八話〘最初の夜〙
俺達は森を出た頃には周りは暗くなっていった。
「もうこんなに暗くなってるね……寝る所探さないと」
「そうだな。今日は色々ありすぎて疲れた」
街に向かい宿屋を探す、街は広いのでここの住民に宿屋を聞く。
夜なのか人がいない。
筋肉質だ強そうな肉を持った男が歩いていたが怖そうでとても近づけない。
そんなことも気にせず、ミアが笑顔で宿屋を聞く。
「ちょっといい? 泊まる場所知ってる?」
「そんなのここにはねぇよ。観光地でもないんだから、変わった冒険者だな。もしかしてお前たちが勇者か?」
「そう! 私たち勇者なんです!」
「そうか、勇者様は大変だな。だが、さっきも言った通りここには泊まれる場所がない。誰かの家に止めてもらうしかねぇな。勇者なら誰か1人ぐらい止めてくれるだろ」
「ない……そうなんだ! 教えてくれてありがとう!」
「あ、嬢ちゃんだけなら泊めてやってもいいんだぜ?」
「遠慮しとくね! 気を使ってくれてありがとう!」
男はにやりと顔を歪ませ、ジュルリとベロをなめる。
ミアはこの男の家に泊まったらただではすまないだろう。
もちろんミアは断る。
これからどうしたものか、まさか宿屋がないなんて、街はこんなに広いのに泊まる場所はないんだな。
野宿するにも場所がないし、野宿するにしてもミアが危ない。
「ん〜ないのか〜困ったね」
「どうしようか。色々ありすぎて眠らないときついよな」
俺達は考えても思い付かず、歩いて入るのもの人はいず、ただ時間と体力がなくなっていく、眠気も限界に近づいてくる。
俺は徹夜したわけじゃないが、色々とありすぎて、体力の限界だ。
ミアもへとへとになり、噴水の方に行きベンチに寝込む。
「もう、ここでいいから寝よう。限界だよ……」
「でも、布団なしじゃ外は寒いしミアが危ないよ……」
「大丈夫! そんな時のためにじゃーん布団です!」
「いつの間に……」
ミアが取り出したのは葉っぱで作られた布団のようなものだった。
寝るのには足りないが今を乗り越えるのには充分だった。
「危ないとかは交代で起こして寝ればいけるでしょ!」
俺は頼りにならないと言おうとしたが、我慢の限界だったので、ミアの意見に賛成した。
「先に寝ていいよ。俺見とくから」
「じゃあ、先寝とくね。ありがとう!」
ミアは布団をかぶり、すぐにすやすやと寝た。
今日はいろんなことがあったからすぐ寝てしまうもの無理はない。
俺は空を眺め、こんなにも星がきれいだと思わなかった。
異世界は自然豊かで、綺麗なものだ。
てか、これ度のタイミングで起こせばいいか分からねぇ……時計もないし最後まで寝かすか?
最悪俺は明日寝れればしんどいがなんとかなるか?
ミアにもらったパンをかじり、朝を待つ。
昼にもらったパンよりパサパサになっており、おいしくはなかったが、食事にありつけるのはありがたい。
ミアには後で感謝してもしきれない。
足に何か温かい毛のような感触がした。
下を見るとなんと先ほどミアと俺の足を貫通させたウサギがいた。