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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

神のに愛された人間

作者: びわ

この話に実在した神話や宗教観をモデルには全く持ってされておりません。

広い心でお読みください。

−神は愛した。たった一人の人間を−


 ✯✡✯✡✯

 

 創造神は、世界を5つも造った。長い長い終わりのない生の暇つぶしに。

 しかし創造神は全ての世界を見ているのに疲れていった。

 そうして神は他の神を生み出した。

 

 一柱、二柱と増える子神、その数が七柱になった時、創造神はそれぞれに役目を渡し、それぞれの世界に解き放った。


 そこで残った末に生まれた二柱の双子神、創造神は二柱を、跡継ぎにしようと考えた。


 それぞれ大きな役目を与えた。

 『始まり』と『終わり』

 創造神は二柱のために新たに6つ目の世界を創り出し、双子神をその()()の創造神とさせた。


 始まりの神、姉神のアルガーペ

 終わりの神、弟神のテロスメテー


 二柱は他の世界を元に、6つ目の世界を創り上げていった。


 姉神は神力で海と大地を巡らせ、

 植物と動物を創り上げ。

 弟神はそれぞれに終わりを与えた。


 しかしそうすると生き物は消えてしまった。


 だから姉神は生き物の身体に性別という違いを与えた。

 そうすると生き物は生存した。


 しかしその生き物は神力で作られた世界にどうにも合わず、とても弱かった。その様子がテロスメテーはつまらなかった。


 だからテロスメテーは生き物に自分の力、『魔神力』を与えた。それが生き物に触れたことで、『魔力』と言うものに変化した。

 

 そうすると生き物は環境に合うようになり、大きく力を持ったり、賢くなった。


 二柱は生き物を眺めているのが好きだった。


 二柱は眺めていた世界に司を送った。

 姉神の司は聖獣と呼ばれた。

 弟神の司は魔獣、魔物と呼ばれた。

 

 そんな時、『人間』が生まれた。

 それは神々の姿に酷似していた。

 ()は文明を創り上げた。それを二柱を見るのが面白かった。


 アルガーペは人間が好きだった。だから人が現れてから天界から世界に降りていった。


 いつしか人間は双子神を崇め、宗教の主となった。しかし姉神と比べ世界に降りていなかったので弟神は姉神ほど聖書に残ることがなかった。


 そんな人の中で美しい魂を姉神が見つけた。アルガーペはその魂に加護を与えた。


 『私の美しい愛し子に我の力を』


 その愛し子は人々をまとめ、国の女王となっていた。アルガーペは愛し子が亡くなってなお、その国をずっと見守っていた。


 その後にもいくつもの国が生まれ、愛し子の国、フレジリオーク帝国を上回る国は生まれなかった。


「アルガーペ様の思いのままに」 


 この世界の創造神と言えるアルガーペの考えは国の政治に置いて最重要とかしてしまった。

 

 ✡✯✡✯✡


「テロス、私は地上に行ってくるわ」

「行ってらっしゃい。人に気づかれないようにね」

「わかってるわ。」

 そう言ってアルガーペは地上に降り立った。

 女神として降りると面倒くさい時間が流れる。見ているのは面白いのに、実際に囲まれているのは窮屈だ。


 ❂❍


「あっ忘れてた!」

 自分自身にちょっと呪いをかけ、8つ程の人の幼子に姿を変えた。神として人前に出るときはいつもどうり、人の20歳程で銀髪と青と赤のマーブルの目だ。でも今は黒髪、目は変えられなかったけど、気づかれることはないだろう。

 完璧なへんそうだ!

