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『兄妹』壱話

壱話 日常から非日常へ




「早くしろ!!遅刻するぞ!!」


「あ、ちょっと待って。お兄ちゃん!」


日本のとある場所で朝からばたばたと学校の準備をしている二人の兄妹には朝から地獄が見えていた


「今日は校門指導だから急げ!」


「う、うん!」


二人は準備が終わり、家の鍵を閉め走り出した――と言っても兄は妹の速さに合わせている。妹も迷惑をかけまいと自分なりに速く走る







「姫様、準備が整いました」


「ありがとうございます」


そしてここは日本とは別の世界

そこでは何やら準備を進めていたようで、『姫』と呼ばれた人が周りにいる人物を見渡し


「ではこれより召喚の儀を行います」


不思議な円で描かれた文字やらを囲むように大勢の人間が立っている


「これが私達の希望であることを……」


手を前に翳すと周りの人たちもそれに倣い手を前に翳す

すると円が光出し、その光はだんだんと大きくなっていった







再び戻って日本


「お兄ちゃん、今日の帰りにスーパーに寄りたいんだけどいい?」


「いいよ。それよりも今何時だ」


「えっと……うわっ!あと10分しかないよ」


学校までは走っても後15分はかかってしまう

だが兄は時間がないとわかり、別の道を使うことに決めた


「こっちから行くぞ!」


「え!そっちは行き止まりじゃ……」


「裏道があるんだよ」


「これなら何とか間に合いそうだな」


「でも暗いよ?」


妹の言う通り二人が通っている場所は朝なのに道が暗かった

だが暗いと言っても相手の顔は視認できるし、地面も見えるのだが……気のせいだろうか、いつもより暗い気がする

なにもないとわかってはいるのだが、なぜかここまで来て進んだら危ないと思った


「引き返すか」


「でも、間に合わないよ?」


確かに、ここで戻れば遅刻は免れないだろう。そして、教師からの説教も確実だが、ここを通るよりかは十分ましだと思い、妹の背中を押して道を引き返す


「うわっ!」

「な、何これ!?」


二人は同時に悲鳴を上げる

否、あげざるおえなかった

なぜなら二人の足下に急に穴が開いたからだ


「くっ!」


穴は思ったよりか小さく、なんとか穴の淵に手をかけられる

兄は妹の手を掴み、穴の縁に手をかけ落ちまいとした


「荷物を、捨てろ!」


少しでも重さを減らすために叫ぶ。それに黙って従い荷物を手放すと下が見えない穴に吸い込まれていった

耳を澄ましても荷物が落ちた音なども聞こえず、かなり深いと思われた


「ごめんなさい、お兄ちゃん。私が遅かった所為で……」


「お前は悪くない。俺が遅刻覚悟で普通に登校してれば……!?」


なんとかして穴から出ようと力を込めるが、急に身体が重くなり、手が離れそうになる

何だと思ったがすぐに分かった

穴が二人を吸い込もうとしているのだ。穴の縁に掛けた手は離れそうだが、妹の手はぎゅっと握りしめていた

痛いくらいに手を握られていた妹も不思議と痛いとは感じずぎゅっと握り返した

だがしかし人間の握力と腕力がそこまで保つはずもなく二人は一緒に仲良く落ちていった


「うわあああぁぁぁぁっ!!!!」

「きゃあああぁぁぁぁっ!!!!」


最後の希望と言わんばかりに妹の体を自分の体の上に持っていく

妹は兄の体を強く抱きつきながら落ちていった


二人が落ちた場所には元通りの静寂と明るさ、そして地面がそこにあった

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