聞かずに襲ってくるのはやめろよ!」


「転移魔法……貴様は、もしや佐倉遊角か?!」


「む? 知り合いぞよ?」



騎士の1人は俺を知っているみたいだが、俺は知らない。



「いや、知り合いじゃないが」


「捕えろー!」


「待て!」


「テレポート」



襲ってきた奴らの体力を、ごっそり削る。


バタバタバタ。騎士たちは倒れる。



「あれ? 1人残ったか」



俺は"襲ってきた"騎士の体力を削った。

逆説的に、彼は襲って来なかったということになる。



「佐倉遊角、今度国王が開催する、大岩の竜討伐報告および報酬授与式の招待客の1人です。

もしやあなたが……」


「俺は佐倉遊角だ、って言ったじゃん。

いや、お前らには名乗ってなかったか」


「な、何が起こったぞよ?!」



第9王女は混乱して、あたふたしている。



「つまり、彼は嘘をついていなかったということです、女王様」


「そ、そうなのぞよ? しかし……」


「分かった、実物を見せに行くか。テレポート」



俺は女王と一緒に、ポセイドンの神殿へと転移した。



◇ ◇ ◇ ◇



ポセイドンの神殿は、白く輝く金属のような質感の素材で出来ていた。

大きさは体育館が5x6個くらいか。


王女は最初あたふたした。

が、周りの自分の土地に見覚えがあるらしく落ち付きを取り戻し、目の前の神殿を眺める。



「ほぅ、これが……素晴らしいぞよ……」


「ドヤァ」


「海と地震の神ポセイドン。

その力の強大さを表すような巨大な神殿は、全体にオリハルコンを混合した強固な建材を使っていて、自身の地震でもビクともしなかったという」


「ふーん」


「さっそく内部を探検するぞよ!」


「待て待て! その前に報酬をくれ!」



大喜びで駆け出そうとする王女を止める。



「む、仕方ないぞよ。仕事をした者に報いるのも王族の務め。

王都の城に移動するぞよ」


「よし、テレポート」



王都の城前に来た。



「……恐ろしい魔法ぞよ」


「いいから報酬はよ」


『調子に乗って、あまり不敬なことを言うんじゃないバグよ?』



城門をくぐると、門番が声をかけてきた。



「第9王女様! おかえりなさいませ!」


「ドルチと呼べと、何度言わせるぞよ」


「あれ? お連れの騎士はどうされましたか?」


「ああ、そのうち帰ってくるぞよ」


「ほい。テレポート」



ギルドに居た騎士たちをここへ転移させる。



「……はっ?! ドルチ様! ご無事で!」


「ぞよ」


「突然お姿が消えた時、我々は気が気でなかったですよ!」


「世はこうして無事ぞよ。何も心配ないぞよ」


「はっ!」



騎士を連れ、王城の中へ。


石レンガ造りの灰色の城の中には、馬車3台くらい通れる廊下。

そこを曲がり階段を上り、また長い廊下。

そしてある一室の前で止まる。



「世の金庫はここにあるぞよ」


「ギルドに貯金しないのか?」


「……王族が特定のギルドをひいきすることはできないぞよ」


「なるほど。ということはギルドカードも」


「ギルド無所属ぞよ」



ギルドカードとは一体……



「報酬の5億MAを持ってくるから、そこで待つぞよ」


「8億だったはずだが?」


「……まけてもらえないぞよ?」


「王族と約束を違えると、何だっけ?」


「この卑怯者ぞよ……!」




自分で言った言葉には、きちんと責任を持ってもらいたいものだ。


決してぼったくってやろうとか、そんなことを思ってるわけではないぞ。


部屋に入った王女が、しばらくして戻って来た。



「内容物開示ぞよ」



王女の持つ皮袋に、8億MAと表示された。



「確かに渡したぞよ」


「あざーす」



受け取った皮袋には、たくさんMA金貨が入っていた。

数えるのも面倒になる量だ。



「さぁ、騎士たちよ! さっそく神殿探索ぞよ!」


「その場所まで、今から5時間はかかりますが……」


「遊角、世らと、庭の馬車と、あそこの食料庫の食料を転移させるぞよ!」


「タダ働きさせる気かよ。

まあサービスしといてやるか。テレポート」



言われた通りに転移させる。


そして俺とバグログだけが残った。



「やっと二人っきりになれたな」


『オェッ……気持ち悪いセリフを言うなバグ』


「傷つく反応だなオイ。テレポート」



俺はクラムの町へ転移した。



◇ ◇ ◇ ◇



ここはクラムの町の町長テムスの家。



「ようこそ」


「昨日話していた、湖の近くの屋敷一帯を購入しに来た」


「おや、遊角さんが? ローライレさんは?」


「一緒に住むから問題ない」


