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冥婚から始まる皇妃戦略 - 棺桶で叩き起こされた最強の妻  作者: 白狼九音
第一卷 冥婚から始まる鎮魂歌
3/28

二人の下男

金の簪を取り出し。

棺の蓋をこじ開けるわけじゃない。

そんなバカなことはしない。

棺の外は皇陵で、葬列がいて、景琰が残したかもしれない者たちがいる。棺をこじ開けて這い出したら、唯一の結末は化け物としてその場で撲殺されることだ。

別の方法を使う。

棺の中にうつ伏せになって、棺の板に耳をくっつけて、じっと聞いた。

葬列は移動している。

前は十六人で担ぐ金糸楠木の大棺、後ろは私の棺。さらに後ろは儀仗隊、宦官、女官、人が多くて足音が乱れている。

でも私が聞いているのはそれじゃない。

私が聞いているのは、あの薄汚い棺桶の方向だ。

足音。二人。

だんだん近づいてくる。

「早く早く、向こうが気づかないうちに、運び出せ!」

しわがれた声が急かしてる。

あの二人の下男だ。

私の棺を共同墓地に運びに来たんだ。

棺が持ち上げられた。

今度はたった二人で担いで、ふらふらと揺れて、棺の板が「ギシギシ」と軋む。

私は隙間から外を見た。

やっぱり。

二人の下男が、こそこそと別の方向に歩いてる。あっちは裏山、共同墓地の方向だ。

前方、皇陵の正門では、あの豪華な棺がゆっくりと運び込まれている。十六人の屈強な男たち、整然とした儀仗、荘厳で厳か。

一方こっちは、たった二人、慌てふためいて、人に見せられないものを運んでるみたい。

「兄貴、お、私たち、本当に共同墓地に捨てるのか?」

若い方が小声で尋ねた。

「これ、皇子妃だぜ……」

「皇子妃だと?単なる身代わりの死に損ないだ!」

年長の方が声を潜めた。

「殿下のお言葉が聞こえなかったのか?第三皇子は死んだ。この女は阿呆で、どうせいつか死ぬんだ。どこに捨てようが同じだって?」

「でも……」

「でもも何も!早く行け!もし太后の者たちに私たちが皇子妃を犬の餌にしたって知れたら、二人とも首が飛ぶぞ!」

彼らの会話を聞いて、口元が自然と上がる。

今だ。金の簪を取り出し、棺の板の隙間から差し出して、そっと叩いた。

「コツン、コツン」

二人の下男が同時に足を止めた。

「な、何の音だ?」

若い方の声が震えてる。

「バカ言うな!早く行け!」

年長の方も声が震えてるけど、強がってる。

もう一度叩いた。

今度ははっきり聞こえた、

棺の中から音がしてる。

「ぎゃあ、!」

若い方が悲鳴を上げ、棺桶を落としそうになった。

「黙れ!」

年長の方が低く唸った。

「あの女は阿呆だ。たとえ死んでても何か音がしたっておかしくない!早く運べ!」

私は口を開く時だ。

喉を整え、声をコントロールして、とても軽く、とても柔らかく、棺の板越しに伝わるように言った。

「お兄様たち、ちょっと待って。ちょっとだけ話があるんだけど」

棺が激しく揺れた。

「お、お化け、お化け……」

「慌てないで」

私の声は相変わらずとても落ち着いている。

「私はお化けじゃない。生きてる人間よ。お化けだったら棺桶がこんなに重いわけないでしょ?それにお化けがこんなにはっきり話せるわけないでしょ?」

彼らは応答しない。多分、考えているんだ。

「あなたたち、私を共同墓地に運んだら、私は確実に死ぬわ。でも私が死ぬ前に、どうしてもあなたたちに話さなきゃいけないことがあるの、」

ちょっと間を置いた。

「私が棺桶に入るとき、殿下がこんなことを言うのが聞こえたの」

「……何て?」

「『あの二人の下男は、これを運び終わったら口封じしろ。奴らは見てはいけないものを見てしまったからな』って」

年長の方が息を呑んだ。

彼が信じたのが分かった。

だってこれは本当のことだ。景琰は確かにそう言った、彼らに言ったわけじゃないけど、確かに言った。私の元の身体が恐怖で死ぬ前に言ったんだ。

この二人の下男が皇子妃の棺を共同墓地に運ぶ。これは人に見せられないことだ。

後で口封じするのは、あまりにも普通のことだ。

「お、お前、でたらめを……」

「私がでたらめかどうか、あなたたちが一番よく分かってるはずよ。殿下がそんなことをする人間かどうか、殿下がどんな人間か、あなたたちは私よりよく知ってるわ。あなたたちを殺すのは、蟻二匹を潰すようなものよ」

長い沈黙。

「兄貴、彼女の言う通りかも……」

「黙れ!」

「お兄様たち、いい考えがあるの。あなたたちの命も救えるし、私の命も救える方法が」

「……聞こう」

「今すぐ向きを変えて、私を皇子の陵墓の前に運ぶのよ。そこに着いたら、大声で叫ぶの、『第三皇子妃、お成り!』って」

「……それは自殺しろって言うのか?!」

「自殺?違うわ。よく考えてみて。あそこには太后がいらっしゃるのよ。あの方が一番第三皇子を可愛がっていて、今第三皇子は亡くなって、太后の唯一の執念がこの冥婚よ。もし誰かが第三皇子妃を犬の餌にしようとしているって知ったら、太后はその人をどうすると思う?」

「本当か……」

「でももしあなたたちが私を運んで、皆の前で『第三皇子妃、お成り』って叫んで、私を生かして、あの死んだ犬を暴けば、あなたたちは護衛の功績ありよ。太后はあなたたちを殺さないだけでなく、褒美をくれるわ」

ちょっと間を置いて、一言付け加えた。

「それに、景琰はあなたたちを口封じしようとしてる。それを皆の前で暴露するのよ。太后がいる前で、彼にあなたたちを殺せる?たとえ後日でも同じよ。殺したら彼がやったって認めるようなもの。皇子がそんな低級なミスをするわけない」

完璧!そして心の中でカウントダウンを始めた。3……2……1……

おいおい!まさか反応ないの……!?

でも棺が突然向きを変え、走り出した。中で私は吐きそうになるくらい揺さぶられて、頭が棺の板に激突して「ドン」と鈍い音。

痛い、でも笑った。

成功した!

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