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第37話 第三の敵

 そこに出現したのが誰なのかなど、ロディ、いやナッシュとファルにとっては誰何するまでもないことだった。


 「お前ら……」

 「あ、あの時の?!」

 「あら、久しぶり」


 そう、そうして決して標的逃すまいと扉口思いきり塞いでいたのは他でもない、灰瞳の魔道士マリー・メイとその相棒の茶色いローブ纏った大男、件のいかにも怪しげな二人組だったのだから。


 「でも、どこへ行くつもりなのさ?」


 しかも、当然の如くに両者揃って隠しようのない敵意むき出しにして。


 「お前らこそ、何の用だ?」

 「ロディ、こいつらこの前僕たちを襲ってきた連中だよ、ミラルカの情報を奪おうと!」

 「そう、それもかなり強そうな!」


 かくてマリーたちを目にしたロディが怪訝と警戒の声上げると、途端二人の少年が急ぎ解説してきた。むろん彼女らに遭遇したのは彼らだけだったので、それは当然のことだった。


 「! そうか、こいつらが……」

 「ふふ、ご丁寧な紹介感謝するわ。可愛い男の子たちとは二度目だからね。――そして残りの二人は今日が初めましてだね」

 「ふん、こちらこそ。……それで、用事はその自己紹介で終わりかい?」

 「何よ、その言い方。味気ないわね」


 そうして始まった、二人の魔道士の睨み合い。もちろんお互い瞬時にそれぞれの実力認めたのだろう、それはさながら相手の出方探るような鋭い視線の交差であった。


 「こっちは仲良くしたくてやって来たっていうのに」


 特にマリーに至っては、その瞳にメラメラと熱い焔燃え滾らせて。


 「こんな所でか? しかしあいにく……」

 「場所は関係ないわ、私たちにとって。そう、ただ、あなたたちからあるものを頂きたいだけなんだから」

 「ほう、俺たちから? しかしあんたが欲しがるそんな大層なもの、持っていたかな?」

 「とぼけないで、百も千も承知の癖に。実際黒と白の魔道士たちもそれ狙っていたんだろ、あの奥にいる」

 「……ほう」


 そして対するロディはロディで、相手のそんな一言に、途端表情厳しいものへ一変させたのだった。


 「そうか、なるほど、こいつをねえ。だがだとすると、あんたのその目的、かわいそうだがとても叶えられそうにないな」

 「へえ、それはどうして?」

 「……その理由はただ一つ」


 しかも彼は一瞬そう声音落として告げるや、


 「もちろんこっちだって、これがないと困るからさ!」


 ――突如として、詠唱時間もなく右手より強烈極まる火弾、凄まじい勢いで撃ち放っていたのである。


                  ◇


 拳よりも二回りは大きな、猛々しき火の玉。それは一瞬にしてマリーとの間合い詰めていった。何よりも驚くべきは、その狙いの正確無比さ。完全に女魔道士が避けられぬほどそのど真ん中撃ち抜かんとし、必然的に彼女を丸焼けにするのもすぐのことと思われ――。


 「く!」


 当然ながらマリーに恐怖にも似た声、知らず発させていたのだった。


 「凄い、一瞬で火の玉を!」

 「へへ、凄いでしょ? ロディは早打ちの名人なんだ!」

 「クラウゼンブルクでも一、二を争うだろうな」


 むろん魔道士の隣ではユリシルトが驚きの、そしてファルたちが自慢の声を上げ。


 「さあ、これがかわせるか!」


 それに重なったのは、いかにも自身に満ちた青年の叫び。

 そう、これならこの危地も回避できると。それくらい、まさしく渾身にして必殺の一撃だったのだから。

 速射精密、はたしてマリーは思わず迫り来る恐るべき炎熱に自らの身体かばおうとし、


 「!」

 「な、何だこいつ!」


 ――それゆえその時突然、傍らにいた巨漢がそんな彼女かばうようにして火弾の前にばっと立ちはだかってこなければ、魔道士の命も畢竟ここで尽きていたかと思われたのである。

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