「フフっふ〜ん」

 鼻歌交じりにスキップしながら地上を歩く。池にほとり、広がる花畑をゆっくりと回る。この池は大切な池だ。

 フレジリオーク帝国、彼女(愛し子)が見ていた景色を見ていると心が休まる。

「……っやめ……ッグ」

「ん?」

 男の子達の声が聞こえ薄っすら聞こえたのでそちらを見てみると10歳くらいの男の子が何か囲んでいるみたいだった。

 遊んでいるのかと近づいていくと不穏な単語が聞こえてきた。

「……はっ所詮愛人の子だろ!魔力が高いからって!てめーが血が兄だなんてなんかの間違いだ!」

「いつもいつも邪魔なんだよ!閉じこもってろよ!」

「「「そうだそうだ!」」」

「っぐ……いっ……」

 バシッドンッ

 悪口を言い捨てる男の子2人に賛同する3人、囲まれて暴力を振るわれている男の子、どうにも遊んでるわけではなさそうだった。

「ねぇねぇ、何してるの?」

 一人の男の子の肩をポンポンと叩くとビックと震えて後にゆっくりとこちらを振り返った。

「っお前だれだよ!いきなり!……」

 怒鳴ったと思うと男の子は顔を赤くした。怒って顔を赤くする人をほぼ全ての人類を見てきたが見たことなかったのでこの子が最初だ。人間はこんな事もできるのか……!

「何やってるのかな〜って、なんでその子は怪我してるの?」

 まあ大体予想はつく。この子のことは知らないけれど、察しはつく。『いじめ』だろう。

「いっいや、その……」

「ん?その、どうしたの?」

 先ほどの男の子はしどろもどろになっていじめを否定しようとする。答えは明らかなのに……

「ッチこのあと用がある。今回はこのくらいにしていたりよ!」

 そういじめられた男の子に吐き捨て、王宮の方に走り出したと思ったら、それに続くように他の子がその場から離れた。

「……大丈夫?え〜っとお兄ちゃん。」

 今この場ではきっとこの子の方が年上に見えるだろう。男の子に手を差し出し軽く笑いかけると、目を丸くしていた。

「……大丈夫だ。その、ありがとう。」

「えへへ、大丈夫なら良かった。」

 私の手を取って立ち上がった男の子は思ったよりも傷が酷かった。

「痛そう……ねえ直していい?」

「え?まっまあいいが……」

 その言葉をもらってすぐ、私は彼の傷に手を添え、神力を注ぎ込む。そうして傷を消すと男の子は目を丸くした。じっと見られビックとしつつ、気にしないように笑うと、彼は顔を掻きながら私の問いかけた。

「その、君は誰だ?貴族の子じゃないみたいだが……」

 ギクッ

 少し王宮に近すぎたようで、この子は私を貴族か何かと勘違いしているようだった。遊びに来る場所を間違えたと思いつつ、「違う」と返す。そうすると「じゃあ誰?」私は慌ててしまった。ここまで人間と会話が続いたことがあっただろうか?

「えっと〜アルガー……、アルガ!アルガよ。」

「ふ〜ん」

 自分の名前はをそのまま言いかけてしまったけど、どうにか誤魔化せた。しかしほとんどそのままの名前になってしまったせいで……

「女神様の名前に似てるな。アルガー……」

「あーあー、それよりもお兄ちゃんの名前は?」

 (この子、感がいい!危うくバレる所だった。)

 咄嗟に話を変え、話を遮る。

「ん?ああ、クロノスだ。フレジリオーク・クロノス」

「!っ皇子さま?」

 フレジリオーク、私の愛し子の子孫。改めて見ると金髪に蒼い目、愛し子と同じ色合いの姿をしてる。

 (……と言うかさっきの子はその皇子をいじめてたの?)

「……まあそうなるな。」

「その……なんでさっきの人に……」

「……」

 眉間にシワを寄せ、こちら睨むその顔で、クロノスが言いたくないのはとっても伝わった。

「えっと、クロノス…様、ごめん…なさい、なんでもない…です」

 無理やり敬語を作って話す私にクロノスはプッと笑った

「大丈夫、あと無理に敬語にしなくても良いよ」

 クロノスはそう私に微笑みかけた。その時ぽっと頬が熱くなった気がした。

 (なにこれ?人の姿なっもいつもはならないのに……)

「うっうん!そうするね。そっその、また明日、ここで会える?」

 何故か震えた声が出た。

 (ッちょっと興味が湧いただけだもん……多分そう!)

