七話〘君の魔法〙
スライムの少女が、水晶を見て驚いている。
水晶に映し出された色は……元の水晶そのものの色だった。
「属性は金、魔素量少なめ、勇者特有の能力の事だが……」
金属性って聞かれてもパットしなかった。
ゲームにもあったが情報が少ない属性で後で聞くが、能力について口を詰まらしているのが気になる。
スライムの少女の口は詰まり、言いにくそうにこちらを見つめる。
疑いの目がこちらに向き、はぁ……とため息をつく。
「わかんねぇ……こんなこと初めてだ。無能力……? 初めて見る水晶の色だ。変わらないとかあるのか…? いや、絶対に何かあると思うのだが……本当に勇者……いや、本当にここと違う世界からきたのか?」
「勇者……なのかは知りませんが、ここと違う世界で住んでました。いつの間にかここに来ていたんです」
俺の顔を見てスライムの少女は顔を歪ましている。
ハクは不安そうにこちらを見つめている。
スライムの少女は頭を掻きしたを俯く。
「……脱げ」
「え?」
「ここで脱げ」
「え? え? ちょっと流石に……やめっ……」
俺は押し倒され、無理矢理服を脱がされる。
必死に抵抗したが、意外にも力が強く、気がつくと手首足首にはツタが巻きつけられ自由に動かせなかった。
苦戦しながらも脱がし終わり俺の上に座り込む。
スライムの少女は顔を近づけ真剣に顔や体を見つめている。
俺の顔や体を触りながらじっと見る。
その間俺は恥しく赤くなっていたと思う。
へその所まで見たらへその上の方を両手を当て、へそが金色に光り始めた。
限りへそが見えるよう首を上げへその上の方に星のようなタトゥーが描かれていた。
俺はもちろんタトゥーなんか入れてなかったし、昨日までは少なくともなかったはず、いつの間に。
スライムの少女はへそから両手を離した。
「やっぱり、勇者の証があるから本当か。でも何で能力が分からない……」
「その……マギ……急に無理矢理押し倒して脱がすのは……よくないよ……びっくりしてるでしょ……街のことと今の謝ったほうがいい……」
「……すまん、街を襲ってお前に危害を加えようとしたこととこうしてお前を押し倒していること」
「あ、大丈夫です……」
襲われるかと思った……いろんな意味で。
少し息を吐き、気持ちを整えた。
しかしこの子は素直に謝れる子なのが意外だ。
そして、今その子の名前がわかった。
「アザのことだが……」
マギが喋る瞬間…
────キャァァァ
森に高い声が響き渡る、この声はミアの声だ。
目覚めたのは安心したが、どうしたのだろう。
「こんなとこで何やってるの! しかも堂々とは、裸で……あ、あ、」
「あ、ご、ごめん。ち、違くて」
そいえば、まだ裸のままだった、しかもこの体勢は勘違いされる。
マギが急いで離れる。
俺も急いで服に着替えた。
俺達はなんとかミアの誤解を解き、今まであったことを話した。
「アザのことだけど、それは勇者の印。能力が分からなくて嘘ついたと思ってアザの確認をしていたんだ。お前は本物の勇者だ」
「それでも、急はよくないよ!リョウが隅の方にいて、落ちこんでるじゃない!」
「す、すまん…そして、魔法属性のこと知らないだろうから教えてやる」
俺が落ち込んでいる間、魔法の話をしだす。
「魔法は人は体質によってできる魔法とできない魔法がある。
その魔法の種類は火、水、木、土、金、陰、陽の7つある。
火は、攻撃力が高く、木と金には強いが良いが水と土には弱い。
水は、汎用性が高く、バランスが良く、火と金には強いが木と土には弱い。
木は、癒やす能力が強く、水と土には強く火と金には弱い。
土は、守るのに強く、火と水には強く、木と金には弱い。
金は、基本5つの中では珍しく、防御、攻撃どちらとも強いがマナ量が多く発動する時間が長いものが多く、土と木には強く、火と水には弱い。
人は決まった属性の魔法しか使えない。
火属性だけなら、他の水、木、金、土は使えない。
水属性だけなら、他の火、木、金、土は使えない。
自分の特性を知る必要があり、得意、不得意を知り、仲間とともに困難を乗り越える必要がある。
お前ら分かったか?」
「え、情報量が多すぎて頭が痛くなるよ……」
「これでも噛み砕いてるからな。魔王と戦うのだから、これぐらい知らないと死ぬぞ。これだから臭い女は……」
「く、臭くないから!」
「あの…陰と陽のこと全然言われてないのですが」
「あぁ……陰と陽は、金以上に持ってる者が少ない。
陰と陽は特殊でな……さっき言った5つの属性と違い、本気を出せば属性関係なしに誰でも使える。
まぁ使うには相当なことをしないといけないのだが……まぁいい、お前らはいろんなやつと戦うんだから知る必要がある。
とは言っても、全然情報がないのだがな。
言うならチートってこと以外はわからん」
「まぁ、異質な存在なのはわかりました。ありがとうございます。」
「話疲れた。女も起きたし帰れ」
「色々教えていただきありがとうございます。ハクさんとマギさん助けていただきありがとうございます」
お礼を言い、ここをすることにした。
俺達は森の外まで送ってもらい、ハクたちが手を振る。
「さよう……なら……」
「もう来るなよ」
「マギだっけ? もう二度と街を襲わないこと約束して!」
「…………あぁ」
俺達は最後の言葉を交わし森を出た。