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あらすじ

九月半ばのある金曜夕方。徳島に住む高校一年生の後藤田智之は学校帰りにショッピングモールで『日本全国ろこモン退治旅』というタイトルの一風変わったRPGソフトを衝動買い後、不良高校生集団に絡まれかけたが全速力で逃げ事なきを得た。帰宅後、そのRPGを自室で幼馴染の榛乃とその妹の千絵実と鞠音、榛乃の幼友達の鈴帆といっしょに遊んでいる最中、なんと小笠藍香というゲーム内徳島ご当地ヒロインキャラがテレビ画面から飛び出して来た。このRPGは従来のRPGとはいろいろ違い現代日本が舞台、敵もご当地関連のものがモンスター化されている。魔法は使えない、武器はバット、扇子、生クリーム絞り器、ヨーヨーなど銃刀法に違反しないもの。回復アイテムはご当地の銘菓などリアル近似な世界観だった。藍香はゲーム内に戻りまた飛び出た後、智之達に深刻な事態を伝える。徳島編の敵モンスターの多くも飛び出してリアル徳島県内に散らばってしまったというのだ。

そんなわけで智之、三姉妹、鈴帆、藍香の六人で装備を整えご当地敵モンスター《ろこモン》退治の旅に向かうのであった。


≪登場人物≫


後藤田智之

一応主人公。高校一年生。現実にいる普通の高校生っぽさを醸し出すゲーム内主人公に共感を持つ。


野々瀬榛乃はるの

ほんのり栗色ナチュラルストレートヘア。智之の幼馴染。家もお隣同士、クラスも今は同じ。


鈴江鈴帆すずほ

榛乃の幼友達。四角い眼鏡をかけ、ほんのり茶色な髪をショートボブにしてお淑やかさを感じさせている。学業成績優秀で賢者としての活躍が期待される。

 

榛乃の2人の妹

 千絵実。中学二年生。丸顔丸眼鏡ボサッとしたウルフカットがまあまあ似合う。


鞠音まりね

小学四年生。いちごのチャーム付きヘアゴムでお団子結びにした髪が可愛らしく、青いサロペットがお気に入り。


小笠藍香

ゲーム内ヒロイン。藍染め浴衣姿で濡れ羽色髪三つ編みがチャームポイント。ゲーム内徳島市で明治時代から続く茶店【小笠庵】の看板娘で十四歳、中学二年生。


≪本文≫


 架空の大陸や島にある架空の国が舞台、神話をモチーフにした西洋風な世界観。

 固有名詞が僕の考えた格好いい用語的な、覚えるのが面倒な造語だらけ。

 ドラゴンや精霊、魔族、召喚獣、人語を喋る動植物や岩なんかが人々と共に暮らし、選ばれし勇者達が聖剣だの魔剣だの魔法呪文詠唱だのを駆使してモンスターと戦い魔王討伐を目指すファンタジーRPGって、在り来たり過ぎて食傷気味だなぁ。 

 なーんて日頃から感じてた俺、学校帰りにショッピングモールの家電量販店寄って、新作ゲーム衝動買いしてわくわく気分で店の外出たら、通路で不良集団に遭遇しちゃったんだけど……(・_・;)。


 九月半ばのある金曜日夕方四時半頃、高校一年生の後藤田智之ごとうだ ともゆきはそんな状況から心拍数が急上昇し冷や汗が流れ出ていた。茶髪や金髪に染め、ピアスや髑髏スカルブレスなどを装備したガラの悪い高校生と思わしき連中が男六名女二名の計八名、ベンチの周りで駄弁っていたのだ。

《恐喝不可避か? 目を合わさなければ、特に問題ない、よな?》

 智之は床に視線を向け、彼らの横を恐る恐る早歩きで通り過ぎていく。

《よぉし。何も問題なかったな》

ホッと一安心した。その矢先、

「なあっ、ボクちょっとええでぇ?」

 危機襲来! 一八〇センチ近くあった恰幅のいい金髪な一人に背後から肩を掴まれ、にこやかな表情で話しかけられてしまった。他の仲間数人も智之のそばに近寄ってくる。

《うわっ、やばっ! これは“逃げる”を選択するに限るな》

 智之は瞬時にそう判断して全速力で走り去った。あわや通せん坊回避! 五〇メートル六秒九台のなかなかの俊足振りを発揮したのが功を奏したか、はたまた付近に親子連れや老人グループなどの客もいたためか、彼らに追われることなく別館三階から本館一階食品売り場横まで逃げ切れ事なきを得た。