「そうだな〜」

 なんでかビクビクしちゃったのはどうしてなのか、わかんなかった。

「多分大丈夫。また会お。」

「!うん!会おね!」

 なんかテンションが上がってしまう。どんどん体温が上がっていてる。

「……ごめんね、もう帰るの。また明日ね!」

「そう?じゃあね。」

 段々クラクラしてきて、なんか頭が回らなくなってしまった。人間というのほ皆こんな感触なのだろうか。

 私はその場をを足早に後にして、天界まで戻った。


「……かわいい………」

 クロノスは時差でポッと赤くなった。


 ❂❍


「ただいま〜……」

「おかえり……て、どうしたの?」

 いつもの姿に戻ったのにまだ熱が引かない。これは人間だけに起きるものじゃないのか……

「……なんでもない。男の子に、会っただけ。」

 そう言って私は1人部屋に入った。

「ふ〜ん。男の子、ね。」

 テロスメテーの含みのある言葉は頭に入らず、私は雲にもたれかかった。

「……クロノス、か」

 彼は私の愛し子の子孫、ただそれだけのはずだけど、何か別の感情な気がする……

「はぁ〜」

 いつの間にか世界を見通す瞳でクロノスを眺めていた。

 クロノスは王宮の裏にある塔にいた。ツタが張っている様なボロボロの塔などに皇子が居るのはおかしいだろう。

「何ここ」

 私は()を見るのと造るだけ。未来も過去も見えないし全知全能なんてもってのほか。

 でもフレジリオーク帝国はずっと見てきたのと今日の男の子でだいたい理解できる。

 クロノスは愛人の子であのボロボロな塔で暮らしている。皇族にも関わらず。

「どうしよ、今度皇帝の地位落とそうかな」

 神殿でお告げしたら大体なんとかなるだろう。しかし、クロノスは愛人の子らしいから立場は変わらないかもしれない……

「そういえば虐めてた子は誰だったのかしら?」

 顔は覚えていたので今の彼を見ると皇帝と食事している。地上では食事をする時間なのだろう。

「皇帝と食事……この子も皇子?」

 だったら今の皇帝を落とそうとこの子が得するだけでクロノスは何の得もない。

「あ〜どうすればいいの〜」

 そう言って私は雲にうつ伏せになった。


「今日姉様が会ってた子……この子?」

 その時テロスメテーは過去を見てた。テロスメテー、死の神というが正確には運命の神。姉神のアルガーペが生み出した、テロスメテーがその運命を定めて世界が回っている。

 姉神と真逆なその力は彼女と真逆の性格を生み出し、クロノスを覗く。

『……かわいい……アルガ』

 そういいながら真っ赤になるクロノスをテロスメテーはじっと見ながらクッと微笑んだ。

「何この子、もっと面白くなりそう。はは」

 彼はクロノスとアルガーペの心を二人よりは先に見つけたクロノスは、ある時からフレジリオーク帝国の教会に入り浸るようになった。


 ―8年後―


「ねぇねぇ、テロスなんで教会ばっかいってるの?」

「別に良いでしょ。と言うか姉様はクロノスと会うんじゃなかった?地上では今夕方だよ?」

「あっそうだった!ってどうして知ってるのよ!?」

 そうちょっと顔が赤くなりつつ地上に降りる。

 あれからちょこちょこクロノスと会って、彼に対する感情が人間が言う『恋』だと分かった。

 きっかけは前に他の世界の『自然』の姉神が来た時に、『それはきっと恋って奴よ!!』と言われた時に分かった。良く分からないが、姉様の熱弁を聞いてその感情が一番今の私にあってると感じた。

 姉様は私に『惚れ薬』というものをくれたけど相手にも自分『恋』してもらう薬はなんだか女神としてのプライドが許さなかった。


 ❂❍


「アルガおはよう。」

 クロノスそう言って優しく微笑む。クロノスはこの8年間で背伸びてが、よりかっこよくなった。肩くらいの髪も腰まで伸ばして、社交界?らしき所でも人気があるらしい。私はクロノスの元に駆け寄って笑顔を返した。

