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『兄妹』伍話

伍話 兄妹の実力





湊がガイルの勝負を受けてから三日が経った

つまりこの世界に来て三日が経ったと言うことである

そして今日はいよいよ勝負の日

レイラが勝負すると聞いたときは、大慌てしていたが他の人に実力を示さなくてはいけないと言ったら渋々了承した

恐らくは二人には戦ってほしくないのだろうが私的理由で勝負を止めさせる訳には行かない。それが一国の姫なら尚更のことである


「お二人とも気をつけてください」


「ああ、ありがとな」


「絶対勝とうね、お兄ちゃん!」


やる気十分の高槻兄妹は指定された場所に向かったのだが……


「お、お兄ちゃん、私無理かも……」


「大丈夫だから。落ち着けよ」



「で、でも……」


現在湊は挙動不審に陥っている

理由は人の目が自分達に注目されているからである

湊は昔からこういった注目されることには慣れていなかった


「湊、来たぞ」


命が言うと今日の勝負の相手がやってくる

人数は三人で騎士が二人、ローブを来ている人が一人である


「え、ええええと、ろろろローブがぜ、前衛?き騎士がここ後衛?」


「逆だ逆」


パニック状態の湊に一抹、と言うよりかなりの不安を抱いている命はどうしたものかと考える

体育祭などの時は保健室などに連れて行ったが今回はそういうわけにはいかない


「今日はよろしく。ミコト・タカツキ、ミナト・タカツキ」


「こちらこそよろしく」


「よよよよよろしく」


「この子は大丈夫なのか?」


「……たぶん」


相手の騎士の一人が挨拶に来た

命は普通に挨拶したが湊はパニック状態の為かなり吃っている

相手にも心配され段々と棄権したくなってきてしまった


「成る程、妹の方はお荷物状態と考えた方がいいな」


「何?」


もう一人の騎士が言った言葉に命はカチンとした

確かに自身でも戦力としては不安だがお荷物とは少しも考えてはいなかった。だから余計に怒りを感じている


「まあ、兄の方も短気なだけかな」


「やめろルイ!」


「何だよ、本当のことだろ。たまたまこいつらが召喚されただけじゃないか。キルトも本当はそう思ってるんだろ?」


「ルイ!」


最初に挨拶してきた騎士の男キルトはもう一人の騎士の男ルイを止めようとするが、ルイの口は止まらない


「それに装備の武器だっておかしいだろ。妹は弓矢、これは別に構わないが兄は無しじゃないか」


「……彼、持ってる」


「何言ってるんだ、リン?」


キルトも命の手には何も持っていないし腰にも差していないので、武器無しかと思っていたがローブを着たリンという女性が命をじっと見つめながら持ってると言った


「……形状はわからない。でも、持ってる」


「何故わかる?」


「………………」


命の問には答えずに離れていく


「ま、せめて呆気なくやられないでくれよ」


「おい、ルイ!」


ルイとキルトも二人から離れていくのを見て命は拳を握りしめた




「ではこれよりルールを説明する」


湊は顔が真っ青になり本格的に危なくなっていた

恐らくルールは半分も頭に入らないだろう


ルールは至ってシンプルで相手を死に至らしめる行為以外はありらしい

場所フィールドは城の周囲言わば外である

城内へは進入禁止、すれば即失格となる


「三分後に試合開始する。皆さんは中へ」


そう言われて見物客は城内に入っていく

命、湊、キルト、ルイ、リンは自分達の配置につく

配置といっても決められた場所ではなく、好きな場所に移動して三分後に戦闘開始となる


「湊」


「ななな何?おおお兄ちゃん」


未だにパニック状態の湊を命は自分の腕の中に抱き寄せる


「お、おおお兄ちゃん何!?」


「湊、大丈夫だ」


「え?」


「観衆の目なんか気にするな。湊は湊のやりたいように動けばいい」


「で、でも……」


「俺は湊の戦い方に反対する気はない。湊を信頼し信用してるからな」


そして時間は過ぎ三分が経った


「試合開始!」



その合図があったが高槻兄妹は未だに動かない


「だから余計な事は考えるな。二人で一緒に勝とう」


「お兄ちゃん……」


「見つけた!」


湊が復活した瞬間、ルイがこちらを見つけた


「戦えるな、湊!」


「うん!」


「はあっ!」


ルイの剣がまっすぐ振り下ろされる

命は湊を後ろにつけ、拳を構える


「!? ルイ、下がれ!」


「ふざけるなよ!素手で勝てるものか!」


「はっ!」


体中の酸素をすべて吐き出すような勢いで、そして剣を拳で殴る


(剣を殴り飛ばした!?)


キルトは驚いているが足を止めることはしない

止めるどころかさらに加速する


「湊!」


命が名前を呼びながら姿勢を低くする

その頭の上ギリギリを矢が通り過ぎた

キルトはルイを庇うために減速しながら剣を振り、矢を叩き落とす

剣を振り下ろした瞬間命は蹴りの体制に入った


「キルト!」


「とりあえず眼を潰そうか」


言いながら命は地面を蹴り上げ、砂をまき散らしキルトとルイの眼に入る


「くっ!」

「ちっ!」


その隙に命と湊は二人から離れていく

その場で倒さない理由はいたのは二人だけで魔法使いであるリンがこの場にいなかったからである


「さてとどこにいるかな」


「先に魔法使いを倒すの?」


「いや、先に倒すのはあの二人だ。魔法に関しては俺らは知識が皆無だからな」


だからこそあそこで二人を倒しにいくと二人一遍にやられる可能性があったのだ


「場所だけでも把握できれ――」


ザシュッ!

命が言葉を言いきる前に何かが命を切り裂いた


「お兄ちゃん……お兄ちゃん!!!」


湊の悲鳴が辺りに響き渡った

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