表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その転移魔法、チートですよ?  作者: 気まぐれ屋さん
1章 イントロ~屋敷移住まで
10/66

10.マニィの呪い


前回までのあらすじ。

ヒュルトーンのオッサンから2000万MA貰った。

「闇の屍」ギルドで1800万MA貯金した。

――――――――――――――――――――――――



異世界での最初の外食は普通だった。


ハンバーグとナンに似た料理だった。


いや、美味かった。美味かったけど。

……もうちょっと異世界っぽい料理が食べたかった。



「腹ごしらえも済んだことだし、あとは宿か」


「見つけましたよ!」



ボロ服の金髪女性が駆け寄って来た。



「どうして説明の途中で抜けてしまったんですか?!

あれから私がどれだけ探したと思って……」


「どちら様?」


「あ゛あ゛んっ?!」


「待て、今思い出す。」



えっと、そうだ。

金の髪、じゃなくて金の神マニィだ。



「俺を異世界へ転移させたくせに、何の餞別もくれなかったケチな自称金の神様だ!」


「酷い言われようです?!

というか、まだお願いの説明が途中でしたよね?!

勝手にテレポートしてどっか行ったのはあなたですよね?!」


「何の用だよ。

俺はこれから美少女に囲まれて、俺TUEEEEな異世界生活を送るんだ。

邪魔するな、帰れ帰れ」


「いいえ、今から信者集めについて話します」



金の神は最初はおしとやかな印象だったのに、化けの皮が剥がれている。

俺を長時間、探索したせいでイライラしてるせいか。



「まず私の信者へ配ってる聖書です」


「ふむ?」



1枚の、A4サイズのプリントを受け取る。

これが聖書?



――――――――――――――――――――――――

金の神マニィ・ギンミィとのお約束7ヶ条!


・その1:マニィ信者の条件は、その人がマニィ信者であると自覚している、

ただそれだけでOK。入会自由。入会費無料。脱会費10000MA。


・その2:マニィの信者は、毎日1000MAを奉ること

(マニィ様どうぞ、と言えば自動的にマニィの元へ送られる。

行わない場合、加護が得られなくなります)


・その3:月に1回、1時間ほどマニィへお祈りすること。

(しなくてもいいけど、その場合マニィの加護が得られなくなります。

なおお祈りはそれ以上行っても可。ただし加護は増えません)


・その4:早寝早起きをしましょう。


・その5:毎食後、歯磨きをしましょう。


・その6:毎日、適度な運動をしましょう。


・その7:年に1度、健康診断を受けましょう。

――――――――――――――――――――――――



ドヤ顔のマニィ。



「何だこれ。特に4から7、ふざけてんのか。

ってか聖書読んだことあるのかお前」



聖書には、神の起源の物語とか、ありがたい教えなんかを書くだろ普通。


何だ毎日歯磨きしましょうって。

幼稚園の今月の目標か。



「どうです? 手書きですよ?

私の愛が溢れてると思いませんか?」



ビリ! ビリ! ビリ!


俺は破り捨てる。



「ああっ?! 酷い!」


「こんなもんで信者を増やそうなんてバカなこと考えてる、お前の頭の残念さの方が酷いぞ……」



本当に信者なんているのか疑わしい。



「昔の信者だった方も亡くなって、今いる信者2人くらいしかいないんですよぅ……」


「おおぅ、思ったより絶滅危惧種なんだな」


「すごく他人事な返事ですね?!」


「いや、他人事だし」



マニィの信者集め、正直俺にはメリットがこれっぽっちもない。


そう思ってると、



「信者が0になると、死んでしまうんですよ?」


「マニィには悪いけど、もう手遅れじゃね?

いまさら信者を増やすとか無理だろ」


「え?

……あ、はい。なるほど、重大な勘違いをしてるみたいですね?

信者が0になると私が死ぬと思ってる、そうですね?」


「今自分で言ってたじゃん」


「信者が0になって死ぬのはあなたですよ? 佐倉遊角」


「……何?」



今何て言った?