「おはよ。クロノス早いね。」

 約束よりもだいぶ早く来たつもりだったのに先にいる。もしかして私と会うの楽しみにしてたのではとちょっと期待する。

「はは、ちょっとね。」

 そうクロノス苦笑し、私は首を傾げる。

「それよりも明日は建国記念日だからお祭りがあるだろ?一緒に行かないか?」

「えっ行く!あっでも……」

 クロノスは皇子だ。こんな忙しい時に呑気に祭りなんか行っていいのだろうか?正直言って行きたいけど、迷惑かけたくない……

「ん?どうした?」

「忙しいんじゃ……」

 クロノスは愛人の子でも公務はそれなりにある。愛人の子だとしても第1皇子である事は変わらないから。それに加えて彼は頭もいいし、魔力も高い。次期皇帝にと推す人がいるくらい、公務の量は国で2番とだって言える量をしてるだろうに。

「大丈夫だよ。仕事は前倒しで終わらしたし。今日くらいは気分転換さしてくれ?」

 やはりクロノスは優秀だ。建国記念日の公務なんてすっごく多いだろうに、終わってるなんて!第2皇子なんて今仕事に囲まれてるのに!

「やっぱりクロノスはすごいね!」

「そう?ありがとね。お祭り、行こ?」

「うん!」

 私は出された手を握って街へ向かった。


「うわ〜さすが人いっぱいだね!」

「うん。手離さないようにね。」

「うっうん!そうする。」

 顔が仄かに赤くなってるのがわかった。でもしょうがないだろう。好きな相手なんだから。

 りんご飴、 串焼き、射的

 クロノスと出店を回っていたらすっかり暗くなっていた。姉様が言ってた『好きな人といるとすぐ時間が過ぎる』と言うのとこのことだろう。

「あっあの店、気になる!行っていい?」

「いいよ。行こ?」

 私が行ったのは簪や指輪が置いてある出店。天界では私とテロスメテーしかいないけれどおしゃれに興味がないわけではない。

 作ろうと思えばいくらでも作れても、こういう時に買う方が大切にできるだろう。

「う〜ん」

 私のお金の出どころは教会の貢物のみ。天界にいるから問題ないが此処ではそれほど贅沢できない。

 蒼い花のブローチかサファイヤがあしらっている髪飾り。どっちも高い……でも片方なら買えるから慎重に選ばなくちゃ!

「……おじさんこれとこれちょうだい。」

「あいよ!お兄ちゃん達お似合いだね〜。特別にまけとくよ。」

「ありがと。はい」

 そう言って私が見ていたブローチと髪飾りを私に渡した。

「え?え?なんで……」

「ん?だって欲しそうにながめてたじゃないか?」

「!」

 ドキドキ心臓の音がうるさくて、いつもかっこいいクロノスがもっとかっこ良く見えた。

「それよりもアルガもうすぐ花火があるよ!」

「花火?」

 私は目をキラキラさせてクロノスに聞く。私の知識では火薬を使って空に花みたいなのを描くそうだけどそんな事できるのかと思ってた。

「ここよりもっと綺麗に見える場所知ってるから連れて行っていい?」

「うん!」

 私の返事をもらってすぐに、クロノスは魔法を使った。

「メタセシ−ホロス−」

「わ〜」

 出たのはクロノスが前に住んでいた塔の屋上。大分高いし確かによく見えるだろう。

 キュー

「ほら!花火!」

 ボーン

「綺麗ー!」

 その後もボンボンと花火が打たれる。私はその花火に釘付けだった。

「…本当、綺麗……」

「……」

 クロノスの視線にも気づかずに、花火を見ていた。

「ねえ、アルガ……」

「何?」

 首を傾げている私に微笑んで「何でもない」と言って、はぐらかす。

 次会う約束をしてそのまますぐ解散した。


 ❍❂❍


「だだいま〜」

「おかえり。遅かったね。」

 まだ引かない熱と共に一気に疲れが出てきた。

「ちょっとつかれたから休むね。」

「そう?あっでも明日『自然』の姉様と『生物』兄様が来るって。明日用事あるからよろしく」

 そう言い残して部屋に帰ってしまった。さらっと言っていたが姉神と兄神が来るなんて聞いていなくて慌てた。しかし今はクロノスのことでいっぱいいっぱいで頭に入ってこなかった。

