意識せずにはいられない
バスの窓越しに見た時、雨は静かに斜に降っていたのに、ドアが開いた途端に雨音が五月蠅かった。
前に座っていた奴らから続々と降りていくチームメイト。俺は真ん中辺りに座っていたんだが、荷物を詰めるのに手間取ってる輩が多かったからさっさと降りることが出来た。
降りる寸前、朝は晴天で天気予報のお姉さんが嘘を吐いたと頑なに信じ込んで、汗を拭うためのタオル以外に俺を雨から助けてくれる物はなく。うじうじと出るのをためらっていたが、タオルを被り決心して勢いよくバスを出た。
外はバスの中とは別世界で、次々に降り注ぐ雨がタオルに染みこまれていった。
少し先の空はあんなに青いし、雲はこんなに白いのに、どうして、こんなに雨が強いのか。
太陽の光に反射する雨は斜方結晶みたいで綺麗だった。
しばらくぼーっとしていたが、重くなったタオルにハッとして校舎へ走り出した。
傘を持った奴らが数人いて、そいつらの先頭を歩く俺よりも断然小さい背中を見つけてするりとそいつの傘に入り込んだ。
相合い傘ーなんておちゃらけて言うと、いつも通り煩わしげな顔をして俺に「うざ」と一言浴びせた。
えーひっでーと身体を密着させたりしながら暫くの間だ、相合い傘をしていると、男ふたり傘に入ってるにしては自分が濡れていなすぎるのに疑問が湧いてきてチラッと右隣を伺うと、傘が明らかに俺の方に傾いていて、其奴の右肩は雨を吸って濡れ始めていた。
あ、と申し訳なく思った時、そいつは上目遣い気味に俺を見た。
向き合った顔と顔の距離が思った以上に近くて、俺の心臓が大きく脈打った。
そいつの細目で普段は気付かないけど長くて細い睫とか、ちっこくて丸い鼻とか、何か言いかけて中途半端に開いた口とか、なんかもう前部が滅茶苦茶に近くて意識すればするほど鼓動は激しくなって、カーッと全身が熱くなった。
もうどうしようもないくらい体温が上がりきって、思わず雄叫びを上げながら走り出した。
焦りすぎて其奴の傘にぶつかった。その傘の青が視界の端に映った。
俺の情けない響きが、弱くなった雨の中に響いた。
反省文
実はそんなに反省してないです。
うちのクラスの男子が本当にホモくて、というか片思い過ぎてめっちゃ応援してるんですよね。
一度彼女出来たのに、友達優先な上にヘタレ過ぎて、手も出せず破局しちゃうし、そいつに彼女出来るのさりげなく妨害してるし、「俺的に彼女とかそういうのはまだいいの」って言われてによによしちゃってるし。
告白しろ。
と思うんですね。
だからなんかもう。それだけです。はい。