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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
25/66

25.ダークエルフ盗賊団の災難


前回までのあらすじ。

いくらかのクエストを完了し、1070万6000MA稼ぎ、手持ちの合計は1204万6000MAになった。

なお1800万MAほど貯金している。

――――――――――――――――――――――――



・とあるエルフの男視点



俺はアルス。エルフの男だ。


2週間前に仲間の女エルフ3人が捕えられ、集落は若い女性が0になるという未曾有みぞうの危機に陥った。


このままでは子孫が残せず集落は壊滅するだろう、と長老が言う。


エルフはただでさえ繁殖力が弱いのだ。

現在の里にいる女性エルフは、皆それなりに年を取っていてもう子どもは産めない。


他所のエルフの集落から人を貰えばいい、という何も分かっていない奴もいた。


エルフの集落というのは人目に付かない場所にあり、他の集落を探すというのは、同族の俺達でも困難なのだ。


おまけに他のエルフが純血であるとは限らない。

変な混ざり物の血を受け入れるくらいなら、集落が滅びる方を選ぶ。


ならどうするか?


捕らわれた3人を取り戻せばいい。


俺は長老が止めるのを無視し、クラムの町へ向かった。




……そして現在、俺はきたならしい黒色の肌をしたエルフ、ダークエルフの盗賊団に捕まっている。



「くそっ、放せ! このけがらわしいゴミどもめ!」



俺はダークエルフの男に吠える。



「放したら、オタク逃げるやんか」



だが、ダークエルフは俺の命令を無視した。

何様のつもりだ!



「うすよごれた分際で、俺に口を聞くな、このゴミが!」


「口が悪いなぁ……これやから選民思想を持つ連中は……」


「黙れと言っている!」




ダークエルフの男は、俺に対してそのきたない口で話してくる。

非常に不愉快だ。



「おーい。大ニュースや。クラムの町にとんでもない男が現れたらしいで」


「どんな奴や」


「ああ、知っとる。そいつ大岩の竜を一人で殺したって話や」


「んなアホな?!」


「それだけやない。「勇者の集い」ギルドマスターが襲ってきたんを返り討ちにしたそうや」


「一体何があったんや?!」


「それが、そいつ魔王ベルセリオの関係者いう噂や」


「おっかないなぁ! オイ!

ってことはヒュルトーンは死んだんかいな?!」


「いや生きとる。ギルドに引きこもって、ブツブツつぶやいとるらしい。

『あれはベルセリオとは関係ない、関係ないのだ』とかつぶやいて」


「現実逃避すなや?! ギルドマスターがそないな様子で大丈夫かいな「勇者の集い」ギルドは!」




ダークエルフどものわずらわしい雑談は止まらない。

イライラする。


くそ、俺はこんなところにいる場合ではないというのに……!



◇ ◇ ◇ ◇



・シルフィーン視点




風が教えてくれる。

この先の向こう、あの洞窟がダークエルフの盗賊団のアジトね。


私の役目はいつだって先兵、そして敵の陽動係。


作戦はこう。


私がまず敵に切りかかる。敵は私を追う。

しかしグノームの仕掛けた巨大落とし穴にかかる。


残りの敵から私は逃げる。逃げ場のない岩壁へ。

ダークエルフは私を追い詰めた気になる。


そこへ後ろからグノームとイフリアが不意打ち。

私は風で防御に徹する。


そこでまだ仕留めきれない場合、最終手段としてグノームの強烈な神経毒爆弾を使う。


私たちは【超耐性(解除不能)】により毒を受けない。


そしてダークエルフといえど、体の自由が効かなくなる。

その隙にグノームの魅了魔法を決める。


完璧な作戦ね。




「始めるわよ」




呟きつつ、風を操り足を加速させる。

そして、洞窟の入り口の見張りに切りかかる。



「エアブレイド!」


「なんやお前ぶほぉ?!」



風の力を乗せた魔法剣を男に切りつけた。

風の刃が男を襲う。


これで倒れるとは思っていない。せいぜい不意打ちでびっくりさせたくらい。


そう思っていたのに。




ビュオォオオオオオオオン!



風の刃は男を上半身下半身真っ二つにした。

それにとどまらず、洞窟の通路の奥へ飛んでいった。


奥からはザクザク切り刻む音が聞こえる。



「……」



入口で戦っている間に、敵が仲間を呼び、それをおびき出す作戦。


だが、いつまでたっても敵が現れない。



「……奥に行くわ」




誰かに会ったら、すぐ逃げる算段をして、私は進んだ。



洞窟はそれほど奥へ続いておらず、そこには6人のダークエルフの死体と、ビクビクおびえる見知った顔が。



「あら?」


「し、しししシルフィーン! お前だったのか!」



そこには、失禁した知り合いのエルフ、アルスがいた。



◇ ◇ ◇ ◇



・シルフィーン視点



「ダークエルフの耳7人分、14個を入手したですよ」



報告をするためにその証拠を持っていくのだけど、死体を全部持っていくわけにはいかない。

遊角ならそのくらいできそうだけどね。


ダークエルフの体の一部、耳を人数分切り取った。


もっとも、生きてるエルフ族だったら耳くらいすぐに生えてくるのだけど。


ま、後日だれかが追加調査するから、その時にこの死体の山を見せればいいでしょ。



「それにしても、10分足らずで1人で敵を全滅させるなんてですよ」


「無茶しすぎですわ」


「いや、一振りで全員こんなしちゃったのよ。本当よ?」


「それでも一人で奥へ行くのは愚策ですよ。

入口付近で作戦を練り直すことだってできたはずですよ」


「う……ごめんなさい」



確かに、一人で突っ走りすぎたと反省。




「で、俺はいつまで縛られていればいいんだ!

早く拘束を解けよ!」


「あら、いたの?」



エルフの里でも、そのひん曲がった性格のせいで友達が少なかった男、アルス。

助けてあげたってのに、感謝の気持ちすら見せないなんて。



「ハァ?! ふざけんなよ! 女のくせに舐めた態度とるんじゃねぇぞ!」


「相変わらず口も態度も悪いですよ」


「一人っ子で、ぬくぬくとわがままに育てられた弊害ですわね」


「いや、これは親のしつけが悪いせいでしょ」


「さっきからゴチャゴチャうるせぇぞ!

いいから早くこの縄を解け!」



イラッ。



「そんなに言うなら、自分で解いたら?」


「な?!」


「魔法使用不可の魔道具の鎖ならともかく、普通の縄で捕まるなんて、ありえないくらいダサイですよ……」


「いいえ、彼は楽しんでるんですわ。私には分かりますわ!」




アルスは魔法の授業をサボったせいで、初級魔法すらろくに使えない。


それでも集落での仕事は、ほとんど力仕事だったから、彼はあまり不自由することはなかった。



「で、アンタどうしてここにいるわけ?

集落の皆は無事なの?」


「それを聞きたいなら、今すぐ縄を解いて、さっきまで失礼をしましたアルス様って言うんだな」


「さぁ、みんな。この洞窟にはもう何もない・・・・みたいだし、遊角の迎えを待ってる間、近場で採取でもしましょう」


「ですよ」


「ですわね」


「待て待て待て! 俺を置いて行く気か?!

嘘だろ?! おぉーぃ?!」



遊角が来るまでの間、使えそうな薬草や食材を採取したわ。

今日はグノーム、何を作ってくれるかしら。


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