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第54話 鉢合わせ

 「!」

 「あれ?!」

 「あ!」

 「貴様はロディか!」


 ……しかし余りに予想外なことに、というかよりにもよってそこにいたのは、お目当てのマリー・メイらではなく前に廃劇場で悪魔の血奪い取ろうと待ち構えていた召喚士アルフィノと巨人グロズニー、その二人以外の何物でもなかったのだった。

 当然ながらこの突然の事態にお互いあからさまなほど驚愕禁じえず、刹那呆気に取られた沈黙が訪れる。何もない部屋を朧な青い光が照らす中、しばしそれが微妙な間合いとともに続いたくらいだ。従ってロディもアルフィノもここはまず戦うべきか話すべきか、明らかに逡巡したような表情現わしてしまったものの――。


 「な、何でお前らがここに」


 だが、次の瞬間とりあえず緑の魔道士が冷静に会話の方選択することによって、いきなりの開戦は免れることと相成ったのである。


 「……あんたたちこそ、どうせ悪魔の血を狙ってここへ来たんだろう?」

 「! それはそうだが、しかしここには四人の……」

 「女魔道士とその仲間たち。ああ、そうさ、ここは間違いなくあいつらのアジトだ」

 「やはり!」


 むろん召喚士も相手への警戒は微塵も解かぬ態ながら、それに応じる。その柳の眉の下黒い瞳が、青い世界の中でやけに妖しく輝き放っていた。


 「じゃあ魔道士たちは!」

 「あたしたちが来た途端、転移の魔法で逃げてしまった。――もちろんここにいた全員。とにかくかなりの使い手よ、あの娘は。そして結局、この青い光だけが残されたってわけ」

 「く、一歩遅れたか……」


 そうして相当悔しさ見せるロディに対し、


 「ふん、あんたも出し抜かれたのよ。まったくいざという時に役に立たない――」


 それ見た黒髪の女が笑み浮かべさらにいかにも蔑んだ言葉放とうとした……、

だが、その時だった。


 「ガウ?」

 「ん、どうした、グロズニー?」

 「グウウ!」


 突然すぐ傍らで何かに反応し、警戒心漲る唸り声まで上げた相棒。

 その様はアルフィノをして当然注意そちら、巨人の眼差しの彼方へ向かわせるに充分過ぎたほどで、

 そして次の瞬間。


 「そこで何をしている!」

 「何?!」

 「む!」


 ――はたして彼女は扉の向こう、すなわちロディたちの背後、全き闇の中よりもう一つの闖入者たちが忽然と突入してきたのを、その眼でしかと認めていたのであった。


                  ◇


 「ロザリア、お前まで!」


 そう、アルフィノの驚愕と憎しみでないまぜとなった声音に応じるようにそこにいたのは、隻眼の女剣士ロザリア。さらに今はその傍らに灰髪と細い灰眼した仲間、フォークも従えている。上衣の上から赤いスカーフ背と胸に垂らし、かつ頭に丸帽被ったそのモンクは、実に厳しい面で部屋の面々、特に黒の魔道士たちのことを睨みつけていた。


 「皆目的は同じということかっ」

 「そのようだな。もっとも、その様だと任務は見事失敗したと思われるが」

 「うるさい、それはお前も同じだ!」

 「お互い様、というわけか」


 そうして途端相変わらずの二人による舌戦が始まり、場の緊張感はさらなる高まりさえ見せ始める。そう、アルフィノは息つく暇もなく懐から宝石をすばやく取り出し、ロザリアの方は自慢の得物たる長剣、腰からすっと引き抜いて。間違いなく、それはまたもや両者の激戦が展開される直前の光景と思われ。


 「やばいな、こりゃ……」


 畢竟、その間に挟まれた形のロディ一味となるとどうするべきか前後の敵、キョロキョロ見回すしかなかったものの。


 「ロディ・ランフォード」

 「え?」

 「ここは私たちが引き受ける。お前たちは悪魔の血を追え!」


 だがそこで突然ロザリアがそんな提案示してきたため、名を呼ばれた魔道士はかえってその言に目を丸くしたのだった。


 「あ、あんたたちが?」

 「そうだ、お前なら、悪魔の血の正しい処分の仕方、十分知っているはず」

 「で、でも」

 「つべこべ言わずに早く行け、もう夜が来るぞ!」


 最後には、語調いよいよ強いものとして。


 「分かったな、さあ、早く!」

 「――そういうことなら、遠慮なくご提案に甘えるぜ」

 「そうはさせないよ!」


 とはいえ目の前ではっきりそうしたことを言われては、対するアルフィノとしても看過しておくわけにはとてもいかない。彼女は彼女で必然的に尋常でない速さで呪文詠唱、精霊召喚し始めたのである。


 「この前の続きだ、行け、ブラックドラゴン!」


 そう、たちまちにして怪しい輝きがその手の中から一気に巻き起こり――。


 突如として空間に出現した黒い竜。翼持ち、鋭い牙と爪不気味に光らせる。こうして彼の恐るべき幻獣はこれから一気呵成に襲い掛からんともの凄い眼光で聖剣士睨み貫き通し、


 「ギュオオオオン!」

 「来るか、アルフィノ!」

 「今度こそ絶対に地獄へ送ってやる!」


 かくて竜の大地震わす雄叫び合図に、黒魔道士は巨人引き連れ白魔道士とモンク倒すべく、自らも暗い部屋に凄まじき絶叫轟かせていたのだった。

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