ショートショート*重いでの石
重い石のようなものに支配された男の話し
大きい石が、肩に乗っている私には、
自由は限られている。
その大きな石が、本当は何なのか私は分からなかった。
しかしそれは物体として認識できた。
そう、それは「ざらざらとした手触り」
その情報から私は石と仮定しているのだが、
私の体温が伝導しているのか冷たくもなく、人肌程度の温度でもなく、私は手触りから"石"だと推察したのだった。
それは鏡には写らないし、振り向いてもそこには無いのである。
ずっしり重い感覚が絶えず両肩から背中の真ん中辺りまで支配されている。
違和感を感じたのはいつだったか、記憶は定かではない…
いつからそれを感じたのかも、思い出しても思い出せない。
もしかしたらこの大きな石が私の記憶に干渉して"邪魔"しているのかもしれない。
この存在の"お陰で"、私はスポーツなどの激しい運動はできなくなってしまった。
私はかつてスポーツで飯を食っていた、それなりの選手であったが、今は静かな余生を過ごしている。
引退はいきなりやってきた、私の想像より遥かに早く──
石はその前から乗っていたのかも知れない、そしてそれが引退の引き金になったのかも知れないが、記憶が邪魔をして鮮明にならないのだ。
しかし筋トレ程度なら私は体を動かせるのだが、激しいスポーツ、私がかつてやっていたスポーツはそれを許してはくれないのである。
私は、ごくたまにかつての仲間から仕事の依頼を受けるのだが、もちろん喜んでその依頼を受ける。
たくさんの子供たちが笑っている。
私は大勢いる子供たちや大人の前で、かつてやっていたスポーツの話を話す。
カメラの前で緊張気味の私が、想い出を少し照れながら饒舌に語った。
話すのは好きだったので、他愛もない持ちネタを披露するのが一連の流れだった。笑い声が室内にこだまする、私はさらに勢いづくのは毎度のことだった──────
司会のお笑い芸人が
私の持ちネタに突っ込みを入れて更に室内は沸いた。
「伝説の選手列伝、お笑い選手編」
私はまだ皆の記憶に残っているのだ、満足げな私の写真が微笑している。
例の石が私の背中から浄化されたのか
私は無事成仏できた。
【あとがき】
重い石というものが頭に浮かんで書いてみました。
ラスト落ちのために故人にした感じは否めませんが…
もう少し語彙力がつけばと読書も始めました。
それから芥川龍之介をよくYouTubeで聴いています。
最後まで読んでくれてありがとうございました(__)