《なんだよさっきの教育水準の明らかに低い連中は。どこの底辺高校の奴らだよ? 地元の奴らかな? それとも関西方面から橋を渡って来たのか? どっちでもいい。いや出来ればよそ者であって欲しいけど、なんで他にも俺と同い年くらいの奴けっこういたのにわざわざ俺を選ぶんだよ? 俺の通ってる高校、あいつらの九九やアルファベットすら怪しそうな知能レベルじゃ絶対受からないから嫉妬してるのか? まあ俺、身長一七〇ないし体重も五〇キロないし見るからに弱そうだもんな》

 なんとも不愉快な気分で最寄り出口の方へ歩み行く智之であったが、途中で運気を好転させるかのような出来事が――。

「あっ、智之くん。ここに来てたんだね」

 ほんのり栗色ナチュラルストレートヘアな女の子に声をかけられた。ショッピングカートを引いていたこの子は智之の幼馴染、野々瀬榛乃ののせ はるのだ。家もお隣同士、クラスも今は同じな彼女の周りには他に三人の女の子がいた。

「智之さん、約一時間振りですね」

一人は榛乃の幼友達、鈴江鈴帆すずえ すずほ。四角い眼鏡をかけ、ほんのり茶色な髪をショートボブにしてお淑やかさを感じさせている。

 あとの二人は榛乃の妹だ。 

「やっほー智之お兄さん、ここで会うなんて奇遇じゃね」

丸顔丸眼鏡ボサッとしたウルフカットがまあまあ似合う次女、中二の千絵実ちえみ

「智之お兄ちゃん、今日の部活でマドレーヌ作ったよ。おウチに置いて来たから今はないけど」

いちごのチャーム付きヘアゴムでお団子結びにした髪が可愛らしい、青いサロペット姿な三女、小四の鞠音まりねである。

「みんなで買い物しに来てたんだね」

 智之はさっきまでとは打って変わって上機嫌な爽やか笑顔だ。

「うん、お母さんに頼まれちゃって。たった今来たとこだよ。私達お買い物済ませたら、あそこの喫茶店寄るつもりなんだけど、智之くんもいっしょにどう?」

「俺はいいよ。それよりさっきゲーム買ったら不良にからまれそうになったよ」

「智之くん、大丈夫だった? 怪我はない? お金とかとられてない?」

 榛乃は深刻そうな面持ちでとても心配そうに接してくれる。

「うん、すぐ逃げたからノーダメージだよ」

「よかった無事で♪」

「智之お兄さん、逃げるんは情けないじょ。戦って逆にびびらしたりなよ」

 千絵実ににやけ顔でダメ出しされるも、

「それは絶対無理だ。俺より強そうな奴ばっかだったし」

 智之は苦笑いできっぱりとこう言い返した。

「智之くんのやり方は極めて正しいよ。怪我したら大変だもん」

「わたしもそれがベストな手段だと思うわ。たとえ腕に自信があっても後々のことを考えると。不良集団には関わらないのが一番ですね」

「あたしの担任も怖い人には絶対近寄らないようにって言ってたよ。智之お兄ちゃん、どんなゲーム買ったの?」

「RPGだけど、なんか変わってるっぽい。普通RPGって俺らの考えた世界地図な架空の世界を舞台にするものだけど、このRPGは現代日本が舞台みたいで魔王とかドラゴンとか、エルフとか騎士とか亜人獣人とか定番のものは出て来なさそうだ」

 智之はそう伝えながらさっき買ったゲームソフトを鞄から取り出した。

「これ、面白いのかなぁ?」

 鞠音はパッケージを興味深そうに観察する。

「日本地理の学習用ソフトみたい。RPGっぽくないような……」

茶秋堂ちゃしゅうどうって聞いたことない制作会社名やけどこれも和風じゃね」

「タイトルからして地雷臭が漂ってる予感がするけど、わたしプレーしてみたいな」

 榛乃と千絵実と鈴帆も興味津々だ。

 タイトルは『日本全国ろこモン退治旅』。行書体黒筆文字で書かれていた。

 パッケージには鳥瞰図風の立体的な日本地図がプリントされていて、羆、鳴子こけし、高崎だるま、さるぼぼ、舞妓さん、坊っちゃん団子、有田焼茶碗、シーサーなどのデフォルメイラストがご当地に該当する地図上に描かれていた。

 ちなみにテレビゲーム用で、CEROは十二歳以上対象のBだ。

「このゲーム、ワタシもプレーしたいじょ。智之お兄さん、いっしょにやらせてな」

「あたしもしたーい。今日は久し振りに智之お兄ちゃんちでゲーム大会だね」

「夏休みの最後の日以来だね。智之くんち、あとでお邪魔するね。私もちょっとプレーしたいから」

「智之さん、一時間程度お邪魔させてもらいますね」

「久し振りってほど期間開いてないと思うけど」

 みんな行く気満々で、智之はちょっぴり迷惑がるも嬉しくも思っていた。この四名が智之の自室を訪れてくることは昔からしょっちゅうなのだ。


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