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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
14/66

14.エルフの少女たち


前回までのあらすじ。

悪い奴隷商人からエルフの女の子3人を救出した。

――――――――――――――――――――――――



犯罪者どもを牢屋送りにして、エルフ3人を回収し、俺は宿屋の自室へ転移した。


俺が助けたのは、緑髪と赤髪と茶髪のエルフ。

薄暗い所でも思ったが、改めて見ると人間離れした美しさだ。

エルフは皆、こんな感じなのだろうか。



「よし、待ってろ。

今すぐ鎖と、その口をふさいでる布を外してやるからな」



3人の鎖と布をすぐわきへ転移させる。

拘束を解除してやった。


これで異世界物のお約束、人助け完了。

ありがとうございます遊角様、一生付いて行きます!

とか感謝されるに違いない。


いやー、照れ「おおりゃあぁぁぁぁぁあ!」ぐほっ?!



緑髪の子がいきなり殴ってきた!

痛みはないが、ふっとばされた。



「どうよ! 風の魔力を込めたパンチは!

風の力でお前の体はグチャグチャに……」


「危ねぇな?! 何しやがる!」


「! 効いてないの?!」



感謝どころか殴られた! 酷い!

ママにだって殴られたことないのにー!



『ママは普通殴らないし、お前のお袋は幼少期に亡くなってるだろバグ』


「そんな話は置いといて、どうなってるんだこれは」



他のエルフ2人は



「はわわわわ……」



茶髪の子はあたふたして、



「ハァ、ハァ……」



赤髪の子はなぜか鎖を自分の体に巻きだした。

って、変態だーー?!



「よそ見とは余裕ね!」


「おわっ?!」




緑髪エルフが回し蹴りをしてくるのをテレポートで避ける。



「消えた?!」



彼女の後ろを取り、



「テレポート!」



緑髪の子の体力と魔力を、戦闘不能なくらいに飛ばす。


本当はこんなことしたくなかったが、とりあえず暴れるのを止めてもらわないと話もできない。



「う……?!」



緑髪の子が倒れる、かと思いきや。



「なんの!」



持ちこたえて、再び俺に襲いかかる。



「おいバグログ! ドラゴンすら倒した俺の必殺技『エネルギー・デストロイ』が効いてないぞ?!」


『英語覚えたての小学生が考えたようなダサイ技名を付けるなバグ』


「それより俺の質問に答えろって!」


『効いてないわけじゃないバグ。このスキルが効かないのは本当に4王か4神くらいバグ』


「じゃあどうして彼女はすぐに動けるように?!」


『エルフの回復力はすさまじいバグ。死ななければだいたいの傷は直るバグ。

体力だって、一瞬で元通りバグ。魔力は回復に時間がちょっとかかるバグ』



つまり、リジェネ力がとてつもなく高いってことか!



『殺せばさすがに動けなくなるバグよ』


「なるほど……って、出来るかー!」



攻撃をテレポートで連続回避しつつ、この状況を打破する方法を考える。

この子を傷つけずにに無力化する方法は……



「そうだ、テレポート!」



緑の子だけ、再び体を拘束することにした。



「え?! ちょっ! 外しなさいよー!」


「助けてもらっておいて、お礼の1つも言えない悪い子は反省しなさい。さて、と」



他のエルフ2人に向き合う。彼女らは緑の子と違い暴れる気はないらしい。



「ああ、こんな恰好にされて、屈辱ですわ……」


「……」



赤髪の子が2人分の鎖を体に巻き付けて、息を荒げて何か言ってるが、見なかったことにしよう。



「なぁ」


「ひぐっ?!」



茶髪の子に話しかけようとすると、泣きそうな顔でこちらを見て悲鳴を上げる。



「こ、殺さないで、く、くださいですよ……!

なな何でもするので、で、殺さないでくだ、くださいですよ……!」


「いやお礼を……やっぱいいや」



感謝を求める以前に、彼女らの誤解を解くのが先だろう。

何故俺におびえているのか知らないが。



「俺はお前らを助けたってのに、わざわざ殺すわけないだろ」



殺意などこれっぽっちもないことを伝える。

しかし緑髪の子が声を荒げる。



「ふざけないでよ! 私は仲間は売らない!

アンタ達人間の奴隷になんてなるつもりはないわ! 殺すなら殺しなさいよ!」


「テレポート」


「ふぐ?! ふぐぐー!!」



縛られてなお、うるさい緑髪は布でお口チャックだ。



「殺さないでだの、殺せだの。いったい俺を何だと思ってるんだ」



彼女らが怒ってる理由、おびえている理由が、全く見当がつかない。



『解説が必要バグ?』


「透明化して黙ってると、お前の存在を忘れそうになるな。

よろしく頼む」


『それでは、エルフの有用性についての解説、始まり始まりバグ~』



バグログが透明化解除して現れる。

アホ毛に、今度はポニーテールの黒髪。

くそ、可愛いじゃねーか。


ん? エルフの有用性だって?



