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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
30/66

30.吸血鬼の屋敷・調査完了


前回までのあらすじ。

屋敷には吸血鬼の女が住んでいた。

冥王に操られたマニィに襲撃されたが、人形魔王に助けられた。

――――――――――――――――――――――――


倒れているマニィを、彼女の家に転移させ、俺は水色の髪の吸血鬼に向き合う。

吸血鬼が話し始める。



「邪魔が入ったが、お主らがこの屋敷へ来た目的を聞いておらぬのじゃ」


「ああ、そうだったな。俺の目的は、この屋敷の調査だ」



ギルドカードにクエストを表示させ、ローライレに見せる。



「ふむ? これは何じゃ?」


「ギルドカードだ。知らないのか?」


「ライレが外にいた頃には無かったのじゃ」


『ギルドカードが現れたのは、ほんの1000年前バグ。

風の神の使いが、各ギルドにこっそりと配っているバグ』


「風の神? 童話に出てくる神じゃな、実在するとは思わなかったのじゃ」


『ギルドカードを介して、4神と4王は世界を監視しているのバグ』


「そんな話は初耳だぞ?」



ギルドカードを使って盗聴や盗撮してるってことか。

嫌すぎる。


こんな機能、転移魔法で無くして……



『監視機能を解除したら風の神の怒りを買うバグよ?』


「……」


『ちなみに魔王は独自に、転移魔法に監視機能を内蔵してるバグ。

仮にギルドカードを改造しても、魔王の監視からは逃れられないバグ』


「おいおい」



俺の生活にプライベートはないのか。



『今更すぎるバグ』


「えぇ……」


「佐倉遊角よ」


「?」



ローライレが、脱線していた話の続きを始めた。



「この屋敷のカラクリについて調査してるということじゃな。

簡単じゃ。ライレの活動時間になったら、屋敷全体の掃除が始まるよう、魔法結界を発動している。

ただそれだけじゃ」


「屋敷全体の掃除?」


「この屋敷にはホコリ1つないじゃろ?

そういうことじゃ」



つまり、ローライレの活動時間の夜は、屋敷からゴミが追い出されるということか。


って、侵入した調査員までゴミ扱いかよ。



「でも俺達は屋敷から飛ばされなかったぞ?」


「ライレの魔法に耐性でもあるのじゃろ」


「なるほど、状態異常【超耐性(解除不能)】か」




このチートな状態異常については、冥王は特に怒っていなかったはず。


だが広めすぎると、また誰か怒らせるかもしれない。


俺のハーレム要員限定にしよう。そうしよう。



「調査は済んだみたいじゃの」


「ああ、協力ありがとう」


「さて、ライレも行くのじゃ」


「ん? どこか出かけるの?」


「何を言っておるのじゃ? クエストとやらの依頼主に報告せねばならんのじゃろ?」


「お、一緒に来てくれるのか?」



屋敷の持ち主が来てくれるというのなら、報告が捗るぞ。



「当然じゃ」


「よし。テレポート」




俺達5人は転移した。


バグログは俺の一部だから人数には入れいていない。


ハーレムにカウントしたら怒られるし。



◇ ◇ ◇ ◇



依頼主のクラムの町、町長テムスは痩せた中年の男だった。


俺達は、テムスの立派な家の客間で、報告をしていた。



「なるほど。そこの吸血鬼の少女が屋敷を……」


「自分よりも年下に少女呼ばわりされるのは不愉快じゃ。

ライレはこう見えて3000年は生きているのじゃ」


「はぁ。失礼しました」



吸血鬼相手に、堂々としているあたり、さすが町長というだけある。



「分かりました。

ですがローライレさんには残念ですが、いったん屋敷を引き取っていただかなければなりません」


「ほぅ?」



藍色の瞳を鋭くするローライレ。


テムスは目をそらさずに対応するが、冷や汗をかいている。



「私が決めたわけではありません。

町や村以外の土地は基本的には国王の土地。

これは全世界共通の決まりなのです」


「ふむ。

つまり国王からすれば、ライレは自分の土地に勝手に住み着く無法者、というわけじゃな?」


「無法者というのは言い過ぎですが、まあそういうことです」


「なるほど。つくづく人間とは勝手な生き物なのじゃ」




確かに、はるか昔から住んでいたローライレに対して、ここは俺の土地だと勝手に言い張る国王。

ローライレからすれば、何様だお前って感じなのだろう。



「この大地を作りしは4神。生命の肉体を作りしは4王。

もし世界の所有権を正当に主張できる者がいるとすれば、それは4神と4王だけなのじゃ」


「はぁ。4神と4王は死んだのです。

ならば、世界は力のある者、すなわち国王の物である、という考え方が現在の主流です」


「その理屈ならば、魔王ベルセリオが世界の所有者にふさわしい、ということになってしまうが?」


「あんな下劣な魔獣の王になど、何の権利もあってたまるか!」



冷静で温厚に見えたテムスが、いきなり声を荒げる。



「……申し訳ありません。少々取り乱してしまいました」


「よいのじゃ。アレに不快感を持つのはライレも同じなのじゃ」



怒り方から察するに、テムスさんはきっと、知り合いをベルセリオに殺されたんだろうな。



「話を戻します。

もしローライレ殿が屋敷を持っていたとなれば、国王は税金を、つまり数千年分の土地利用に対する税金を要求するでしょう」


「それは大層な金額になりそうなのじゃ」


「ところが、ローライレ殿があの屋敷に住んでおらず、国王から湖付近一帯の土地を買うだけならば、ほんの数億MAだけで済むのです」


「ふむ。お主は、このライレに脱税まがいのことを勧めるわけじゃな?」


「ちなみにバカ正直に税金を払うなら、10万x12か月x数千で、24億MA以上は必要になります」


1MA≒1円くらいだから24億円……宝くじ何回当てればいいんだよってくらい、途方もない金額だな。



「よかろう、夫に借金を背負わせるわけにはゆかぬし、その提案に乗ってやるのじゃ」


「あの一帯は、いわく付きの不気味な屋敷があるし、湖のせいで土地が湿ってグジャグジャですし。

かといって農作物もなぜか育たない不浄な土地で、おまけに魔獣もよく出るような土地と不評だらけです。

なので、安く買い戻せるはずですよ」



えー、ローライレは夫持ちかよ。


吸血鬼をハーレムに入れるのはまだ先になりそうだ。



「ああ忘れそうになりました。依頼料10万MAです」


「どうも。ライレ、お前お金持ってる?」


「ふむ、現代の貨幣は所持しておらんのじゃ」


「なら、この10万MAはお前が持ってろよ。

しばらく家なしで過ごすんだろ? 何するにもお金は必要だからな」


「ありがたいのじゃ。遠慮なく貰うのじゃ」


「では屋敷買い戻しについて詳細を説明します……」




テムスが、さらに細かい計算についてライレと話し始める。

俺には関係ない話だったので、町長の家の外で待機させてもらうことにした。


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