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三話〘足りない〙

 鎧の男2人に俺とミアは小型龍車に乗せられ城に連れて行かれる。


 ミアが口を開けようにも鎧の男二人は、睨んでこちらを見る。


 龍車なんてゲームでしか見たことがない。

 それどころではないが実際の龍車をみると感動する。

 まぁ龍といっても羽が小さいドラゴンなんだが。


 ガタガタと鳴りながら外を眺める。

 外を眺めると魔女の帽子を被った者や鎧を買い、喜んでいる者、などファンタジーらしい景色が見られる。


 外を眺めているうちにもうすぐ城に着きそうだ。

時間の流れが早いものだ。  


「おい、ついたぞ! 早く降りろ」


 鎧の男1人が俺たちを催促し、城の中に入った。

 ミアと俺は怯えながら城の中を歩いていく。


 中はファンタジーよくある城で階段を登っていく。


「無礼のないように」


 王の間らしき所の前で言われ、緊張しながら王の間に入っていった。


「お主たちが異世界から来たものかじゃ?」


「異世界から来た人は黒髪、黒目なのね。この目で見れるとはうれしいものね」


 王と王女がそんなことを喋った。


 王は白い髭を生やし、老人には重そうな王冠を被っており、語尾に「じゃ」と付ける現実ではなかなか見ない語尾をしている。


 服も豪華で赤を基調としている。


 王女は王と違い、30前後の女性で、小さなティアラを着ている。


「ゼントル王、初めまして、私たちはここで言う異世界から来ました」


 ミアが口を開け頭を下げる。


 俺も頭を下げた。


「そうかそうか。騎士たちは無礼なことは言ってないかじゃ?」


「丁寧な対応していただいたので大丈夫です」

 

「それはよかったのじゃ」


 無理矢理、龍車には入れられたがミアは騎士のためか嘘を付く。 

 ミアは優しいなあんな乱暴にされたというのに。


 序盤で王様と関わるイベントはなかったはず、本来チュートリアルでは冒険者ギルドに行くはずなのだが。


 ゲームと街並みはほぼ一緒なのに王や王女が違う、フリオンに似て違う異世界なのかもしれない。


「ではさっそくだが、これを付けるのじゃ」


 差し出したのは黒の無線イヤホンのようなものだ。

 異世界らしくない、機械が差し出された。


 怪しいが、そこで逆らったら、近くの騎士に首を跳ねられてしまうかもしれないので手にとってつけることにした。


「それをつけると、ここの言語が分かるそして、ここの住民にも分かる様、翻訳を自動でしてくれる品物じゃ」


「知らない世界に来て大変だったでしょう。言語も違いますから」


 分からなかった言葉が分かるようになるのは助かる。


 王や王女、騎士の言葉が分かるのは耳元に黒い無線イヤホンがあるからか。


「こんなわからない所で申し訳ないが頼みたいことがあるのじゃが」


 嫌な予感がする。

 どうせこういうのは面倒事を言ってくるのは定番だ。

 その予想が的中した。


「異世界からきた勇者5人で、魔王を倒してほしいのじゃ」


 RPGのテンプレみたいなセリフを言いだした。

 やはり俺は勇者らしい。

 突然勇者と言われても困るがまぁそんな気がしていた。


 しかも5人もいてミアと俺以外にあと3人もいるのか。


「ところで、ほかの勇者はいないのかじゃ……?」  


「すみません、近くを探してもほかの勇者方々がいませんでした」


「勇者が足りないじゃと……」


 騎士と王様は勇者、全員をさがしていたようだが見つからないらしい。

 やはり他の転移者がいるようだ。

 他の転移者はどこにいるのだろうか。  


「すまんが、他の転移者を探しながら冒険をしてくれると助かるのじゃが……」


「……えと、色々と言われて混乱しているのですが、わかりました」


 俺は動揺しながらも答えた。


 魔王を倒したら帰れる可能性が高そうだし騎士に首をはねられるのは怖いからだ。


「お金も武器もないと困るじゃろ。これをやろう」


 渡されたのは銀貨1枚と錆びれた剣と苔の生えた杖だった。


 武器弱すぎるだろ。

 フリオンのチュートリアルでもらった武器よりひどい品物だ。


 お金も普通に生活するにも足りない。

 ゴミを押し付けられ、魔王討伐などふざけてるだろ。


 RPGゲームで金持ってるはずの王様に渡されるのは弱い武器と少ないお金を渡される。

 でも実際にこんなのはひどくね?


「王様! この装備はないですよ!こんなのゴミみたいじゃないですか!!」


「おい、そこの小娘! 無礼なことを言うな!」


「勇者にその態度は失礼ではないかじゃ?」


「すいません……」



 ミアが反抗しようとするが騎士に怒られる。

 ミアが言っていることは当たり前だ。

 こんなのは酷いすぎる。


「すまんのぉ……今はこれしかないのじゃ」


 疑わしいが、文句言うと殺されそうでミアも俺も何も言えない。


「そうそう、転移者を見つけたら、これでわしに連絡してほしいのじゃ」


 渡されたのは黄色の古びたガラケーだった。


 異世界らしくない物がでてきたが使い方は一緒っぽい。

 一気に現実が襲ってきた感じ。


「使い方はわかるか?お主の世界の通信機器と似た仕組みになっているはずじゃ。充電は要らんから安全せい」


「ありがとうございます」


 充電は要らないのは便利でいいな。

 ガラケーなのが、問題だが現実に欲しいものだ。


 でもせっかくだから魔法を使ったものがよかった。

 そんなまがまま言っても仕方がない。


「では、頑張って魔王を必ずや倒してほしいのじゃ」


 俺たちは城を追い出され、しょぼい装備で行くことになった。

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