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小話3



『紺野』


 そう呼ぼうとした俺の唇は、ただ小さく動いただけで音を発することはなかった。その代わりに心臓がドクリとひとつ嫌な音を立てる。


 紺野は、他クラスの男子生徒と話していた。俺が顔をよく覚えていないということは担当していないクラスの生徒だろう。二人は穏やかに笑いあっていた。


(あ)


 男子生徒が顔を赤らめて紺野の頭を軽く叩いた。紺野はそれを受けても楽しそうに笑っている。彼女の瞳が愛おしげに細められるのを見た瞬間、俺の中で激情が暴れまわった。


「っ!」


 何故だ。


 今まで興味を持ったものなんてなかった。スポーツも勉学も女も何もかも、どれも程々に味わってそれでおしまいだった。

 それなのに、どうしてあの女子生徒に関してだけ俺の心は乱されるのだろう。

 どうしてアイツは俺以外の男にあんな風に微笑んでいるのだろう。


 勝手に紺野を恨めしく思って、自分でも呆れるほどの嫉妬の色をにじませて、窓から見える彼女を睨んだ。すると、それが分かっていたかのように眼下の彼女がこちらを仰ぐ。そして笑った。「どう?」と言わんばかりに。


(ああ、負けだ。俺の負けだよ)


 この気持ちの原因など俺には分からない。

 ただ俺はあの女が欲しいのだ。


 どうしてか?そんなことどうでもいいじゃないか。


 紺野の勝ち誇ったかのような微笑みが、全てを告げていた。





これにて一旦完全完結といたします。莉奈が話していたのは異世界での神官の少年です。莉奈が笑っていたのもそのためです。


本編ではあまり書けなかったフェリの気持ちですが、赤木の気持ちとして描写できて良かったです。


しかし、莉奈はすっかり逞しくなって…。何も知らない赤木と並ぶくらいには精神大人になってしまっています…。


二人が幸せになれる未来を祈りながら、ここで筆をおかせていただきます。お付き合いありがとうございました!

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