「……フフフ」

 クロノスにもらったブローチと髪飾りも眺められて幸せでならなかった。


 テロスメテーは8年前から教会に行って、彼は何をしていたか、それはアルガーペすら知らなかった。

 テロスメテーは人間に1人だけ会っていた。そう、クロノスである。

「テロスメテー殿……」

 クロノスはテロスメテーにもたれかかった。テロスメテーはやれやれと言いたげにクロノスを立たせる。

「クロノス?一体どうした?例の女に告白すると息巻いておったが振られたか?」

 テロスメテーはアルガーペとクロノスが出会って直に、クロノスに会いに行った。

 ――

 クロノスはアルガーペ、基アルガに会った翌日に教会へ向かった。

 森の奥。新しくできた教会にはいつだって誰もいない。建設されて直に人が他に行ってしまい、誰も使われずにいた教会。忌み子として生まれたクロノスにとって唯一行けた教会にで、テロスメテーは待っていた。

『……どうしてここに?』

 クロノスは目を見開いて、彼を見た。教会には女神1人用の像しかない。その像の横に、対になるような男が立っていて当時10歳のクロノスは自分の目を疑った。

『ん?クロノスよ。我がここにいては悪いか?』

『えっ?えっと貴方はテロスメテー様で……合ってます?』

 クロノスの震えながら言う姿はテロスメテーの興味を引いた。『面白そう』だと。

『ああ。そうだな。ちょいとお前が気になってな。』

 テロスメテーは不敵な笑みを浮かべ、クロノスを値踏みするように見回した。

『クロノス、貴様は何故此処に来たかった?』

 テロスメテーの言葉にクロノスは少し考えて、答えた。

『この前、2つほど小さな女の子に会ったんです。その時からなんというか……胸がギュッてなって……』

 そう少し頬赤らめながら言うクロノスに、テロスメテーは

 (……マジかよ)

 と、何のためらいもなく思った。姉神も鈍いがコヤツも鈍すぎる。そう思ったテロスメテーは、アルガーペの恋心に加担することにした。

 ――

「いえ……振られてはないのですが……」

 (知ってるよ。)

「じゃあ何だ?」

 少々不機嫌になりつつテロスメテーはクロノスに詰め寄った。

「……なかった。」

「なんて?」

 ボソボソと耳を赤くしながら言うクロノスに聞き返すと次はもっと顔を赤くした。

「告白、言えませんでした!」

 そう言ってクロノスはうずくまる。テロスメテーはほんとに呆れた顔をした。せっかく未来も過去も見ずにいたのに……

「は〜バカめ。」

「ダッだって、花火を見てるアルガが可愛すぎて……!」

 姉の事を言われている故テロスメテーは何もいいわず聞く。

「昔から花の妖精のように可愛かったけど今じゃ綺麗にもなっていって……!」

「ぼっ僕は到底付き合えませんよ。」

 テロスメテーも流石に顔を歪ました。彼に近づいたには姉神が彼が好きで、かつ面白そうだったからだ。けしてこんな事を聞くためじゃない。

「諦めるのか?今まで我がどれだけ聞いたと思ってる!?」

 8年間聴き続けたのに諦められたら時間のムダも無駄だ。

 その後、テロスメテーはクロノスに説得を続けた。

 フレジリオーク・クロノスは確実に男神テロスメテーと一番関わりのある人物だろう。


 ✪❍✪


 テロスメテーとクロノスが会っていた時、アルガーペは『自然』の姉神と『生物』兄神にあっていた。

「アルガーペね、恋って奴してるそうなの!」

 自然のフィシス姉様が生物のゾオン兄様に言う。

 (何バラしてるんですか!?)

 焦ってワナワナしているとゾオン兄様が「ふむ」と顎に手を置く。

「生き物が番にするやつか」

「そう!と言うかゾオンもっと面白い反応してよ」

「すまん」

 どうにもフィシス姉様求めていた反応じゃなかったようで何故かゾオン兄様も謝っている。

 (いやそれより私が恋してるのバラされた!)

