届くはずのない年賀状
年末、高橋 裕人は中学校以来の友人である賀来 光太郎に年賀状を書いた。
『よっ!あけましておめでとう!久しぶりこうちゃん!元気にしてるー?この時期、体調崩しやすいから気をつけろよ!』
そう年賀状に書き、投函した。
――こうちゃん、元気にしてっかなぁ
そんなことを思い、過ごしていると年が明け、光太郎から年賀状が返ってきた。
その年賀状には――
『あけおめ!久しぶりだなー裕人!もちろん元気ビンビンだぞ!お前こそ、彼女欲しいって言ってたけどできたのかー?あ、よかったらうちに遊びに来いよ!ことよろ〜』
そう書かれていた。
「こうちゃんの家かぁ、中学以来行ってないな。よし!行ってみよ!」
―二日後
光太郎の家へ行くため、準備をして自宅を出る。
――久しぶりに会える!俺、あれからかなり身長伸びたから驚くかなぁ
そんな期待を抱きながら、自転車で光太郎のマンションまで向かう。
マンションに着いた裕人は自転車を停め、マンションの中に入っていく。
エレベーターで3階までのぼり、光太郎の部屋である305号室に着いた。
しかし――ネームプレートが無かった。
――どうなってんだ……?
たまたま管理人が通りかかり、その管理人に尋ねる。
「あの、すみません。305号室にいた賀来光太郎って人なんですけど……」
すると管理人の口から衝撃的な事実が述べられる。
「ああ、一年くらい前かな?亡くなられました。」
管理人はそう言った。
「……は?」
裕人は自分の耳を疑った。
――こうちゃんが……死んだ?じゃあ、一体誰が……返信したんだ……?
裕人は、玄関を開けてみることにした。
すると――ガチャッと開いた。
――開いた……
冷や汗をかきながらゆっくりと扉を開け、恐る恐る中を覗く。
しかし、何も無かった。完全な空き家だ。
そして、玄関を開けたまま中に入ってみることにした。
「こう……ちゃん?ドッキリ……だよな?そんなのいいからさぁ……もうネタバラシしろよ〜、趣味悪いぞ?」
やはり、誰もいない。
すると突然、玄関が閉まった。
「……!?」
以降――高橋 裕人が帰ってくることはなかった。
―翌年の年末
小学校以来の友人である高橋 裕人に年賀状を書いた金澤 修斗。
そして年は明け、裕人からの年賀状が返ってきた。
その年賀状には――
『あけましておめでとう!久しぶりだな〜!大学に進学したんだっけ?すごいよなぁ、応援してるぞ!あ、そうだ!よかったら、うちに遊びに来いよ!今年もよろしく!』
と記されていた……。




