『兄妹』拾伍話
拾伍話 習得……
昨日から覚悟を決めたクリスベルは朝から修行に励んでいた
「集中して、体内の点となる場所を見つける」
ぶつぶつ言いながら手を前にかざして、魔力を手のひらに持ってくるイメージをする
すると腕が柔らかい光に包まれるがすぐに消えてしまった
「……また失敗……」
朝から休まずやっているので回数は二十を軽く越えてる
それでも尚、普通の人なら倒れる状況でも、続けようと魔力が働くのはクリスベルの根性か?それとも、潜在能力か?
「点となる場所……イタッ!」
もう一度魔力をためようとしたら、コツンと何かが頭に当たった
「な、何……!?」
「それ以上やると、いざという時に力が出ないぞ」
木の陰から命がいた。その手には小さな石が握られていた
「ミコト君見てたの?」
ぶつけられたところを抑えながらクリスベルは睨む
睨まれても命は動じずに笑いながら言った
「まあな。でも一朝一夕じゃどうにもならないし」
「?どういう意味?」
「つまり、そんな簡単に身につきはしないってことだ」
やはり、というか日本の慣用句こちらではわからないようである
意味を説明するとクリスベルは自分の手のひらを見ながら言う
「ミコト君が言っても、説得力ないよ……」
命はハハハ、と他人事のように笑う
クリスベルははぁ、とため息を吐いて命を一度見てから再び修行に戻ろうとするが
「だからそれ以上はよせ。家族としてお願いする」
その言葉にクリスベルはピタリと動きを止めた
「わかった。少し休む」
「レイラと湊は先に家にいるから早く行くぞ」
「朝早くから修行していたみたいですが、あまり無視をしてはいけませんよ?」
「は、はい」
レイラに注意され縮こまるクリスベルを見て湊はレイラに質問した
「魔力の操作はそれぞれ違うものなの?」
「いえ、大体は一緒です。珍しいと言えばミコト様とミナト様ですね」
自分たちの何が珍しいのか分からず首をかしげる
「普通はあんなに早く魔力は扱えませんよ?いったいどこで知ったんですか?」
クリスベルに教えるのにちょうどいいと思い、高槻兄妹にも魔力について教えることにしたのだ
命と湊はただ身体に意識を集中させただけで特に何かをしたつもりはない。そのことをレイラに言うと、普通はそんなことは簡単にできないと言われた
「まあ、あれだ……才能があったってことだろ」
「私には才能がないのかな?」
クリスベルの顔が沈んだのを見て命は慌ててフォローする
「い、いや、そんな事はない。もしかしたら、レイラだって習得するのに時間がかなりかかったかも知れないし」
「(ちょ、ミコト様!?)」
「(すまん。後頼む)」
「……まあ、私も魔力を操作するのに四日は掛かりました。人によって魔力の操作は変わるものですから気にしない方がいいですよ」
レイラは命からのパスを受け取り、自分の体験談を話した
それに命が何か言うよりレイラが言った方が何かと効果的だとレイラ自身も思った
「そうですね。気にしても仕方ありませんよね。ありがとうございます、レイラ様」
「レイラで良いですよ。私はもう姫ではなくギルド月の人間ですから。後、ミコト様とミナト様と同じく敬語も無しでお願いします」
「うん。ありがとう、レイラ」
「どう致しまして」
距離が少し縮まった二人を見ながら命と湊は考えていた
――何故、家族から逃げ出したのだろう
クリスベルは見たところ人を避けるような人間ではない。と言うより、人付き合いはいい感じがする。それに何か罪を犯しているならこの地で暮らせるわけもない。なら、どこから逃げ出してきたのか?それが分からなかったが、今は聞けないので今度聞くことにする
「お兄ちゃん」
「ああ、時が来たらな」
笑い会う二人を見て、兄妹はこの二人は傷つけたらいけないと感じた
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