「フィシス姉様?いきなり何を言い出すの?」

 フィシス姉様は何か言われるようなことしたか?って顔している。これは無理だ。何の悪意ない姉様を怒れない。

「ねえねえ!距離縮んだ?この前でーとで出かけたらしいけど?」

「でーと?てなんですか?っていうか何で知ってるんですか!」

「テロスメテーは意外と口軽いわよ?」

 テロスメテーはどういうつもりだろう?ちょっとテロスメテーに殺意が出る。

「……特になにも、髪飾りとブローチをもらいましたけど……」

「え〜!本当に?プレゼントなんて〜」

 何故かテンション高く笑った。その後も姉様の独擅場で、私の恋愛の話ばかり話した。私は顔に熱が集まり真っ赤になっていた。

「でね、どうすればその子とアルガーペをくっつけてるかしら?」

「番にするってことか?」

「そうそう」

 二人でずっと盛り上がっているので私は置物のようにそこにいた。

「……その子は皇子なんだろ?うちの世界にもいる。」

 ゾオン兄様は足を組み直して話す。放心状態の私の肩をフィシス姉様が叩いて正気に戻す。

「だったらそいつを皇帝にしてやればいい。」

「「……なんで?」」

 その時だけは姉様と声が重なった。突拍子もない兄様の言葉に引っかかるのもしょうがないだろう。

「その子はまだ権力を持っていないし興味もないのよ?むしろ迷惑じゃない!」

 姉様の反論に私はともかく首を縦に振った。

「そうですよ!何のために……」

「そしたらほぼ絶対的に番になれずぞ?」

「!」

 兄様の言葉で一瞬時間が止まった気がした。でも分からなかった。彼を皇帝にしても、何も変わらないだろうに……

「……ゾオン君?そこまで言うならその理由を教えてくれ?」

「ああ……」


 ❂❍✯


 ある日、女神アルガーペがフレジリオーク帝国にお告げをした。

 『フレジリオーク・クロノスを次期皇帝に任命する。ただし婚姻は認めない。』

 っと。全て兄神ゾオンの言われた通り。クロノスを皇帝に仕立て上げた。

 そのお告げに人々は混乱した。愛人の子のクロノスは王位継承戦も低い。しかも婚姻すらしてはいけないなんて、神の意志が全く分からない。

 ――

「ちょっと!姉様さっきのお告げ何!?」

 天界に帰るとテロスメテーが私に詰め寄る。彼にすら教えていなかったからだ。

「ゾオン兄様の助言どうりしたの。」

「ゾオン兄様が?はぁ〜何やってるの……」

 テロスメテーは頭を掻きながらイライラしているのを全面で表している。

「ちょっと兄様の計画聞いていい?」

「えっとね……」

 私はテロスメテーに状況と計画をつつみ隠さず話した。

「……って感じ。」

「なるほどね〜。……そんなうまくいくかな。」

 そんな不吉な事を言う。私は運命が分からない。私は始めるだけ。その後はテロスメテーの担当だから心配が募った。

 ――

「「「なんて事だ……」」」

 フレジリオーク帝国では主に3人が今立たされている状況に絶望した。

 現皇帝、元王位継承戦第1位の第2王子、そしてクロノスの3人だった。

「我の座が……」

 お告げに従うなら今すぐに王位を降りなくてはならない。もし従わなければ天罰が下るかもしれない……そんな立場に立たされた。

 

「何で、何で何で何で!クロノス風情が……!」

 愛人の子と批難していた圧倒的にクロノスより上にいたのに次期皇帝がクロノスと決まった。しかもそれは女神アルガーペによって。

「……ッチ」

 クロノスに対する感情はどんどん増幅した。

 

「……!」

 クロノスは他の2人と違って彼は権力に関しては得しかしていない。しかし彼は誰よりも誰よりも絶望していたのはクロノスだった。

 (何で……女神様は何故……)

 しかし彼の心を知るものは神でも知らない。

「……テロスメテー殿に会わなくては……」

 ()()()を愛してるクロノスからしたら、絶望でしかない。

 身分のわからないアルガを娶るのは皇子であるクロノスには難しい。それが皇帝となればそれ以上だ。普通は婚約者がいない事ですら異常だから。しかし婚姻は認められない。アルガ以外を娶らないでいいのはありがたいが、それはアルガを娶られないということだ。

