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その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
11/66

11.マニィの餞別(せんべつ)


前回までのあらすじ。

マニィから受けていた呪いを、マニィに返してやった。

スキル【バグログ】を外すのに失敗した。

幽霊? が現れた。

――――――――――――――――――――――――



突然現れた幽霊。しかも割と可愛い。


いったいどこの誰だろう?



『幽霊? 可愛い? 一体何を見てるバグ?』



幽霊はキョロキョロする。



「って、お前ひょっとしてバグログか?!」



幽霊はキョトンとして、自分の手を確かめ、足の裏を確かめ、そして、



『ど、どうなってるバグー?!』



幽霊、いや半実体化したバグログは叫んだ。



「おお、転移魔法でバグログを俺の外に

追い出すのが成功したってことか!」


『そんな単純な話じゃないバグ!

風と光と魔力を絶妙なバランスで混ぜることで精霊体の器を作り、そこに俺様の意識を転移させ閉じ込めたバグ!』


「精霊の器を作るって……転移魔法で?」


『どうやらそうみたいバグ。

微粒子レベルの転移を魔導顕微鏡レベルで100兆回くらい繰り返せば出来る芸当バグ。

魔王以外だと4神や他の3王ですら無理だと思うバグ』


「俺、そんなことしようと転移魔法使った覚えがないんだが」


『きっと足りない手順を、転移魔法が自動で補ってくれたんだと思われバグ』


「すげぇ!」



つまりアレか!

何かしようと転移魔法を使えば、自動的に転移魔法が手順を最適化して、どうにかしてくれるってことか!



『その考えでいいと思うバグが、本来の転移魔法だとMP不足でそんなことは出来ないバグよ』


「まあそうだよな。MP消費0ってのは、こんなにも恐ろしいものなのか」



自分のスキルだからいいものの、敵に回したくねぇスキルには違いない。



「いやああぁぁぁぁ?!」


「うるせぇ疫病神」



マニィはまだ騒いでいた。



「信者が?! たった今、信者がまた一人死んでしまいました!

分かります私には! あと1人しかいなくなったのです!」


「でっていう」


「最後の信者が死ぬと私、死ぬんですよ?!」


「自業自得じゃね?」



別にマニィが死んでも俺は困らない。



『ちなみに金の神は他に20人くらい居るから、こいつがいなくなっても誰も困らないバグ』


「ん? 神って4人じゃないの?」


『4神とこの神は格が月とすっぽんバグ。

お前にスキルを与えた4王の一人である魔王や、4神は彼と同じくらいの力があるバグ』


「神様にも上下関係があるってことか」


『4神はきっと、ユニティオで神をやってる者たちを神だなんて思ってないだろうバグ。

その辺の石ころ同然に見てるだろうバグ』



他の4神や王3人も、人形魔王みたいなチートな存在なのだろう。


うん。敵対しないように気をつけよう。



『どうせお前には一生、縁のない方々だと思うバグ』


「そういうセリフはフラグって言うんだぞ? 気をつけろよ?」



さわらぬ神にたたりなし。君子危うきに近寄らず。



「助けてください!

悪かったです反省してますもう信者なんていらないからお命だけはぁぁああ!」


「これが神様だなんて思いたくねぇな。というか信者は大事にしろよ」


『こいつどうするバグ?』


「一応、この浮遊島の管理人ぽいらしいし、仕方ない」



俺は転移で、マニィの呪いをその辺のアリに移す。


アリは即死した。



「……」


「……ああっ、信者が0になってしまいました……」


「……あのギルドマスター、死んだのか?」


『あの子、アマンサは信者じゃないバグよ』



新事実発覚!

ギルド「マニィ信者の憩いの場」ギルドマスターのアマンサはマニィ信者じゃなかった!



「最後の信者の老夫婦二人は、魔獣に食われたみたいです……」


「ちょい待ち、もし解呪してなかったら俺死んでたよな?」


「その時は運が悪かったものと諦めるしかありません」


「おい?!」



ちょっと俺の命を軽んじすぎじゃありませんかねぇ?!



