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五話〘スライムの少女〙

────大丈夫……? 生きてる……?




 微かに声が聞こえる。

誰かはわからないが、この声が心地よい。


 俺は生きているのか…?

 それとも幻聴なのか?




────目を覚ましてよぉ……




 俺はゆっくり瞼を開け、森の木漏れ日が目に映りとても眩しい。

 微かに花の香がした。


「あの……目が覚めたの……?」


 動かし声のする方を見る。

 声の持ち主は…スライムの少女…?

 街を襲った少女とは違い、体は青くこちらに敵意を感じない。


「よかった……なんとか助かった……」


 スライムの少女は俺の顔を覗き、安心したようだ。 

 きっと、スライムの少女は助けてくれたのだろう。



「貴方が俺たちを助けてくれたんですか?」



「そう…森で倒れてたから…薬草つくって……傷に……」



 俺の足は完全に治っており、ジーパンに穴は空いたが治ってよかった。

 ミアはこの子に直してもらったのだろうか?


「助けていただきありがとうございます」


「そんな……丁寧に……いえいえ……」


「ところで、もう一人の女の子がいたのですが、その子も無事でしょうか?」


「はい…近くにいた女の子は…案内するから来て……その……動けますか……?」


「大丈夫です。動けます」


 どうやら、ミアも助かっていそうで安心した。 

周りを見ながら、スライムの少女についていく。

 茂みの中に入っていき、まだ、ミアは倒れていた。


「あなたと同じく…薬草を傷口に…だけど出血がひどかった…だから時間がかかる……」


「そうなんですか……」


 俺より状態がひどく、傷口も治っていないようだ。

 ミアは涙を貯め、苦しそうに寝ている。


「黒髪……黒目……変わった服……転移者……?」


 スライムの少女は奇妙そうに見つめている。

 やっぱり俺たちはここにいる者には浮いて見えるのだろう。

 正直に言うと、面倒事にしかならない事は分かっているが、見た目で分かりやすいので、正直に言った。


「そうです。ここに来たばかりでモンスターを倒して油断したらこの様に」


「え、やっぱ……勇者様……! 失礼な言葉遣いしてしまいました……ごめんなさい……」


 何故かスライムの少女の娘は頭を下げポタポタとスライムの欠片が目から流している。

 特に失礼なこと言っていたわけでもないのに。


「失礼なこと言ってないですよ」


「勇者様相手には……敬語を……使わないと……ごめんなさい……」


「気にしないですよ。使わなくて大丈夫ですよ」


「ありがとうございます……優しいのですね……」


 敬語を使わない程度でそんな謝ることではないと思うのだが。

 まぁ、世界を救う英雄は、そう思っていても仕方がないかもしれない。

 まぁ何もしていないどころか、死にかけて助けてもらっているのだ。

 

「ところで……勇者様は……5人いるそうですが……他の三人は……いないのでしょうか……」


「まだ全員、集まっていない」


「そう……なんですね……」


 残念そうに俯くスライムの少女は太陽の光に当てられ、輝いてみえる。


「あの……勇者様……ここは危ないので……この子が治ったあと……森の外まで送るから……もうこないでください……」


「すいません」


「いえいえ……勇者様に……死んでもらうには早いので……」


 俺達の心配をしてくれるなんて優しい。

 俺達には早すぎたのだ。

 地道にレベルを上げていくが安全だ。


「あと……この装備……全然だめ……だから……しっかりしたの……買ったほうがいい……まずは……防具から…」


「そうですよね……。買います」


「防具買うなら……地の街……ゴーレ……」 


 やっぱり装備のこと言われるよな。 

 スライムですら言われるのだからよっぽど酷いものだ。

 防具なんて一切もらってないぞ。

 自分で買えってか。

 王よりスライムの少女の方が良心的だ。


 街によってオススメの装備が違うなんてゲームそのものだ。

 まぁ、現実でも特産品があるが。





「おい、お前何してるんだ!」

 急に木の影から声し、姿を現す。

 それは、街を襲ったスライムの少女だった。

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