『エルフも魔獣同様、薬や武器、防具、魔道具の素材として利用されることがあるバグ。

リジェネ効果を持つ物が作れるバグ』


「ブラックな商人が言ってたな、エルフの死体の有効利用」


『だが、材料としての価値という観点だけならBランク以上の魔獣から作った方が良い物がつくれるバグ』


「なら、エルフの死体はなぜ価値がある?」


『分からないバグ? エルフの特徴、耳が長い他に?』


「森に住んでる、矢や魔法が得意、寿命が長い……」


『寿命といえば、ドラゴンも数万年の寿命を持ち、その血は不老不死をもたらすといわれているバグ』


「もしかして、エルフの血にも同様の効果が?」


『その通り。血というかエルフの肉に、ドラゴンほどじゃないにしろ、不老長寿の効果があるみたいバグね』


「だからエルフの密売、か」



不老不死は人類の長く追い求めている夢の1つだ。


中国の始皇帝、富士の煙。

他にもたくさんの不老不死にまつわる逸話が地球にはある。


異世界にもあるのだろう、老いや死への恐怖、不老不死への憧れが。


エルフの不老長寿の力を得る。

そのためにエルフを捕まえ、殺し、その肉を食す、というわけか。


……恐ろしいな異世界。



「殺さないでとか言ってたのは、食べられるかもしれないと恐れていたからか?」


「ああっ! 食べて! 私を食べてぇぇぇ!」


「……」



赤髪の子は、奴隷として捕まった恐怖で、精神が壊れてしまったんだろう。

元から変態だったとかではないはず。そうだと思いたい。



「緑髪が言っていた、仲間は売らないってのは?」


『集落の場所を教えてもらえれば、大量のエルフが手に入り一攫千金いっかくせんきんだからじゃないかバグ?』



そんなえげつない事をかんがえている奴がいるのか。



「でもこの世界には自白剤みたいな魔法もあるだろ?

それで吐かせれば終わりじゃね?」


『ところがどっこい、エルフは状態異常耐性が高すぎて、自白の強要は非現実的バグ』


「じゃあどうやって集落の居場所を吐かせるんだ?」


『いい人のフリでもすれば、ポロッと吐くんじゃないバグか?』


「例えば?」


『例えば、そう、捕えられているところを助けたように見せかけ、恩義を感じさせる。

そして、集落へ送り返すとか言いつつ場所を聞き出すとかバグ』


「なるほど」



今までの話を統合して、エルフの子が何を勘違いしていたのか、

ようやく理解できた。


この状況、俺が彼女達を助けたのが、自作自演と疑われている。

俺がエルフの里の場所を聞き出すための。


つまり、俺があのブラック奴隷商らとつるんでいる、と思われている。


そして、殺されて肉にされるのを恐れている。


そういうことか。



「さて、この勘違いをどうやって直したものか……」



どうしようか悩んでいると、



「お客さま、お手紙でございます」




コンコンとノックされる。

宿屋の主人が、手紙を手渡してくれた。


手紙? 誰だろう。



――――――――――――――――――――――――

拝啓 佐倉遊角殿

【大岩の竜討伐|(SSSランク)】において、並々ならぬ尽力を感謝する。

今夜、貴族を交えたパーティがあるのだが、佐倉遊角殿もいかがだろうか?

場所はクラムの町、シロガネ氏の屋敷。

気軽に参加してほしい。夕刻から開始する。

風の大陸国王 タイフォン28世

――――――――――――――――――――――――



宿の主人の手紙を受け取ると、なんと国王からの招待状。



『この封の紋章、この文字、どうやら本物の国王の手紙バグ……』


「パーティへの誘いはうれしいが、今夜か」



国王と会話できる、めったにないチャンスだ。


貴族もいる、ということなので、俺を売り込む絶好の機会でもある。


異世界で生活するために、俺のスポンサーを増やす。

いずれ必要な作業だ。


手紙にはパーティ参加、不参加の返事をチェックする箇所があった。


そして俺は迷わず、




不参加にチェックをして、店主に渡した。



『なっ?!』


「これを返信してくれ」


「かしこまりましたお客様。伝書カラスで、すぐに届けましょう」



宿の主人は一礼すると、部屋から去った。



『どうしてパーティを断ったバグ!』


「俺は今、エルフの女の子らと仲良くなるために忙しいんだ。

パーティなんぞに参加してる暇があるかってんだ」


『王様と会うよりもエルフの女の方が大事バグ?!』


「当たり前じゃん」


『はぁ……王様に恨まれても知らないバグよ?』



俺に呆れつつ、なんだかんだで味方してくれるバグログ。


王様だろうと誰だろうと、俺の異世界ハーレム作りは誰にも止められないぜ!



「というわけで、ちょっくら茶髪エルフの女の子と買い物デートしてくるから、留守番よろしく、ハーレム1号」


『俺様バグ?! 勝手にハーレムに入れられてるバグ?!』


「50mくらいなら離れられるんだろ?

宿の隣に、この窓から見えるすぐそこに惣菜そうざい屋があるから、夕食の買い出しに行ってくるよ」


『待つバグ! 女の子だけの部屋に閉じ込められると、押さえが効かなく……』



バグログが何か言っていたが、俺は4人分の夕食の買い出しのために、茶髪エルフと一緒に部屋から転移した。



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