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『兄妹』拾話

拾話 日本





朝学校で、高槻 命、高槻 湊が行方不明です、と担任教師が言った

その時に教室がざわついた


「静かに!」


教師の一言で教室に静寂が戻った


「今日の授業は全て自習とします。大人しくしていてください」


そう言って先生は教室を出て行った

恐らく警察の人にいろいろと聞かれるからだろう


「湊、命さん……」


そしてここにも一人、二人が居なくなったと言う事実を知り、困惑している人がいる

この人の名前は灰乘かいじょう ゆえ、高槻 湊と同じ学年でクラスメイトだ


~~月side


私は学校が終わった後すぐに高槻家へ向かうために走り出した

途中で先生が、廊下を走るな、と言っていたが私の耳には入っていたが、頭には入っていなかった


漸く高槻家へと着いた私は走り終わってから汗がどっと出てきた

だが、それを気にするほど余裕はなく震える指先でインターホンを鳴らそうとしたが


「この家の方の知り合いかい?」


いきなり声をかけられびっくりしながら振り返る

二人の男性がこちらを見ていた。服装からすると警察であるのは一目で判断できた


「驚かせたかな。私はこういうものだ」


その人たちは警察手帳を手に持っていて中を開くと石嶋いしじま 康也こうや、もう一人の男性は平居たいらい しょう、と言う人だった


「少し話を聞かせてくれるかい?」


石嶋さんは優しそうな声色で言ってくる

私は本当に居なくなったんだ、と思いながら頷いた


「あ、あの、いつ頃からみな……高槻さんは居なくなったんですか?」


向こうが質問してくるはずなのだが、いつ居なくなったか、これだけはどうしても知りたかった


「居なくなったのは三日前だよ。私達が動き出したのは昨日だがね」


多分だが学校が警察に連絡したのだろう

以前聞いたが、二人には親がいないことを聞いていた

遠くのほうに叔父と叔母がいると聞いたことも思い出し、その人たちは大丈夫なのかな、と考えたが今一番大丈夫じゃないのは高槻兄妹のほうである


「私達からもいいかい?」


コクンと頷き、額の汗を拭きながら質問を待つ


「君は高槻さんとどんな関係かな?」


「と、友達です。大事な……」


二人が私のことをどう思っているのかは分からないが、私からすると二人はとても大事な人であるのは間違いなかった


「家の人が居ないんだが親のことは知ってる?」


学校でもしてるはずであろう質問を尋ねてきた

私は躊躇いながらも答えようとしたが


「高槻さんの親は二人が小学生の時に……」


私は途中で俯いてしまった。その事を話してくれた湊と命さんの顔には悲しいと言った表情ではなく、何か抜けたような表情を思い出してしまったから


「君は高槻さんの親戚の人を知ってる?」


「叔父さんと叔母さんがいるのは知っていますが、どこに住んでいるのかまでは……」


そう、と言って石嶋さんは一度家を見てから私を再び見る


「君は高槻さんが居なくなる前日、何か変わったことに気づいた?」


「変わった、こと……」


少し考えた後、首を横に振り無いという素振りを見せた


「そう。ありがとう」


そう言って石嶋さんと平居さんは去っていった

どうして他のことを聞かなかったのだろうと思った

だが、そんな事より二人が居なくなったことが私の心を絶望へと変えていった

私は二人が何か残してないか探すために家に入る

前に教えてもらったのだが、鍵はポストの中ではなく底に貼ってあるのでそれを使い、家に入った


「お邪魔します」


家の中は薄暗かったので電気をつけようとしたが、もし警察に見つかりでもしたら、と今更ながら考えてしまったがそんな事は気にせず電気を点ける


「湊!命さん!」


居ないと分かってはいるのだが、それを受け入れることが出来ず思わず名前を呼ぶ

だが返事はなく、誰もいない家の中でこだまする。それは虚しさを実感させるだけだった


「う、あぁ……うあああぁぁぁぁ!!!!」


私は大泣きした

大事な友達が居なくなり、片想いだが好きな人も居なくなってしまった

それはわたしを傷つけるには十分すぎた

泣いても泣いても涙は止まらずどんなに拭っても、止まれと思っても溢れて来るばかりだった


「どうして……どうしてええぇぇぇっっっ!!!!!」


叫ぶこと以外は何も思い浮かばなかった

喉が枯れそうで、声帯が壊れるんじゃないかと思ったがそんなことは気にならなかった


「……死んだ……?」


一番思いたくないことが自然と口に出してしまった

そして私は思ってしまった


「私も……同じ、場所に……」


自分は何を言ってるのだろう、と思い、まだ死んだと決まったわけではない、と私は渇をいれ立ち上がった

涙は先ほどまでではないが流れているが立ち止まるわけには行かない

そう思い探偵のまねごとをするわけではないのだが、朝二人がどうしていたのか調べることにした


「湊の部屋は」


二階にあがり手前のドアを開ける


中は特に装飾とかはしていないシンプルな部屋だった

簡単に調べた後、次は一つ奥の命さんの部屋を調べた


「二人は、自主的に家を出て行ってない……」


それだけは確信を持てた

なぜなら家にアルバムがあったからである

だがそれ以外は確信に足る物がなかった


「帰って、きますよね?」


リビングを見渡して呟いた

誰もいない静寂の中では呟いたはずなのによく聞こえた


「きっと、帰ってきますよね?命さん……」


私は名前を呼ぶがやはり返事はない

仕方ない、と思い部屋の明かりを消し、鍵を閉めて家へと帰る

二人が帰ってくることを信じて

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