「信者が0になって死ぬのはあなたですよ? 佐倉遊角」


「俺が? どうしてそんな」


「私が呪いをかけました」


「はぁ?!」


「ギルドカードを持ってるみたいですね。私

が細工して、状態異常を見られるようにしてあげましょう」



いつの間にかとられていた俺のギルドカードに、マニィが手をかざす。


それをマニィが見せてくる。



――――――――――――――――――――――――

佐倉遊角さくらゆうかく

種族:人間(15歳)

所属:「マニィ信者の憩いの場」Sランク

Lv:4

状態異常:【マニィの呪い(マニィ信者数0で死亡)】

職業:初期冒険者

スキル:【転移魔法(魔王特製)】【バグログ】

HP 65 MP13

力5 頑丈さ3 素早さ4 知識2 魔法力3 器用さ2

――――――――――――――――――――――――



【マニィの呪い(マニィ信者数0で死亡)】


マニィ信者数0で死亡……。




「どうしてこんな呪いを俺にかけた?!」


「だって、そのほうが」



マニィは邪悪な笑みを見せ



「そのほうが、遊角さんが真面目に取り組むでしょう?」



そう言いやがった。


悪魔だ。神の名を語る悪魔だ。



「せいぜい頑張ってください」



信者0で死ぬ? 俺が?


……冗談じゃねぇ!



「ふふふ」



悪魔マニィは、性格の悪い笑みを浮かべて腕を組んでいる。

ちくしょう。こんな恐喝まがいのことをされるなんて……!


許さん。絶対復讐してやる!



「ふふふ。

ところで【バグログ】という私の知らないスキルがあるのですが、一体これは何ですか?」


『俺様を呼んだかバグ?』


「え?! どこから声が?!」


「バグログ、どういうことだ? お前の声は俺以外には聞こえないんじゃ?」


『そのマニィとやらが施した【マニィの呪い(マニィ信者数0で死亡)】は、遊角の頭の中を全部読みとる能力もあるバグ。

近距離限定だがバグ』


「どおりで俺の心の声にまでツッコミを入れてきたわけだ」


「遊角さん?! これは一体……?」



バグログと会ったのは、マニィと離れた後だ。

なのでマニィはバグログについて何も知らない。



『遊角、転移魔法だバグ』


「転移魔法? 一体何を転移させろと?」


『呪いバグ。呪いってのは、魔法で作られた爆弾が体に埋まってるようなもんだバグ。

それをイメージして、飛ばすバグ!』



出来るのか? そんなこと。


いや、バグログがやれ、と言ってるくらいなのだから、出来るのだろう。

……よし!



「やってやらぁ! テレポート!」




俺は転移魔法を使った。再びギルドカードを確認する。


――――――――――――――――――――――――

佐倉遊角さくらゆうかく

種族:人間(15歳)

所属:「マニィ信者の憩いの場」Sランク

Lv:4

状態異常:なし

職業:初期冒険者

スキル:【転移魔法(魔王特製)】【バグログ】

HP 65 MP13

力5 頑丈さ3 素早さ4 知識2 魔法力3 器用さ2

――――――――――――――――――――――――



消えてる!

さすが転移魔法! 俺達にできない事を平然と以下略!


ちなみに、転移先は、




「きゃああああ?!

私の中に、呪いがあぁあああああぁぁぁぁあああ?!」



呪いをかけてきた張本人に送り返してやった。


これにて復讐完了。

俺はいつまでも根に持つ主義じゃないのだ。



「どうした? 自分の呪いくらい自分で解けるだろ? |NDK(ねぇ、どんな気持ち)?」


「私の呪いは特別製だから、解呪に80年かかるんですよ?!

その間に信者が0になって死にますよ!」


「いや、信者集めしろよ。増やせばいいだろ」


「解呪しながらそんなことできるわけないでしょう?!」


「そうか、がんばれよ」


「この人でなしーーー?!! 鬼畜! 鬼! 悪魔!」




お前が言うか。さっきまでのことを棚に上げてよくもまぁ。




『もう頭の中を、その女に覗かれずに済むバグね』


「(そしてお前は相変わらず俺の頭の中を覗いているのな。

なあ、お前を転移でどっかに飛ばすって出来ないの?)」


『やってみたらいいバグ。スキルはあくまで概念。

転移させられないと思うバグ』




スキル【バグログ】を外に出すイメージで転移! と念じた。

だがギルドカードからは【バグログ】は消えてなかった。




「(くそ、失敗だ)」


『そんな何でもかんでも転移魔法で解決できるわけないバグ』


「(そりゃそうか。ってお前どこから話してるんだ? 後ろ?)」


『バグ?』



頭の中ではなく、後ろから声が聞こえたような気がして振り返る。


黒色のウェーブの髪に、アホ毛が2本の、俺と同い年くらいの見た目の女の子。

俺と同じパジャマ服をきている。そしてまるで幽霊のように半透明。



『どうしたバグ?』



バグログが喋ってる時、その女の子は口をパクパクしていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