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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
26/66

26.4神と4王


前回までのあらすじ。

ダークエルフ盗賊団が全滅した。

――――――――――――――――――――――――



俺は転移魔法でシルフィーンの所へ転移する。


ここはクラムの山の付近の道だな。

雑草と小さな林がある。



「よぅ。依頼は終わったのか?」


「わ! びっくりさせないでよ」



俺の登場に驚く、緑髪のエルフのシルフィーン。



「依頼が30分くらいで終わったから、ヒマつぶしに採取してるところよ」


「そうか。依頼はそんなに簡単だったのか?」


「遊角の渡した魔法剣が強かったおかげね」


「ほぉ」



適当に転移魔法で作った武器でも、それなりに戦えるみたいでよかった。



「それで、他の2人はどこに行った?」


「他の場所にいるみたい。呼ぶわ」



シルフィーンが口笛を吹くと、水色の小鳥がやってくる。



「私の友達を呼んでちょうだい」



小鳥が鳴いて返事をし、飛んで行った。



「30分くらいでやってくるはずよ」


「そうか」



転移魔法で迎える予定だったが、別に急いでないし、いいか。


その辺のちょうどいい大きさの石に座り、図書カードから適当な童話でも読むことにした。




――――――――――――――――――――――――

「昔話100選」~~4神と4王~~:


昔々、4体の神と、4体の王がいました。


地の神は、土がたくさんある大陸を作りました。


水の神は、水がたくさんある大陸を作りました。


炎の神は、真っ赤に燃える大陸を作りました。


風の神は、風が止まない大陸を作りました。


4体の神は思いました。何か足りないなぁ。


4体の王は言いました。大陸の住人がいないんだよ。


なるほど。でも今日は疲れたから寝よう、

そう言って4体の神は眠ってしまいました。


4体の王は考えました。それなら代わりに

僕達が大陸の住人を作ってあげよう、と。


さっそく作業開始です。


冥王めいおうは、生き物の魂を作りました。


獣王は、生き物の体を作りました。


樹王は、生き物の知能を作りました。


魔法使いの王は、生き物に魔法を与えました。


4体の神が起きると、大陸にたくさんの生き物があふれていました。


わぁ、とっても素敵! ありがとう!

4神は4王に感謝しました。


これが、この世界の始まりです。


4神と4王が死んだ今でも、大陸は不思議な力を失わず、

生き物は命のリレーを繰り返しているのです。

――――――――――――――――――――――――



……おい。ちょっと待て。



「バグログ。この話の4神と4王って……」


『どうかしたのかバグ?』


「お前がちょくちょく会話に出してた、あの4神と4王のことじゃないよな?」


『そうだぞバグ』


「でも本では、4神と4王は死んだって書いてあるぞ?

現在の4神と4王は、童話で出てくる奴らの子孫ってことか?」


『いや、本人バグ』


「死んだって書いてあるのは?」


『人間が勝手に言ってるだけだろバグ。

だいたい、魔王のことを魔法使いの王だなんて書いているあたり、魔王が世界創生に関わったことを隠ぺいしたかったみたいだなバグ』



歴史の隠ぺいってことか?

それはつまり、



「魔王ベルセリオが神格化されるのが嫌だったからか?」


『んー、ちょっと違うバグ。

この本が作られた頃に悪名高かったのは、吸血鬼カミラって魔王だったはずバグ』


「カーミラだと?! いるのか! 伝説の吸血鬼が!」



カーミラといえば、高名な百合吸血鬼。

俺、ワクワクしてきたぞ!



『カーミラじゃなくてカミラバグ。

3000年前くらいに死んだバグ。

ベルセリオにそれはもう無残に食い殺されたらしいバグ』


「おのれベルセリオ!」



せっかく俺のハーレムに吸血鬼が入るチャンスだったのに!



『……残念だけど、カミラは子持ちだったみたいバグよ』


「あら、人妻だったのか。残念」



さすがに他人の女性にまで手を出したりはしない。


にしても吸血鬼か。

是非ともハーレムに加えたいものだ。



『4神や4王のことはもういいバグ?』


「んー、人形魔王以外は会ったことないし、あんまり興味ない」



とりあえず、地の神、水の神、炎の神、風の神。

冥王、獣王、樹王、人形魔王の8体はヤバイやつら。


それだけで十分だ。



「来た来た。おーい」



シルフィーンが手を振る。


茶髪と赤髪のエルフ2人が、片手を振りながら向こうからやってくる。


大きなクマを引きずりながら。



「今日は筋肉グマのステーキですよ」


「……聞いただけで固そうなステーキだな」


「そのまま焼けば、固いですよ。

筋を切るとか酸につけるとか、下処理をきちんとすれば柔らかくなるですよ」


「そうそう。下の処理は大事ですわ」


「どこの処理の話だ?!」


「遊角、イフリアの相手をまともにしてたら疲れるわよ」



シルフィーンがヤレヤレといった感じで忠告してくれる。


しばらくの付き合いで分かったが、イフリアは真正しんせいのHENTAIらしい。



「昼と夕方のご飯を兼ねて、ここで作って食べるですよ」



グノームが言いつつ、魔法でクマの解体を始める。


地面から無数の金属の刃が飛び出し、カチャリカチャリ、ズッズッズと音を立てながらクマを肉片にする。


解体ショーの早送りを見てるみたいで、あっという間に皮と肉の分離を終える。



「さて、あとは味付けをして……」


「やっと見つけた!」



誰か男の声に、俺は振り返る。


手足を縛られた紫髪のエルフの男が、コロコロと転がってきた。

……何だこいつ。



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