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異端進化論(改訂前)  作者: 七草 折紙
第一章 能ない凡人は爪を隠す
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第19話 疑問

今回短いです。

全身ボロボロで火傷まみれの真人。良く頑張ったと自分を褒める。

その場で寝っ転がる真人。咲耶が近づいてきて、前にしゃがみ込む。


「大丈夫?」

「いたたたたたた……咲耶ぁ~、直してくれ」


今くらい御褒美で甘えても良いだろう。さりげなく太腿にスリスリする。


「はいはい。良く頑張ったわね」


咲耶からの(いたわ)りのお言葉。真人の苦労が報われる。

だが、頬を(つね)られているのは何故だろう。


「……その前にソ、ソレ。隠しなさいよ」

「ソレ?」


赤くなった咲耶の言葉に疑問を持ちつつ、真人は自分の姿を顧みる。

服を……着ていない?

大事な所が丸出しである。流石の真人も露出プレイの気は持ち合わせていない。

慌ててその部分を手で覆い隠す。


「オホンッ。取り敢えず……」


――天導術(ヘブンリィ・スペル)治癒(ヒーリング)


咲耶の手から光が溢れ、真人の全身を包み込む。時間をかけながらゆっくりと傷が癒えていく。


「おお~、復活したぞ」

「当然よ……でも服はどうにもならないわね」


全裸の真人。下腹部をなるだけ見られないように正座をして股間に手を当てる。

先程かっこよくランクAの紅蓮騎士を倒したのとは同一人物とは思えない情けなさであった。

一生の恥である。ご先祖様に顔向けできない。

紅蓮騎士との戦闘で試験生達が残り少なくなったのが不幸中の幸いである。

周りの連中からは面白そうに見られている。男子諸君からは哀れみの視線が、女子諸君からは興味深々の視線を感じる。

意外にも引き締められた理想的な肉体美。女子からの熱い視線を絶え間なく感じる。


「だ、誰か服持ってないの?」


悲鳴にも近い真人の言葉。流石に服など誰も持っていない――と思われたが……


「僕が持ってきているよ」


真道寺が手を挙げる。この男、やることはキチガイであるが、準備だけは良い。

全ての元凶のこの男に、試験生達の視線は冷たい。すっかり嫌われたようである。



真道寺から着替えの服を受け取り、隅っこの方でそそくさと着替えを済ます真人。

着替え終わると、何事もなかったかのように帰ってくる。

だが、女子連中の脳裏にははっきりと真人の肉体美が焼き付いているのであった。



傷の手当ても終わり、ようやく落ち着く試験生達。

残りのメンバーを見ると真人のグループが殆どである。刀祢のハーレム要員二人もリタイアしたとなると、残り六人。

リタイアした重傷組十人は真道寺が何らかの術を使って運んでいるようである。

簡単な手当てをしてあるので、命に別状はない。


「一気に人数が減ったな」


真人とは別グループだった真導士(ウィザード)らしき男性が話しかけてくる。


「ああ、俺は市ヶ谷(いちがや)壮之介(そうのすけ)だ。よろしく頼む」


愛嬌のある茶髪の男性である。年は二十代前半であろうか。


「それにしてもアンタ、あんな至近距離で炎を浴びて良く無事だったよな」


壮之介が余計な事を口にする。皆が思い出したかのように、真人の状態を観察する。


「ふ~ん……眼鏡はまるで大丈夫なようだね。君の身体といい、その眼鏡といい、どうなっているんだい?」

「そうよねぇ~。刀祢君の刀すら溶けちゃったんだよ。その辺の事情をた~っぷりと聞かないとね♪」


統吾の疑問に便乗して、智が怒りを(にじ)ませた笑顔で真人に迫る。

温和な表情の裏に潜んだ狂気。智バージョンⅡの発動である。真人の頬に冷や汗が流れる。


「ア、アハハ……」


智の追求に言葉にならない真人。

それも当然である。この眼鏡は世界でも一、二を争う程の技術者――真人の昔の友人に作ってもらった特注品、世界に二つとない逸品である。

ランクA如き(・・)では傷一つ付けられない。


「統吾達の攻撃で殆ど消滅しかかっていたからね。刀祢がトドメを差して、念のため俺が攻撃ってところかな? 炎も弱っていたみたいだな」


状況を整理して最高の答えを導き出す真人。

その言葉を聞いて、統吾がドヤ顔で胸を張る。


「フフ。やはり僕のおかげか。当然の結果だね」


しかし、統吾が偉そうにしている横で壮之介が異論を唱える。


「だけど、それなら服が完全に燃え尽きたりはしない筈なんだがな」

「? 何でだ? 服なんだからちょっとでも燃えたら全部に燃え移るだろう?」


服なのだから燃えるのは当たり前。壮之介の言葉の意味が分からない真人。


「? 何を言っているんだ? 護導服(バリア・クロース)なんだからそんなに簡単に燃えるわけがないだろう」

護導服(バリア・クロース)?」


聞き覚えのない単語に首を傾げる真人。その態度に壮之介が呆れ返る。


「着ていた服は護導服じゃないのか? おいおい、準備不足にも程があるぞ」

「異能に耐性がある戦闘用の服ことよ。異能災害対策室の制服にも使われているって話よ。知らないの?」


壮之介の言葉を補足するように説明する咲耶。

真人としては答えは一つしかない。


「……知りませんでした」

「その服は護導服だから気にしなくても良いよ」


真人が謝るように答えた後ろで、真道寺が真人の着ている服について補足する。

裸になる前に誰か教えてくれ、そう思わずにはいられない真人であった。






一方、刀祢の近くではハーレム要員二人が畏まっていた。

先程の刀祢の怒鳴り声が余程ショックだったようだ。


「あ、あの刀祢様……怒っていらっしゃいますか?」

「過ぎた事だ。怒ってはいない。だが、何事も時と場合を考えろ。拙者の従者であるならそれくらいは心得てくれ」

「「ハイ。申し訳ありませんでした」」


こちらはあっさりと仲直り(?)したようである。相変わらずの茶番振りである。






紅蓮騎士との戦闘を拝見していた真道寺。だが肝心の部分は見られなかった。

目的のために少々やり過ぎたかな、と反省する。


「ふむ。彼の真価は見れなかったか。しかし、あの時……気のせいかな? これ以上はネタがないからね。今回は見送りかな」


流石の真道寺もこの後に壮絶な死闘が待ち受けているとは思ってもいなかった。


お気に入り徐々に増えてました。有難う御座います。

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