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冥婚から始まる皇妃戦略 - 棺桶で叩き起こされた最強の妻  作者: 白狼九音
第一卷 冥婚から始まる鎮魂歌
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思いがけない贈り物

太后の寝宮を出た時、足ががくがくした。中では気力だけで耐えてた。外に出て、その気が抜けたら、もう少しで倒れるところだった。

隣にいた宦官が素早く私を支えた。

「王妃様、お気をつけて」

「ありがとう」

宦官は一瞬ぽかんとした。多分、「死にかけ」の人間に礼を言われるとは思ってなかったんだろう。


宦官に支えられながら外へ歩きつつ、頭の中はフル回転、

三問、三日間。

第一問、呪いの噂。解決策:逆手にとって、新しい物語を作る。三皇子は人に殺されたと言うのはダメだ。それはパニックと憶測を呼ぶ。彼は天命を果たすために去った戦神で、死後は星辰となって大燕を守っていると言うんだ。庶民はこういうのを信じるし、兵士も信じる。日本人が神仏を信じるように、時には「神格化」だけで全ての問題が解決することもある。

こうなったら、新興宗教を創設するのも辞さない覚悟で!


第二問、軍心の慰撫。解決策:私が直接军营に行くしかない。第三皇子妃の身分で、弔いに行く。そして彼らに伝えるんだ、あなたたちの将軍は、最後まであなたたちのことを覚えていたと。でもこれには準備が必要だ。一人ひとりの兵士の名前や家族の状況、三皇子が彼らと交わした言葉を知らなきゃ。


第三問、一夜で有名になること。解決策:先帝命日の晩餐会、衆人環視の中。これには芸能……いや、別の何かが必要か?皆を驚かせつつ、自分が出過ぎだと思われない方法を考えなきゃ。


三日。七十二時間。

足りるか?分からない。でも足りるようにしなきゃ。


時間はもう夜になっていた。私は四人の兵士に連れられて皇子府に着いた、正確には、第三皇子の屋敷だ。まだ目をこすりながら起こされたばかりの侍女が、直接私を皇子の寝室に連れて行った。


ここはとても広くて、独立した書斎まである。無意識に本を探し始めた。第三皇子の書斎はとても広くて、三方の壁が全部本棚で、兵法から農政、詩歌や詞賦まで、何でもある。私は適当に一冊『治世刍言』を手に取った。もしかしたら何かヒントが見つかるかもしれないと思って。


最初のページを開いて、驚いた。

そこには書き込みがあった。

びっしりと書き込まれた書き込み。細かい楷書で整然と書かれている。どの段落の下にも彼の考えや反論が書いてあって、時には図まで描いて、矢印をつけて、マインドマップを作ってるみたいだ。


何ページかめくればめくるほど、心は驚きでいっぱいになった。

この本は治国の道を説いたものだが、書き込みは全部具体的な事例だ、某年某地で水害が起きた場合、どう救済すべきか。某回の国境紛争に、どう対応すべきか。某大臣が誰かを弾劾した背景にある利害関係は何か……


これは本じゃない。

これは彼の日記だ。彼の思考ノートだ。彼の……遺書?


最後の章までめくった。タイトルは『人心論』。

その下に、ある段落が丸で囲まれていた。


「治国の道は、人心を治めるにあり。人心が安定すれば、天下も安し。人心乱るれば、天下も危うし。故に国を善く治める者は、必ずまずその民の欲する所、恐れる所、愛する所、恨む所を知るべし」


その横の書き込み:

「太后嘗て三問を以て我を試みる:流言を如何に鎮める?軍心の不安を如何に慰撫する?一夜の名を如何に成す?我答える:流言は塞ぐべからず、導くべし。軍心は押さえつけるべからず、撫でるべし。成名は急ぐべからず、待つべし。太后笑いて曰く:教え甲斐のある子じゃ。今ここに録し、後来の者のために備う」


私はこの文を見つめて、手が震え始めた。

太后が私に問うた三つの問題、彼もかつて問われたのか?

しかも彼は答えをここに書いてる?


私は急いで先を読む:


「後宮の流言は、新しきを以て旧きに代えるべし。一層信じ易き説を作れば、旧説は自ずから消ゆ。譬えば我が死、若し其れ星辰と化して大燕を護ると伝えれば、呪いの説、攻めずして自ら消えん」


第一問、答えが一致した。


「軍心の不安は、情を以て動かすべし。将士、帥を思うは、其の威を思うに非ず、其の恩を思うなり。若し人能く我に代わりて其の家事を憶い、其の疾苦を念わば、則ち将士必ず感じて戴かん」


第二問、答えが一致した。


「一夜の成名は、奇を以て勝つべし。先帝命日、使節雲集す。若し一つの絶技を献じ、一つの絶句を吟じなば、則ち天下皆な知らん。然れども成名は易く、名を守るは難し。慎むべし」


第三問、答えが一致した。まだ解決策は考え付いてないけど。


私は本を閉じて、背もたれに寄りかかった。長い間、何も言えなかった。

彼は知っていた。

とっくに知っていた。

ずっと前に、これを書いた時から、誰かが代わりにこれらの問題に答える日が来るって知ってたんだ。棺桶から這い出た女が現れて、太后と向き合って、これらの答えが必要になるって。

どうやって知ったんだ?

何を予見してたんだ?


本のページをめくって、もっと手がかりを探した。そして本の間に挟まれた一枚の紙切れを見つけた。

紙はもう黄ばんでいて、字は少し褪せてるけど、それでもはっきり読める:


「あなたが誰であれ、この本を読めるということは、私はもうこの世にいないということだ。ありがとう。」


ありがとう?

何に対して?

代わりに問題に答えてくれることに対して?代わりに生きてくれることに対して?代わりに……私と結婚してくれることに対して?


その紙切れを、ただ見つめた。

一度も会ったことのない男が、三ヶ月の時を越えて、こんな紙切れを残してくれた。

ありがとう。

たった二文字。

喉の奥が、かすかに熱くなる。

私は窓の外を見た。

「直接会って言ってくれたらいいのにね」

呟いた瞬間、窓の外から一枚の紙切れが舞い込んできた。

本当に舞い込んだんだ。

窓が少し開いていて、一枚の紙切れが外から飛んできて、ひらひらと私の前の机の上に落ちた。

開けてみると、そこには別の筆跡、本の中の人の字より少し走り書きで、急いで書いたみたいな、で書かれていた。

「王妃様、お怒りなきよう。主君が臨終の際に、もし『直接会って言え』と問う者がいれば、これを渡せと仰せられました。主君はまた、」

裏面にひっくり返した。

「『直接会って礼を言えば、お前は私に恋をするだろうからな』と」

「ええっ!?死人でも口説けるの???」


窓の外から声がした。とても低く、敬意を込めて。

「主君はまた仰せられました。王妃様がもし罵るなら、こう伝えよと、『本気です。私を愛した者には、誰一人として良い末路はありませんでした。だから愛さないでください』と」

私は窓辺に駆け寄り、窓を押し開けた。

庭には誰もいない。

ただ月明かりと、一瞬で過ぎ去る黒い影だけ。

暗衛、以前大河ドラマで見たことがある役割だ。大物たちのために暗躍する腹心の者たち。たとえ皇子が死んでも、密かに彼のために動き続ける死士たち。忍者?小姓?森蘭丸、猿飛佐助みたいな。

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