「なるほど……では確認します」



8億MA入ってる袋を渡す。


2億3000万MAは、10万MA金貨が2300枚。


確認するのは大変だろうと思ったが、



「2億3000万MA現れよ」



袋を覗きこんで言う。


MA金貨がたくさん袋から飛び出す。


金貨は浮いてる。



「2億3000万MA、ここに入れ」



テムスは別の袋を用意して言う。すると宙の金貨はその別の袋へと吸いこまれる。


全部吸いこみ終わった後、



「内容物開示」



2億3000万MA、と金貨の入っていった袋に表示された。

魔道具ってすげー。



「確かに受け取りました」


「おう」



テムスさんは、契約書っぽいのを取り出し判を押し、俺へ渡した。



「土地の事について王へ一筆、手紙を送りますが、土地と屋敷は、もう使っていただいて大丈夫ですので」


「分かった」


「(ところで、この世界の税金って、どうなってんだ?)」


『(ギルドへの預金から自動引き落としだバグ)』


「(マジか。残金に注意しないと)」


「ギルドカードをご確認ください。所有地が示されているはずですので」


「おう」



ギルドカードを見る。



――――――――――――――――――――――――

佐倉遊角さくらゆうかく

種族:人間(15歳)

所属:「マニィ信者の憩いの場」Sランク

Lv:63

状態異常:【不老不死化(解除不能)】【超耐性(解除不能)】

職業:初期冒険者

スキル:【転移魔法(魔王特製)】【バグログ】

HP 68/68 MP721/621(+100)

力5 頑丈さ3 素早さ4 知識3 魔法力1033 器用さ2

――――――――――――――――――――――――


……特に変化はないみたいだが?



「裏が世界地図になっています。

印がついたところが領地です」


「カードの裏かよ!」



恥ずかしー!


世界地図には、確かに小さく赤い印が付いていた。


見づらいな、拡大できないものか。


と思ったら拡大表示された。ギルドカードまじオカルティック。



「うん。印が付いてるな」


「以上で土地の購入は完了です」


「ああ、世話になった」


「あれだけ大きな土地だと、毎月10万MAくらいの税金が発生するので注意してくださいね」


「高っ!」



都会のアパート並かよ!



「(バグログ、俺の税金って、他にどんなのがある?)」


『(ギルドに加入してるから年1万MAx4人分。

商売をするなら年30万MA。それ以外は特にないバグ)』


「(ふーん)」


『(他の大陸だと、かなーり複雑な細かい税金がたくさんあるバグ)』


「(俺には関係なさそうだ)」



もう屋敷を買ったし、そこで永住するつもりだし。


それに屋敷以外の土地もかなり広く購入したみたいで、牧場の2つでも作れそうだ。

作るつもりはないが。



「また何か困ったことがあったら、私に言ってください」


「おう。じゃあな」



俺は転移で、テムスの家から去り、さっそく屋敷へ行くことにした。



◇ ◇ ◇ ◇



「……。……行ったみたいですね。

あの土地の本当の購入金額は1億8000万MA。

私は5000万MAの得をしたというわけです」


「やっぱり彼は心配だね。

こんな簡単に騙されるようじゃ、先行きが不安だよ」



全身タトゥーの、顔に無数の切り傷を持つ男、

「闇の屍」ギルドマスター、ウヨックが影から現れる。



「それにしても、ローライレさんの代わりに遊角さんが、土地代を1日で稼いでくるとのウヨック様の予想。

いくらなんでもそれはないと思ったのですが、まさか本当に稼いでくるとは」


「ね、彼の恐ろしさが君にも分かっただろう?」


「そのくせ、こんな簡単な詐欺に引っ掛かるようでは、確かに不安になります。

第3者の仲介人も雇わずに土地を買うなんて」


「忠告が足りなかったかなぁ」


「いつか痛い目にえば、きっと注意深くなるでしょう」


「彼一人が痛い目に遭うのは構わないけれど、それが僕たちに飛び火しないか心配なんだよ」


「それで、この5000万MAは?」


「彼の金庫に足しておいてあげよう」


「お伴します」


「うん」



ウヨックは思った。

佐倉遊角は年相応の危うさと頼りなさがある、と。


シロガネがギルドマスターを任せようとしたらしかったが、とんでもない話だ。

今の彼に、ギルドのかじ取りをさせたら、たちまち崩壊してしまう。


もっと、しっかりしてもらわなくては。


この町を守るために。


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