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LAST・LIFE  作者: 裏虞露
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【8】階層ボス・ロックゴーム

洞窟の奥深く。無数の足跡が刻まれた湿った地面を踏みしめながら、朧は静かに前を見据えていた。彼女が足を運んだ先、20階層はこれまでのエリアとは違い、広大な空間が開けていた。


空間の中央には、今まで見たことのないほど巨大な岩の塊が堂々と鎮座している。その姿は人型に成形されており、無骨な岩が積み上げられた巨人──階層ボス《ロックゴーレム》がそこにいた、洞窟地形最後の階層ボスなだけあり結構強そうだ。


「随分と大きいわね。」


朧は冷静に敵を見上げながら呟いた。ロックゴーレムは、洞窟地形における一般的な階層ボスで、その硬い岩の体は生半可な物理攻撃をほとんど無効化することで知られている。


「それに随分と骨が折れそうだわ……。」


しかし、朧の表情には一切の恐怖が浮かんでいない。それどころか、目の前の強敵に対してどこか楽しげな雰囲気すら漂わせていた。


「どうやって攻略するか……まずは動きを見させてもらうわ。」


短剣“深淵の牙”を構えた朧は、一歩一歩慎重に進む。そして、距離を詰めると同時に、ロックゴーレムがゆっくりとその巨体を動かし始めた。


巨体の一撃──圧倒的な力


ロックゴーレムが動き出すと、地面が震え、洞窟全体に鈍い音が響き渡った。その巨体が放つ圧迫感は尋常ではなく、周囲の空気さえ歪ませるような気がする。


「攻撃パターンは覚えてるけど……。」


朧が観察を始める前に、ゴーレムはその巨腕を振り下ろした。腕一本の太さは朧の身長を遥かに超えるほどで、その一撃が地面に叩きつけられると、地響きと共に巨大な亀裂が走った。


「……これ、当たったら即死ね。」


朧は冷静に後退しながら、ゴーレムの攻撃範囲を確認する。力任せの攻撃だが、一撃一撃の威力は凄まじい。


「ゲーム同様動きは鈍いけど……接近戦は避けたほうが良さそうね。」


朧は短剣を逆手に持ち替え、ゴーレムの脚部を狙って距離を詰める。その巨体を支える足元、特に関節部は比較的装甲が薄いはずだ。


「そこよ……!」


深淵の牙を振り下ろし、脚部の接合部分に刃を突き刺す。だが、その瞬間、朧の手に伝わるのは硬い岩を切り裂こうとする抵抗感だった。


「なるほど……硬いわね。」


短剣はかろうじて岩の隙間に食い込んだが、ダメージは僅か。ロックゴーレムが脚を振り上げたことで、朧はすぐさま後退を余儀なくされた。


作戦変更が──必要ね?


「正面突破は無理ね……。」


朧は冷静に状況を整理する。ロックゴーレムの巨体は物理攻撃に対して圧倒的な防御力を誇り、通常の手段ではまともなダメージを与えることができない。


「でも、弱点はあるはずよ。」


朧はゴーレムの動きを観察しながら、その巨体を構成する岩の隙間や接合部に注意を向けた。特に、動力源となる魔石がどこかに埋め込まれているはずだ。


「頭部か……胸部かしら。」


短剣では直接届かない位置だが、岩の隙間を狙い撃つことができればチャンスはある。朧は冷静に動きを分析しながら、ロックゴーレムの攻撃をかわし続けた。


「硬い敵ほど、攻略のしがいがあるってものね。」



ロックゴーレムが腕を振り下ろすたびに、朧はその攻撃を紙一重でかわし、隙を伺う。そして、巨体が一瞬だけ晒した隙を見逃さず、朧は僅かに膨らんだ胸部目掛けて跳躍した。


「ここで決める……!」


空中で深淵の牙を振りかざし、ゴーレムの胸部に突き刺す。その内部には予想通り魔石が埋め込まれており、短剣の刃が見事に命中した。


「やっぱり、ここが弱点ね。」


ゴーレムが激しく体を揺らし始めたが、朧はその動きに怯むことなく刃を捻り込んだ。そして、最後の力を振り絞って魔石を砕き、巨体が動きを止めるのを見届ける。


「終了……ステータス補正で行動に支障は無いけれど、太ってると大きく躱さないと行けないからこう言う時は大変ね」


ロックゴーレムの巨体が崩れ落ち、地面にはゴトンッ大きな魔石が転がった。


朧はその一つを拾い上げ、満足げに微笑んだ。


「悪くないわね。」


《レベルアップしました。現在のレベル:17》

《新しいスキルを取得可能です。》


スキル一覧が表示されるが、朧は冷静に首を横に振る。


「…まだ必要ないわ」


スキルの取得をキャンセルし、朧は軽く伸びをした。


「さて……次はどこを目指そうかしら。まだこの階層でもレベル上げはできるでしょうけど、せっかく20階層の最後まで来たんだし、次の階層を見ておこうかしら?」

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