『遊角、マニィとこれ以上話すのは無駄バグ。

人間と、一応神様のマニィでは価値観が違いすぎるバグ。

一生、分かり合えないバグよ』


「何だが失礼なこと言われてる気がします」


「あれ? 呪いの効果がなくなったのに、マニィにはバグログの声が聞こえるのか?」


『俺様は精霊体になったバグ。だから周りには見えるし声も聞こえるバグ。

といってもスキルには違いないから遊角の50m以内くらいでしか行動できないバグが』


「なるほど」


『そして透明化したり、遊角の頭に戻ることも出来るみたいバグ』


「やめろ、二度と俺の体内に入るな」


「あのー」


「何だよ」



マニィが手もみして話しかけてくる。



「信者集めについてなのですが」


「まだ俺に頼む気かよ?!

今の俺達、関係最悪だろってかほとんど敵同士だろ! 厚かましいにもほどがある!」


「いえ、一方的に脅すのは諦めて、お互いの利益になるような取引にしようかと」


「何様だテメェ!」



マニィはまあまあと言い、金色の杖を出して見せる。

杖の先端は大型のMA金貨っぽいデザイン。

かなり悪趣味な杖だな。



「その杖くれるから信者集めしろとか言わないよな?」


「ピンポーン」


「なめんな」


『いや、待つバグ。この杖……信者の杖!』


「なんだそれ」


『杖に記された神の信者数が増えるほど、強くなる魔道具バグ。

魔王がきまぐれで作っては配布してる代物バグ。激レアアイテムバグ』


「へぇ……」



魔王産の杖……か。なんだがすごそうだ。


杖を手に取ると、説明文が表示される。



――――――――――――――――――――――――

【信者の杖(マニィ)】

説明:

魔法力補正+100

杖に刻まれた神の信者数に応じて、以下の能力を得る。

(信者を失った場合、得た能力も失う)

4人以上:好きなスキルを1つ追加。

25人以上:好きなステータスを補正+100

100人以上:好きなスキルを1つ追加。

225人以上:好きなステータスを補正+300

900人以上:蘇生魔法を消費MP0で年に1度のみ使用可能。

以下、100万人追加につき上記能力のうち1つを選択し得る。

――――――――――――――――――――――――



「好きなスキルを1つ追加が、たった4人の信者で可能だと?!」



俺の転移魔法みたいなのが、もう一つ増えるとなれば、これは大きい。



「よし乗った! 俺に任せとけ!」


「任せましたよ(ふふふ、ちょろいちょろい)」



マニィから杖を受け取った俺は、信者集めも悪くなさそうだと思った。



「というか、この杖を手放して大丈夫なのか?」


「神様は全員、デフォで信者の杖と同じ効果のスキルを所持していますよ。

私の心配をしてくださってるのですか?

ありがとうございます」


「べ、別に心配なんかしてねーし。

また何か企んでるんじゃないかって疑っただけだし」


「これが地球世界のツンデレってやつですか」



何故だろう。

呪われて殺されかけたってのに、俺はマニィに対して非情になりきれなかった。


本当なら冷たく突き返すべきだと思う。でも、女の子の頼みに弱い。

そんなDT15歳。



◇ ◇ ◇ ◇



俺はマニィから信者集めの聖書|(A4が1枚)を貰い、説明を聞いた後、

マニィと別れ、町の宿へと向うことにした。




『宿の前にパジャマをどうにかするべきだと思うバグ』


「ん? あっ! 俺、朝からずっとこの恰好だ?!」



誰にも指摘されないどころか、奇異の目すら向けられなかったためすっかり服装のことを失念していた。


俺のパジャマ、魔法使いのローブっぽいから、そう勘違いさせたんだろうか。




「サンキュ、バグログ。先に服屋に行こう。

ところで何でお前、俺と同じ格好してるん?」



バグログの姿は女の子だが、服装は俺の着ている服そのものだ。



『俺様はお前のスキル、お前の一部バグ。

つまり持ち物から恰好まで同じ、例えばパジャマならパジャマ、裸なら裸の格好になるバグ』


「俺が上着を脱いだら、お前が上半身裸になるのか。

よし、さっそく試してみるか……」


『その時は俺様は透明になるから無駄バグ。

ってか公衆の面前で脱ごうとするなバグ』



バグログと無駄話をしつつ、服屋に行き、魔女のローブ(中古)を数着買った。


俺は15歳で、割と小柄なので男用はブカブカで合わないのだ。

そして新品は高い。だから中古を買った。


決してやましい気持ちで買ったわけではない。

くんくん、いい香り。


それを着て、今度こそ宿に向かうのであった。


バグログが、何故かゴミを見るような目で俺を見ていた。


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