表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥婚から始まる皇妃戦略 - 棺桶で叩き起こされた最強の妻  作者: 白狼九音
第一卷 冥婚から始まる鎮魂歌
10/28

入浴

「王妃様、お湯のご用意ができました」

話しかけてきたのは十五、六歳の小さな侍女。

なかなか可愛い、ハムスターみたい。

彼女の名前は青児。執事が私に付けてくれたお側付きの侍女で、

太后の方から遣わされたのだそうだ。


太后は私に監視役を寄こしたのか、それとも萌えペットを寄こしたのか?


東の離れの浴室は湯気で熱気むんむん。

大きな木の桶にいっぱいの湯が張られ、湯の表面には花びらが浮かんでいる。

青児が私の衣を脱がせてくれた。


「王妃様、こんなにたくさんお傷が……」


私は下を向いて見た。


左肩に一つ傷跡がある。

前世で事務所の女の子を守るため、万策尽きてヤクザの構成員と命がけでやり合った時の傷だ。

右脇腹には引っかき傷の跡がある。

男団のあの七人のクズに毒を盛られた後、胃痙攣を起こした時に自分で掻きむしった跡だ。

背中にもいくつか古い傷がある、

元の身体が残したものだ。

庶子が狭間で育つんだ、傷がないわけがない。


青児の目が赤くなった。

「泣かないで。みんな職業病。慣れてるから」

「王妃様は以前……鍛冶屋を?」


PR業界は、鍛冶屋よりずっとキツい。

鍛冶屋なら少なくとも、人精たちと頭脳戦を繰り広げたり、

毎日文春週刊誌の記者を相手にしたり、

自分で育て上げたタレントに毒を盛られたりはしない。

でもこれは言えない。


「まあね。前は人と渡り合う仕事をしてたの」


青児はぱちぱちと瞬きし、意味がわからなかったみたいだけど、

それでも空気を読んで、もう何も聞かなかった。

湯船に浸かった、気持ちよすぎて叫びそうになる。

棺桶から這い出てから今まで、

これが初めてのリラックスだ。

お湯が体を包み込み、あの傷の痛みも少し和らいだ気がする。


青児がそばで世話をしながら、時々お湯を足してくれる。

彼女は口数が少ないけど、動作はとても軽くて柔らかい。

訓練されているのがわかる。


目を閉じて、頭の中で情報の整理を続けた。

屋敷には四十三人。少なくとも三つの勢力がある。


太后側の人は、執事?周嬷嬷?呉嬷嬷?青児?入り口のあの二人の侍女?

淑妃側の人、あの渡り廊下で私をこっそり見ていた人?西の離れの半開きの扉?東の離れの開いた窓?

不明の第三者、あの掃除の老人?彼はいったい誰の人だ?

それにあの蘭の鉢。誰が動かした?なぜ動かした?


そんなことを考えていると、青児が突然「あっ」と声をあげた。

「どうしたの?」

青児が窓の方を指さし。

「さっき、人影が……あったような」

東の離れの窓。

さっき入ってきた時は閉まっていたのに、今は少し開いている。

面白い。これは下見に来たのか?

それとも私が死んだかどうか確認しに来たのか?


私はわざと外に聞こえるように。

「大丈夫、風かもしれないわ。

あなたは出てて、一人でしばらく浸かるから」


扉が閉まった瞬間、私は湯船から立ち上がり、

素早く体を拭いて下着一枚を羽織り、窓辺に歩いていった。

あの隙間から、渡り廊下の曲がり角で人影が足早に去っていくのが見えた。

男だ。灰色の作業着を着ていて、体格は小柄で、動作が素早い。

私は彼の背中を目に焼き付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