1/1
転校生
まぜるな危険。そう書かれた薬品を混ぜてしまった気分だ。そう思いながら、志乃宮 若葉は自分の席に座りながら教室の窓から快晴の青空を見つめる。
「はぁ~」
少しため息をつく。そうしている間に小太りの中年の担任の教師が教室に入ってきた。
「今日は転校生を紹介する。入ってきなさい」
すると教室のドアの向こうから、茉莉日学園の制服、紺色の上着に、白と青のチェックのスカートを身に付けた少女が入ってきて、教室の真ん中の壇上に立った。
ガヤガヤと教室が騒がしくなる。
「へぇ、あれがそうなんだ~」
「若葉にあんまり似てないね」
「すっごいキレイな子」
「髪の色すごいね~。食べごろの桃みたいな色。染めてるのかな?」
などの声が若葉の耳に入ってくる。
「はいはい、静かに~」
担任の教師がそう言うと教室はふと静まり返った。
そして転校生の少女は言葉を放つ。
「志乃宮ルカです。よろしくお願いします」
「はぁ~」
なぜこんなことになってしまったのか? そう思いながら若葉はさらにため息を吐いた。