 ふらふらとクロノスはいつもの教会へ向かった。

 ――

「あっ居たんですね。」

 クロノスが教会に着くとテロスメテーは足を組み直して待っていた。

「クロノス……」

 目が合った瞬間テロスメテー目線を逸らした。

「テロスメテー殿、あのお告げは一体?」

 クロノスは目を見開き神相手に声を荒げる。彼には今余裕が全く持ってなかった。

「……我は知らない。姉様が勝手にお告げをしたから我も混乱しておる。」

 アルガーペの意思は理解できたものの確実に言っちゃ駄目だと分かっていた。

「……もしクロノス、お前の好く相手に大きな隠し事があったとして、お前はどうする?」

 クロノスは全く真意が分からなかった。お告げについて聞いいているのにと……

「真意が見えません。……どんな隠し事でも、僕は彼女を嫌いになれません。永遠に……」

 テロスメテーはとりあえず欲しい答えが聞けて少々安心した。

「そもそも彼女の隠し事を僕は追求する立場にないですよ。」

 テロスメテーは彼女と恋人でもなんでもない。一番近い関係で幼馴染といったところだ。

「それならいい。」

「えっちょっと」

 テロスメテーは満足するとすぐいなくなり、クロノスは悩みがなくる事なく、アルガと会う日まで悩み続けた。

 しかしアルガとは直にクロノスに王位を譲るための公務で忙しく、次に会えるのが王位を継ぐ頃になってしまった。

「はぁ〜疲れた〜」

 クロノスはお告げから10日という超々超スピードで皇帝となった。過去最高速度、そして未来でもこれ以上の早さはない。

「やっと、明日、会える……」

 ドサッとベットに倒れ込んだ。クロノスは間違いなく最優秀の皇帝だったろう。

 5日で2日分の休日を手に入れた。皇帝についてばかりでどれだけ公務があるか、想像しただけで吐き気がするだろう。


 ❂✯❂


 クロノスが皇帝になり4日目、皇帝が一人になるなんてと思われるかもだが、当時はそのあたりの警備は、クロノスについていなかった。クロノスは当代一の魔法使いでも。

「クロノス〜」

 アルガはいつも通りに塔の下で待つ。クロノスはもう皇帝になって塔には住んでいないけど。

「アルガ、先延ばしにしてごめんね。」

「全然大丈夫〜皇帝になったんでしょ?今日ここに来ただけですごいの自覚して?」

 (そもそも皇帝に無理やりさせたコチラの問題あるし。)

