四話〘油断厳禁〙
俺達は、騎士に連れられ、何故か街の外で送り出された。
「ここで、モンスター共を狩って強くなれ!」
騎士に蹴られられ、俺達はポツンと立っていた。
外は街と違い野原が広がっており自然豊かだ。
ところどころに野ウサギのようなものや、異世界独特の生き物が歩いている。
「この武器でっといわれても困るよ!」
ミアは怒りをあらわにしている。
少し顔が赤く膨れ上がっており、地面を足で叩きつける。
「全然戦い方知らないんだが…倒せるのか……?」
「まぁ、やるしかないよ……」
俺達は元の世界で戦うこともなく、のうのうと生きている。
戦えるわけがないが仕方がない。
「あ! スライム!」
ミアはスライムの方に指を差した。
スライムは1体で日向ごっこをしているように思える。
半透明な体をプルプル言わせ、まるでわらび餅のようだ。
狂暴的には見えないが、俺たちを襲ったのはスライムたちだ。
スライムはこちらに気づき飛びながら俺たちの方に向かってきた。
「この杖貸して!」
「ちょ!」
ミアに杖をうばわれ口を開く。
「ウォタ!」
ミアの持っている杖の先に水の塊ができていく。
空気中から集めたものなのか、水の塊の周りはどんどん水に変わっていく。
手のひらサイズの水の塊がスライムに向かって飛んでいった。
スライムは弾け飛び、スライムのは破片が散乱する。
散乱した後、銅貨のようなものが一枚置いてあった。
「やった! スライムをやったよ!」
無邪気に笑うミアの姿は可愛らしい。
先ほどたくさんのスライムを殺した時はこんなに喜んでなかったのに、まるで初めて倒したかのような反応だ。
「どうやって魔法をうったんだ?」
「なんか〜急に力が湧いてきて言葉も思い浮かんできた感じ!」
そして、ミアが魔法の言葉を発していた。
ゲームと同じ名前の魔法だから言えたのだろうか?
言葉も浮かんでくるなんて、すごいものだ。
俺も杖があれば魔法がうてるのだろうか?
「また、スライム! 今度は二体いるよ!」
わらわらとスライムが集まっていく、街の様なことにはならないように素早く倒していく。
ミアは水魔法をうち、俺は持っていた剣を振りかざした。
スライムは思っている以上に柔らかく空気を切っているのかと思うほど感触がない。
2体のスライムは弾け飛び銅貨がスライム分落ちていた。
「リョウ! すごいじゃん!」
「ミアの方が凄いよ」
俺達は純粋に異世界を楽しんでいる。
そうしているうちに、どんどん森の方に入って言ってしまった。
「流石にここは危ないのでは?」
「大丈夫!私たちなら何でも行けるよ!」
俺は心配しながら森の中にズカズカと入っていく。
ミアと2人なら何でもできる気がした。
「可愛いな……」
俺が見たのは少し普通のウサギより大きく、おでこに長い角が生えている。
可愛いと思ってもモンスターなので両者なく倒そうとする。
ミアが魔法を出そうとする瞬間────
「痛い、痛い痛い痛い!!」
ミアの右足にうさぎの角が刺さりミアの血がポタポタしたっており、流れている。
地面が赤く染まっていく。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
剣を振り出したいが怖くて腕と足が動かない。
ミアは倒れ込んだ。
その分ミアは叫び、この世で味わえないほどの声を出している。
ウサギは角を抜きこちらに走って俺の左足にも角が刺さった。
痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い
言葉に表せないほどの痛さふらつきながらも俺は立つ。
痛みに耐えながら、剣を持ち、力を振り絞って俺の足に刺さっているウサギを剣を振りかざす、死んだのかウサギはピクリともしなくなった。
それでも痛いのは変わらない。
ミアは倒れているがまだ息はあり、足の部分が熱い。
俺は足を引きずりながらミアを運び森の外に出ようとした。
だが力が抜けてゆき俺も倒れてしまった────