六話〘不器用な優〙
「なぁお前……街の人間助けて何をしている! ハク!」
街を襲ったスライムの少女は俺を見て、その後助けてくれたスライムの少女の方に怒っている。
助けてくれたスライムの少女の名前は、ハクって言うらしい。
「えと……倒れていたから……助けないと……行けないでしょ……」
「あの街のやつを助けもなんにもなんねぇよ」
「あの子たちは……ちがう……この子たちは……勇者……」
「は、はぁ? 勇者なんて……いや、もう、162年経ったのか……」
「時間は……あっという間……」
「どうせ、今まで通りに死ぬだけだ。げんに、死にかけているじゃねぇか」
スライムの少女たちの会話が気になる。
俺たちが来る前、他にも転移されていた人がいるのか? 100年以上前にもこんなことがあったのか。
「まぁ、百歩譲ってそこの男はいいが、ここに倒れてる女が気に入らねぇ」
「どうして……街に行って、あの女の子にボコボコにされたから……?」
「チッ、男と違っていい匂いがしねぇ……臭いんだ……あいつの匂いが……」
「どうしてそゆなこと……いうの……可愛い女の子に臭いなんて……いい匂いだったよ……」
「はぁ……最悪」
あいつの匂いってなんなんだ。
あの女の子ってミアのことだよな。
匂いはわからないがもう少し耳を傾ける。
「まぁいい、おれにとっては勇者はどうでいい。好きなようにな」
「好きなようにする……」
「てか、そこの男! なんだこの装備ゴミじゃねぇか。こんな装備で挑もうなんてなめてるなぁ」
「あ、王様から貰いました。」
「王からのもんか。そりゃゴミか。」
スライムの少女はここの王のことが嫌いのようだ。
俺たちの装備のことを王のせいに、して顔を歪ましている。
「ちょっとお前が可哀想に思えてきたからお前の特殊能力見てやるよ」
「特殊能力?」
「そんなことも説明してねぇのか、あの王やっぱクソだな。勇者がこっちの世界に来たとき必ず貰える能力だ。歴代の勇者はそれを使ってほとんどの困難を乗り越えてきた。」
「異世界特典みたいなことでしょうか」
「知らんが、たぶんそうだ」
異世界転移、転生でよくあるチート能力か、そんなのがあったのか。
でも、そのチートがあっても魔王を倒せていないってことか、一体どれぐらい強いのか。
「今からお前の能力と魔法属性と魔素量を調べるからそれに触れろ」
水晶のような物が目の前に出してきた。
スライムの少女はため息をしながらこちらを覗いてくる。
色々と気になることがたくさんあるが、それに手を触れる。
ハクは心配そうに水晶と俺を見つめる。
水晶が光りだした。
────これは……一体……