 クロノスが謝る事は一切ない。そう笑いかけると、疲れがスッと消えたように背中が軽くなった。

「そう言ってくれて嬉しいよ。……僕が皇帝になったの、知ってたんだ……」

「そっそりゃね。世界中が知ってるよ。」

 ちょっとドキッとしたアルガーペはちょっと目線を逸らした。

「……皇帝になっても良いことないよ。護衛すらいない皇帝だよ?誰にも必要されてないし。」

「ッ……っクロノスは、国民の事、どう思う?」

 計画では国民を大切にしていなくちゃ意味がない。クロノスは少しの沈黙ノアと答えた。

「僕のせいで不幸にはさせたくないな。皇帝のせいで何て言われないようにしたいかな。」

「っふふっそう?」

 その返事に口元が緩む。これなら計画は問題ないだろう。

「どうしたの?」

「なんでもない。それよりさ、私たちが最初に会った場所、わかる?」

 クロノスは軽く首を傾げ、「わかるけど」と言う。「じゃあそこ行こ?」とアルガがそう言うとそのまま動き出した。

「……やっぱ綺麗ね。」

 花畑が広がるが池に反射する。この池は私が愛し子のためにだけに上げた特別の池だ。

「本当だね」

 花畑の中、辺りを歩く。池に映っている自分る見える。

「……クロノス、私の隠し事があるの。大きな隠し事。」

「えっ?……!」

 クロノスは目を大きく見開いた。当たり前である。池に映るアルガを見たからだ。

 『真実の池』

 アルガーペが200年前の愛し子フレジリに与えた池。映したもの全てを本来の姿にし、その池の水を飲んだものは1日中本心が漏れ出す。

 その池に映るアルガがどのように映ったか、それはわかりきっている。

「私の、隠し事はこれ。騙してごめんね。」

 女神の姿に戻ったアルガーペを呆然と見る。黒髪が銀髪に戻り、16歳くらいの姿も20歳くらいに変わる。

「……」

 クロノスが状況に追いつけなく頭が回らない。

「クロノス、私、貴方が好きよ。」

「え?えっえ?」

 クロノスは混乱が混乱で固まってしまう。好きな()がいきなり好きな()になって、自分に愛を囁いている。その瞬間は、皇帝クロノスが、ただのクロノスになっていた。

「……明日、塔で返事を聞くからね。今日はそれだけ……」

「あっ」

 アルガーペはその場を離れ天に戻った。

 そこに1人取り残されたクロノスはどんな心境だろうか。クロノスは顔を赤くしたり、青くした。


 アルガーペに告白された。皇帝にさせ、婚姻をする事を禁じた女神アルガーペに。

 これは脅しである。皇帝と言う最大身分で断ったらどうなるか、それはクロノス1人で留まる事だろうか?

 クロノスに『逃げる』事を出来なくさせる。これが男神ゾオンが女神アルガーペに授けた策である。

「……クロノスの奴…許さない。」

 あくまでクロノスを恨む相手を考慮せずにたれた策である。


 ❂❍


「姉様どうだった?返事」

 帰ってくるとテロスメテーに絡まれる。顔が真っ赤に染まってふらふらしてるアルガーペを見てテロスメテーは確信していた。

 (これはうまくいったか!)

  そう思っていたテロスメテーは信じられない事を聞く。

「返事……もらってない。明日、聞く。」

「そうだよね。……ってはぁ〜」

 姉神の奥手を見誤っていたようだ。想像の何倍も奥手現実に向き合えないテロスメテーは自室に戻っていった。

「……まあ問題ないだろう。」

 未来も見ずにテロスメテーはそう思った。8年間見守っていた。ゾオンの策無しでも問題ないと分かっていた。


 ❂✯❂


「いっ行ってくる。」

「は〜い行ってらっしゃい。」

 地上に降り立った私はそのまま塔へ向かった。緊張しつつも確実に断られないと確信していた。

「入るよ。」

 ギィー

 錆びついた扉を空け、中に入る。塔の屋上から入ったから最上階の部屋、既にクロノスはそこにいた。

「クロ…ノス……?」

 私は目の前にある光景に絶句した。はぁはぁ吐息が絶えだえになり、彼の顔をのぞき込む。

「なんで……なんで()なんて流してるの?」

 目の前のクロノスは,手にナイフを握りしめ、胸が赤黒い血に染められている。

 私は今まで生き物の死ぬ所を見た事がなかった。私はいつもの始めるだけで、その後はテロスメテーの担当。でも死んだら()()()()のものでなくなり、父創造神の担当となる。生き物の本当の終わりはない。世界を巡り、死に生まれを繰り返すから。

「クロノス……そんなに、私が嫌だった?」

 クロノスは死んでまでして私から逃げた。女神である私から。


 ✯✡✯✡✯


 女神アルガーペは泣き続けた。国中が大雨に包まれ、その雨は悲しみの雨。


 しかし人間はその雨を女神アルガーペに逆らった皇帝クロノスに対する怒りの雨だと思われた。


 帝国は世界からその権力が失せて行き、帝国は王国と呼び名を変えていった。


 クロノスが皇帝であったのはたった7日間だけ。次第に何故帝国が王国に成り下がったのか、それは忘れ去られていった。


 女神アルガーペはその後歴史に出てくることはない。


 ただ、フレジリオーク帝国にのみ、聖女は生まれる。


 フレジリオーク帝国基王国は女神アルガーペに愛されていった。

皇帝クロノスが死んだのは第2皇子による暗殺であり、自殺ではありません。


この国は第2皇子が継いでいるので歴史上では女神の逆鱗に触れたからとなっています。

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