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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
20/66

20.だが断る


前回までのあらすじ。

王都から帰ると、「竜を討つ者たち」のギルドマスター、シロガネが俺の部屋の前で出待ちしていた。

――――――――――――――――――――――――



目の前の老人、「竜を討つ者たち」のギルドマスターであるシロガネを前にして、俺はどうすればいいか当惑していた。


以前に「勇者の集い」の奴らに襲撃されたことを思い出し、とりあえず警戒しておく。

エルフ3人も同様に警戒態勢をとっていた。



拙者せっしゃの配慮が足らぬために、佐倉遊角どの、あなた様に不要の警戒心を抱かせたことをびたい」


「……俺を敵視してないのか?」


「拙者らのギルド一同は、あなた様に感謝こそあれど、敵意などありませぬ」



ならいいか、と俺は警戒を解いた。

だが、エルフは未だに警戒態勢を解かない。



「このじいさん、敵じゃないって言ってるぞ?」


「甘いわね。油断させるためにそう言ってるに違いないわ」


「私達の部屋の前で待機していた時点で、怪しすぎるですよ……」


「この老人さんは食ってもおいしそうじゃありませんわ」



シルフィーンは緑髪を、グノームは茶髪を、イフリアは赤髪をふわふわ揺らしながらそう言った。



『(遊角、早くエルフ達を止めないと、魔法ぶっぱするつもりらしいバグよ?)』


「髪を揺らしてたのは魔法を使う前兆だったのか?!

おいお前ら、ストップ!」



言ったのだが、既に3人は風、石、炎を老人に飛ばしていた。

老人は腰の剣を構え、それらを受け流すつもりだったが……


エルフ3人の魔法は、全て俺が町の外の森へテレポートした。

ついでにエルフ3人を、鎖をテレポートさせて縛った。



「ちょっと! 何すんのよ! ほどきなさいよ!」


「シルフィーン、この鎖には魔法使用不可の力が付与されているですよ。

風のカッターを使って鎖を切ろうとしても、無駄ですよ。

いい加減学ぶですよ」


「ふぅ……縛りプレイは飽きましたわ」


「お前らが宿屋を壊したら俺が怒られるから、少し反省してろ」



勝手に暴れようとしていたエルフを大人しくさせた。


いくら転移魔法がチートでも、壊れた宿の修理までは出来ないだろう。

今の俺に修理代を払う余裕はない。



『(宿の修理くらい、転移魔法で出来るバグよ?)』


「(マジか)」



転移魔法が万能すぎる件。



『(俺様に精霊体の体を作ったくらいだから、建物を作るくらい余裕だろうバグ)』


「(……今夜あたり、転移魔法の実験でもするか)」



転移魔法で何が出来て、何が出来ないのかを知れば今後の活動方針の目安になるだろう。



「……今のは遊角どのが?」



シロガネは、目をパチクリさせて尋ねてきた。



「あー……この子らが暴れそうだったから縛った。

魔法も適当なところに飛ばした」


「さすが大岩の竜を討ちし者だ」


「それはどうも」



シロガネのじいさんは俺を褒めてくれた。

そういえばこの異世界にやってきて、まともに褒められた記憶がない。


嬉しくないわけではないが、どうせ俺マンセーしてくれるなら女の子の方がいいぞ!



「で、シロガネさんはどうしてここに?」



ギルドマスターという職業について詳しく知らないが、こんな所で油売るほど暇な仕事ではないはず。



「……礼がしたいのだ」


「礼?」



俺、礼を言われるようなことしたっけか?


「拙者のギルド名が「竜を討つ者たち」なのは、理由があるのだ。

大岩の竜に家族を、仲間を、住む場所を奪われた冒険者が、打倒大岩の竜という目的を掲げ、ギルドを立ち上げた。

それが「竜を討つ者たち」の始まりだった」


「ふむふむ」


「竜が大陸を移動する度に、我がギルドも移動した。

しかし、竜に挑むと必ず、拙者以外が皆殺された。

味方が全滅する度に拙者は逃げた。奴は深追いしてくることはなかった

ギルド発足当初の仲間は皆、死んでしまい、この老体が残るのみ。

20年あまりの歳月を経て、幾度いくどもかの竜に挑み、多くの犠牲を払い……。

それでも成りなりふり構わず若者を集め、ギルド連合軍を立ち上げ、国の騎士を味方につけ、そして……。

いよいよ竜と人類の大決戦まで2週間、という時に、大岩の竜が討伐された」


「俺が討伐した、と。でも大岩の竜が暴れてたのは、つい最近じゃなかったか?」


「かの竜は、地の大陸、水の大陸、炎の大陸を転々と荒らし、6年前に風の大陸で見かけるようになった。

風の大陸の被害はつい最近と言えるであろう。

しかし、風以外の3大陸でも、国が8つほど滅んだと聞いている」


「そいつは恐ろしいな」



あの竜は思っていた以上に危険な存在だったらしい。

転移魔法がチート過ぎて実感が沸かないけどな。



「大岩の竜は討伐され、竜による恐怖は去った。

これからは若い者が、新しい時代を切り開いてゆくべきだ。

拙者のような古木こぼくがいつまでもギルドの長をするのではなく。

だから遊角どの、「竜を討つ者たち」に入り、ギルドの長をする気はありませぬか?」


「『だから』の使い方を正しく覚えて、出直してこい」



勧誘するにしても、いきなり俺をギルドマスターに祭り上げようなんて、頭、いてるのか。


それに、俺はギルド運営なんぞする気はない。

どう考えたって忙しいだろう。


何より、異世界ハーレムを作る時間がなくなるし!



「さあ今すぐ出ていけ。

俺はグノームの手作り料理が食べたくて待ちきれないんだ」


「ま、待ってくださらぬか?! まだ礼を……」


「テレポート、テレポート、テレポート」



シロガネのじいさんを、彼のギルドへ転移させる。


そしてエルフ3人の拘束を解除する。


さらに、山の山菜と野性動物の肉が乗った木の板が現れる。

転移魔法で採ったのだ。



「よし、邪魔者は居なくなった。

夕食にしようぜ」


「……良かったのですよ?

あの人は敵ではないみたいだったですよ?」


「俺のハーレム計画に立ちふさがる奴はみんな敵だ」


「あんたの転移魔法、何でもアリなのね……」


「チートですわ」



邪魔者がいなくなったところで、グノームに料理を作ってもらう。


調理用魔道具は、火を使わずに、MP使用で鍋やフライパンに熱を通すことが出来る道具らしい。

調味料も用意していたらしく、それで味付けをしている。



「肉鳥のスープと、山菜いためができたですよ。

余った肉鳥の肉は、明日の朝食用に塩焼きにしておくですよ」



茶髪エルフが絶妙な焼き加減で肉を焼くのを見ながら、俺達は夕食を食べる。


山菜が甘くて、スープの肉が口の中でとける。

美味い。

異世界の調理、恐るべし。



「そうだ、皆に相談があるんだが」



俺は山で転移魔法の実験がしたいと切りだす。


今夜にでも行こうと言ったが、3人が言うには、夜の山を出歩くのは危険ということだ。


なら、明日の朝にしようと言うとOKを貰えた。



◇ ◇ ◇ ◇



夕食を食べた後、宿の店主に宿代を払いに行くと、俺あてに手紙がまた来ていた。

国王が、大岩の竜討伐の報酬を2週間後にくれるらしい。


2万MAの宿代を払い、残り136万MAほど。


2週間くらいなら持つだろうが、その間に暇ならギルドでクエストでも受けるとするか。


ま、それも明日の実験次第だ。

自分の出来ることを把握しておきたいし、な。




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